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生きていてくれて、ありがとう

作者: 霜月希侑
掲載日:2025/09/17


「大丈夫よ。生きていてくれて、ありがとう。あなたがここにいること、それだけで世界はこんなにも美しいの。あなたは私の、たった一人の、かけがえのない娘なのだから」

 母の声は、柔らかく、まるで冬の陽だまりのように私の心に降り注いだ。私は看護師でありながら、心の闇に沈み、この世から消え去ろうとした。

 看護師である自分がうつ病になるなんて、許されないこと、情けないことだと、そう思い込んでいた。誰かにそう言われる前に、私自身が自分を責めていた。


 子どもの頃、よく聞いた母の言葉が耳にこだまする。「良い子でいなさい」。その一言が、私の胸に重くのしかかっていた。私は涙をこぼしながら、声を絞り出した。


「良い子じゃなくて、ごめんなさい」

 母はただ静かに、すべてを受け入れるように私を見つめた。言葉はなく、ただその眼差しが、私の震える心を抱きしめた。

「いいのよ。今はただ、ゆっくりと休めばいい。あなたがここにいること、それ自体が意味があることなのよ。私はあなたを、絶対に失いたくない」

 二人で、静かに涙を流した。その瞬間、初めて、私たちは本当の意味で親子になった気がした。涙は、互いの心の隙間を埋めるように、そっと流れ落ちていった。


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