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秀人と愛斗!  作者: ゼロ&インフィニティ
最終章 世界の反逆者
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最終話 Last Promise

いよいよ最終回です。どうぞお楽しみください。

 激戦が繰り広げられるレーヴァンテイン周辺から離れ、雲の下。

 今だに暗雲立ち込めるそこでも激戦は続いていた。

 ナーシャのシュヴァリエはソードを投げ、アルテミスを切り裂いた。ナーシャは大量にいる帝国軍に向けて叫んだ。

「お前等みたいなブリューナクの奴隷とは戦う価値もない!」

 シュヴァリエの性能はインフェルノ、紫電と同等だった。圧倒的なマシンスペックで敵を撃墜していく。

 紫電参式はシュヴァリエの後を追う形で飛んでいた。

 撫子もまた無表情だった。

「お前のような血気盛んな若者に愛斗の考えは分からないだろう」

「黙れ!」

 シュヴァリエは戻ってきたソードを再び投げた。それを余裕で避け、上空に舞い上がった紫電参式を追うようにして、シュヴァリエの盾からミサイルが発射された。紫電参式はそれも避け、更に高度を上げた。

 撫子は鬼気迫るナーシャを見て、真顔で呟き始めた。

「愛斗の優しさをお前たちは理解していない。自分の命を辞してでもあいつが考えているのは・・・」

「減らず口は慎め!」

 ナーシャのソードの先から赤い閃光が出て、紫電参式を襲う。紫電参式は何とか避けることが出来たが、他のアルテミスはまともに喰らい、爆発した。

「只・・・私も誰かに愛されてみたいんだ・・・」

 ナーシャは怒りのあまり震えていた。

 何に怒っているのかは分からない。只、許せなかった。仲間を奪った愛斗が。

「あんたみたいな奴には分からないのよ!人間の感情なんて!」

 シュヴァリエも上空に上がったかと思うと、回転しながら紫電参式の装甲をソードで貫いた。

「流石はシュヴァリエ!これが・・・」

 シュヴァリエはソードを引き抜き、頭部から下半身にかけてを切り裂いた。

「・・・私の負けだよ・・・」

 脱出ポッドが射出され、紫電参式は爆発した。

「貴方だけは許せないわ。悪魔の力を人に与えた奴は・・・」

 シュヴァリエはそう言い残し、レーヴァンテインへと、虚空へと消えていった。

 撫子は落下しながら、愛斗と初めてあった時のことを思い出した。

「愛斗・・・勝てよ・・・お前の運命に・・・そして未来に・・・」

 脱出ポッドは洋上へと落下していった。



「何とか侵入しろ!話はそれからだ!」

 紫電はレーヴァンテインの表面を飛び、侵入経路を探していた。

 レーヴァンテイン内には無数のEMAが通る道がある。そこから入れば艦内は制圧出来たも同然だ。

「あまり時間は掛けられない・・・なら!」

 紫電は空中で止まり、胸部を開けた。白い閃光が飛び出し、レーヴァンテインを攻撃する。

 敵の秋水が次々と飛び出してきた。

「予想通りだな。秀人!行くぞ!ロイヤル・セブンスもついて来い!」

 インフェルノと十機ほどのアルテミスがついてくる。

「渚とエティエンヌは外の敵と戦え!俺の直属部隊もそっちにまわす!」

「ユア、ウィル!」

 紫電は開いた扉から内部に侵入を開始した。外のガイザレスはプラズマライフルでレーヴァンテインを外から攻撃していく。



「殿下、敵がレーヴァンテイン内に侵入しました」

 ヴィルフリートは依然、落ち着いた態度で頷いた。

「ヨハンも面白い小細工を使うようになったじゃないか。まあいい、全員避難する準備をしておけ」

「はい?」

 井崎が間の抜けた声で尋ねた。

「レーヴァンテインを捨てると言うのですか!?これを奴に取られてはお終いですぞ!」

 ヴィルフリートは井崎を手で遮った。

「レーヴァンテインを渡すとは言っていない。レーヴァンテインはヨハンごと消し去る。レーヴァンテインの代わりなら作れるが、ヨハンは一人しかいないからね。彼には愛する者と一緒に塵になってもらう」

 フェリクスが横で苦笑する。

「相変わらず殿下らしいお考えですね。そう来ると思いましたよ」

 ヴィルフリートは不敵な笑みを浮かべ、モニターを見た。

「私は負けないよ。何があってもね」



「イヴォンさん・・・すみません・・・」

 リリーは今、豪華な広間にいた。大きな玉座が拵えてあり、リリーはそこに縛られている。イヴォンも同じように近くの柱に縛られている状況だ。

 この部屋には綺麗な観葉植物や装飾品があり、名前の通りロイヤル・スペースだった。

 イヴォンはリリーを見て、微笑んだ。

「いいんだよ。それに愛斗が助けに来てくれるさ」

「そうですよね・・・」

 リリーの瞳から涙が零れ落ちた。

「愛斗さん・・・助けてください・・・」

「愛斗・・・来てくれよな・・・リリーを悲しませないでくれ・・・」

 二人はそれぞれの気持ちを呟いた。

 


「無駄に広いんだな・・・」

 秀人が呟く。

 紫電とインフェルノ、ロイヤル・セブンスと少数の親衛隊がレーヴァンテイン内を捜索していた。目標はリリーが監禁されている部屋と司令室だ。

「お前たち、先行しろ」

 三機のアルテミスが通路を進み始めた。その瞬間、その三機は爆発した。

「どうした!」

 爆煙の中、姿を現したのはヴァジュラだった。しかし、容姿は以前とは違い、よりスマートになっていた。ジェラルドの声が通路に響く。

「澪坂愛斗!お前は俺が倒す!このヴァジュラ・エリミネーターで!」

 強化されたヴァジュラは紫電にクロムメタルソードを振り下ろした。

 紫電はレーザーサムライブレードでそれを防ぐが、逆に砕かれてしまった。恐ろしいパワーだ。ヴァジュラはもう一振りして、紫電の胴体を狙った。紫電もプラズマシールドを張って、防ごうとするが、虚しく砕かれた。

「何だ・・・この力は・・・」

 愛斗はこの狭い通路では存分に戦えない事を悟った。

「こちらへ来い!」

 愛斗は叫び、紫電で広めの格納庫に入った。

「何処へ逃げようと無駄だ!」

 ヴァジュラもそれを追う。待っていたとばかりに紫電の胸部から白い閃光が発射された。

「小賢しい!」

 ヴァジュラはそれを避け、紫電との距離を詰めた。閃光は壁に当たり、大爆発を起こした。壁に大きな穴が空き、青空が見えた。

 二機は再び向き合った。

「覚悟しろ・・・」

「くっ!」

 愛斗は身構えた。この狭い場所では高出力エアウィングを使えない。性能もヴァジュラに劣るというわけだ。

「ジェラルド!」

 叫び声と共にインフェルノが間に入り、ヴァジュラのクロムメタルソードを受け止めた。右手の銃をヴァジュラに突きつける。

「愛斗・・・先に行け・・・君にはやるべきことがあるのだろう?」

「ああ・・・すまない!」

 紫電が格納庫から出ようとする。

「待て!」

 ヴァジュラが追おうとするが、間にすかさずインフェルノが入る。

「ジェラルド、君の相手は僕がするよ」

「秀人!邪魔をするな!こっちが一人だとでも思ったのか?」

 ジェラルドの言葉と同時に後ろの壁が壊れ、漆黒のEMAが現れた。

「シルヴェストルさん?」

「そうです。秀人卿、貴方と戦わなくてはいけません。お許しを」

 ブラックセイヴァーとヴァジュラが一気にインフェルノに襲い掛かる。秀人も閉所での戦いは不利だという事は分かっていた。

「ついて来い!」

 インフェルノは愛斗が空けた大穴から飛び出した。二機もそれに続く。



「陛下!」

 突然、無線から聞こえて来た声に愛斗は驚いた。

「その声は・・・ロイックか?」

「はい!お伝えしたい事があるんです!」

「言ってくれ!」

「リリーさんの居場所がわかりました。レーヴァンテイン後方のロイヤル・スペースです!」

 愛斗の胸に希望が生まれた。

「そうか。よくやった。お前は帝国の英雄だ」

「ありがとうございます。でもそろそろ降伏しますね。弾ももうないですし・・・」

「そうしろ。ライナーはもう絢を解放したのか?」

「ええ」

 愛斗は息をゆっくりと吐き出した。

「よかった。一安心だな。ではさらばだ」

「ええ、さようなら」

 通信は切れた。愛斗はインフェルノにリリーの居場所を転送する。これで秀人がリリーを救出してくれるはずだ。

 愛斗は紫電のコックピットから出た。既に前に道はない。ここからは歩きだ。

 愛斗は近くのドアからレーヴァンテイン内に侵入を開始した。

「待っていろ・・・俺は勝つぞ・・・」



「秀人!お前には正義がないのか!」

 ヴァジュラのクロムメタルソードがインフェルノに振り下ろされる。インフェルノもそれを受け止め、蹴りこんだ。

「ジェラルド、シルヴェストル。君たちでは僕のインフェルノに勝つことは出来ない!」

 インフェルノはスラッシュソードを構え、上空に上がった。

「待ちやがれ!」

 ヴァジュラが後を追う。しかし、インフェルノは急降下でヴァジュラではなくブラックセイヴァーを狙った。突然の攻撃のせいでブラックセイヴァーは避けるまもなく切り裂かれた。

「うわっ!ジェラルドさん!後は頼みましたよ・・・」

 ブラックセイヴァーは落ちて行った。ヴァジュラが間髪いれずにクロムメタルソードでインフェルノに襲い掛かる。

 インフェルノもそれに応じ、スラッシュソードでそれを受け止めた。

 インフェルノとヴァジュラは互いに旋回しながら、切りあった。ヴァジュラが切りつければ、インフェルノもそれに対して防御し、次はインフェルノが攻撃をするといった具合に両者の攻防が続いていた。勝負を焦ることは敗北に繋がるだろう。秀人もジェラルドも慎重に戦っていた。

「秀人!俺はお前を倒し、愛斗を倒す!」

 ヴァジュラがクロムメタルソードを大きく振り上げ、振り下ろそうとした。そのチャンスを秀人は見逃さなかった。振り下ろされるクロムメタルソードをスラッシュソードが砕き、そのまま懐に潜り込み胴体を真っ二つに切り裂いた。

「これが僕の実力だ。戦場でものを言うのは結果だ」

 二つに分かれて落ちていくヴァジュラ内でジェラルドは笑っていた。

「確かにな。でも主役は俺じゃないぜ?」

「何?」

 ヴァジュラの上半身はまだ動いていたため、プラズマライフルを構えることが出来たのだ。プラズマライフルから出た青い閃光はレーヴァンテインのプラズマシールドに穴を空け、一瞬だけ隙間を作ったのだ。

 そしてそこから一瞬で入ってきたEMAがあった。桃色に光る機体で、右手にはソードが、左手には盾が握られていた。

「ナーシャか・・・」

 ジェラルドが明るい声でナーシャに呼びかける。

「ナーシャ!後は頼んだぜ!」

「任せて・・・」

 シュヴァリエとインフェルノが向かい合う。

 最強の騎士同士の戦いが今、始まろうとしていた。



「やっと降伏してくれましたか・・・」

 戦場の下。洋上に不時着したドレッドノートの格納庫に乗組員が集められていた。先頭で話をしているのはロイックとライナーだ。

「私達は既に皇帝の指揮下から外れました。今はもう帝国軍でも共和国軍でもありません。その証拠に絢様は解放しました」

 撃墜された海星は頷いた。隣には菱華もいる。

「分かりました。貴方達の身柄の安全は保証しましょう」

 ロイックとライナーが安堵の溜息をついた。

「ありがとうございます。そろそろこの艦も沈みます。急いで脱出した方がいいのでは?」

 海星と菱華も頷いた。未だ上空では戦いが続いていた。



「これで!」

 ロランが叫んで、ロストシューターを撃ち込んだ。ガヘリスはそれを避け、プラズマライフルを構え、撃った。ベディウェアはそれを避ける。

「力は使わなくては生かせない!お前のような少女には力など無用だ!」

 カミーユも負けずに言い返す。

「貴方みたいな人に負けるほど弱い女じゃないわ」

 ベディウェアの中央の円形部分が開き、強力な荷電粒子砲が発射される。

「見切ったわ」

 ガヘリスは少し標準をずらし、プラズマライフルをフルバーストで撃った。お互いの攻撃はすれ違い、それぞれの方向に向かって飛んでいく。

 ガヘリスには強化プラズマシールドが用意されていたため、防ぐ事が出来た。しかし、ベディウェアは間に合わず、青い閃光に貫かれた。

「何!?」

 ベディウェアが爆発し、砕け散った。カミーユはガヘリスの戦闘態勢を崩し、一言呟いた。

「詰めが甘い奴・・・」

「甘いのはそっちだ!」

 突然の声にカミーユは肩を震わせた。爆煙の中から出て来たのは戦闘機形態になったベディウェアだった。

「特攻!」

 ベディウェアはそのままガヘリスに突っ込んだ。プラズマシールドの展開も間に合わず、ガヘリスは正面の装甲版が全て剥がされ、コックピットが剥き出しになった。立ち込める煙の中にはロランが長剣を構えて立っていた。

「詰めが甘いのはそちらだ。俺の勝利は確実になったな。我が名はロラン・ギヌメール、その心に刻み込め!」

 カミーユは落ち着き払った声で呟いた。

「そう。じゃあね」

「何だと?」

 カミーユは脱出ポッドのレバーを倒し、脱出した。そして機体は爆発する。

 脱出ポッドはそのまま洋上へと落ちて行った。洋上に着水したカミーユがまず驚いた事はロランがしっかりとしがみ付いていたことだった。流石にカミーユも驚いたのか、ロランの手をとり、コックピットに入れた。

「大丈夫?」

「何とかな。お前、子供だと思っていたら中々やるじゃないか」

「貴方もね」

 二人は見詰め合った。そして微笑みあう。ロランはその次に空を見上げた。未だに黒雲が空には立ち込めてい

た。



「ナーシャ、君とはあまり戦いたくないよ・・・正直に言ってね・・・」

 シュヴァリエとインフェルノは今、レーヴァンテインの砲塔の上に立って向き合っている。

 ナーシャもゆっくりと口を開いた。

「秀人、私は貴方を尊敬していたわ。愛する人のために躍起になって頑張るその姿に共感も覚えたし、同時に仲間であることに誇りも感じた。でも、貴方は結局自分が良ければそれでいいのよね?」

 秀人は静かに首を横に振った。

「違う。僕と愛斗には何としてもやり遂げなくてはいけない事があるんだ。邪魔はさせないよ」

 しばしの沈黙が流れる。口を開いたのはナーシャだった。

「そう・・・貴方はブリューナクが欲しいの?」

「違う!ブリューナクは存在してはいけない!しかし愛斗とブリューナクは別だ!」

「関係ない。貴方がこれ以上愛斗の味方をするというのなら・・・」

 秀人も静かに頷く。

「そうか・・・なら」


「ここで倒す!」


 二人は同時に叫んだ。

 それと同時にインフェルノのプラズマガンが火を噴いた。シュヴァリエのソードの先端からは赤い閃光が出て、インフェルノを襲う。二機は飛び上がり、一度離れたかと思うと急接近し、刃を交えた。

 鋭い音を立てて、インフェルノのクロムメタルソードとシュヴァリエのソードがぶつかる。新型のEMAの攻勢はここからが始まりだった。インフェルノが素早い回し蹴りを叩き込む。それを避けたシュヴァリエの盾からはミサイルが何十発と発射された。

「僕は君に負けない!」

 インフェルノが急上昇し、上につく。上空からプラズマガンのフルオート射撃でシュヴァリエを狙う。それを次々と避けながら、シュヴァリエのソードが回転しながらインフェルノを襲う。

「甘い!」

 インフェルノがそれを避ける。

 二機は激しい戦いを行いながら、レーヴァンテインの表面を翔けた。素早い攻撃、そして高いマシンスペック。この二つがぶつかり、二機は恐ろしい程まで戦いのレベルというものを上げていた。

「貴方達は間違っているわ!確かに力があれば人は強くなれるのかもしれない!でもそれは卑怯よ!」

 インフェルノはシュヴァリエの攻撃を避けながら、プラズマガンを撃ち込んだ。

「君は分かっていない!追い詰められた人間の心境を!僕は未来が欲しいんだ!」

 シュヴァリエはソードを構えた。先端からは赤い閃光が出る。インフェルノもそれに対抗するようにプラズマガンをフルバーストで撃った。

「卑怯者!貴方は力に飲まれているわ!」

「違う!愛斗はこうするしかなかったんだ!辱められ、散々裏切られた者の気持ちが分かるか!辛いけど、誰も頼れない!弱者はただ耐えるしかない!そんな世界に何の意味がある!」

 インフェルノの動きが格段に上がった。怒りの感情のせいだろうか。

「君は・・・愛斗を理解していない!理解しようともしていない!愛斗は自分の命を、大切な人と居られる時間を捨てたとしても、皆の幸せを願っていたんだ!」

 二機の戦いは激しさを増していた。

 


「ここからは通させないわ!」

「その通りだ!」

 渚とエティエンヌの双璧は恐ろしく、敵を寄せ付けなかった。

「この一命!ヨハン様のために!」

 プラズマシェルが高速回転を始め、次々とアルテミスを切り裂いていく。スパイラルリーファンクのナイトランスも風を切り、敵を貫く。

 レーヴァンテインの防御範囲内での戦いも激しさを増していた。敵味方が入り乱れ、攻防戦を繰り広げる。ひたすら何かを求めて。



「貴方は悪魔よ!正義を知っていながら、悪に手を染める!」

 秀人も負けじと怒鳴り返す。

「君に正義を語る資格はない!」

 インフェルノがスラッシュソードをシュヴァリエの盾に振り下ろす。盾は堅く、砕けないものの火花が散った。カウンターでシュヴァリエのソードがインフェルノを襲う。

 シュヴァリエからは再びミサイルが発射された。それを器用に避けつつ、プラズマガンで反撃した。

 二人は戦い続ける。

 彼らも何かを求めて。



「畜生!外れろ!」

 イヴォンが自分の腕を足を固定している鎖を外そうともがいている。しかし虚しくも鎖は金属音を立てるだけで、壊れる様子は全く感じられない。

「イヴォンさん、無理しないで下さい。助けは来ますよ・・・」

「そうだな・・・うわっ!」

 部屋が大きく揺れた。先ほどから揺れは収まらず、何度も爆発音が響いている。

「余程、攻撃が激しいんだな。愛斗は何処にいるんだろう」

「きっと、戦っています。愛斗さんも秀人さんもそういう人ですから。きっと弱っても、エネルギーが尽きても戦い続けると思います」



 インフェルノがゆっくりと砲塔の上に降りた。シュヴァリエもそれし従うように砲塔の上に降り立った。

 秀人がゆっくりと計器を見る。エネルギーはもう尽きていた。

「エアウィングのエネルギーが切れた。プラズマシールドも使えない。プラズマガンも弾切れだ・・・」

 ナーシャも計器を確認する。

「こっちもエネルギー切れよ。ミサイルも撃ち尽くした・・・」

 秀人とナーシャは再び向き合う。

「でも戦いは終らない!」

 インフェルノが砲塔から飛び降りた。シュヴァリエも続く。二機はレーヴァンテインの表面を器用に進み、お互いに衝突した。インフェルノがスラッシュソードをシュヴァリエに振り下ろす。シュヴァリエもソードを思い切りスラッシュソードに打ち込む。

 二つのソードは互いにぶつかり、砕けた。二機はもう一度離れ、距離をとる。

 インフェルノがブースターで飛び上がり、回転蹴りをシュヴァリエに叩き込むが、盾に防がれる。盾は粉々に砕け散った。

「くっ!」

「まだまだ!」

 インフェルノが右手の拳をシュヴァリエの顔面に叩き込んだ。シュヴァリエも壁を蹴り、一回転して攻撃を加える。

 ここからはEMAとは思えない動きが連発された。壁を蹴り、空中で何連発もの攻撃を繰り出すインフェルノ。シュヴァリエもそれに応じて、避けつつ反撃を加える。

 二機は一度、距離をとった。秀人が歯軋りをしながら呟く。

「これがナーシャの腕前か・・・インフェルノでも倒せない・・・」

「私が本気を出しているのに・・・出力最大でも勝てないなんて・・・」

 ナーシャも呟く。二人は睨みあい、怒鳴った。

「これで終わりにしましょう!」

「望むところ!」

 シュヴァリエの予備の小型ナイフが引き抜かれた。それを深く構え、インフェルノに突進する。インフェルノもそれに応じるように左手で突進してくるシュヴァリエの頭部を掴んだ。

 しかし、腕は独立部隊のように動き、インフェルノの胴体を貫き、動力部分まで貫通した。

「まだだ!」

 インフェルノの左手から紫電と同じ粒子砲が発射された。

 紫電との互換性がいいインフェルノは紫電のパーツを装備することも出来た。

 頭部を吹き飛ばされたシュヴァリエは完全に機能を停止した。ナーシャは悔しそうに、呟いた。

「勝てなかったのね・・・私・・・」

 ナーシャの右手が脱出レバーを倒した。機体から脱出ポッドが射出され、機体は爆発する。

「いや・・・君の勝ちだよ・・・」

 インフェルノの動力部分は完全に破壊されていた。次の瞬間、インフェルノは大爆発を起こした。



「殿下、そろそろ行きましょうか?」

 フェリクスがモニターを見ながら言う。

「ヨハンよ。悪いが君に消えて貰うよ。世界のためにね」

 ヴィルフリートが実に残念そうに呟く。井崎も頷き、扉から出ようとした。

「お待ちください」

 静かな声が聞こえた。その声には聞き覚えがあった。

 ヴィルフリートが正面の一番大きなモニターを見る。モニターは明滅し、愛斗が映った。愛斗は何処かの部屋の椅子に座っているようだった。

「やあ、ヨハン。早かったね」

「ええ、貴方のお陰で少し手惑いましたよ」

 ヴィルフリートは冷たい笑みを崩さずに愛斗を見据えた。

「悪いけど君には負けて貰うよ。このレーヴァンテインは自爆させる。もちろん君と一緒にね」

「そう上手くいくでしょうか?」

 愛斗がヴィルフリートと同じ笑みを浮かべた。

「このレーヴァンテインのシステムは既にハッキング済みです。私からの操作がない限り作動しませんよ。それに司令室のドアは既にロックされているはずです。もう逃げ場はありません。チェックメイトです」

 一同が黙り込む。ヴィルフリートの顔から笑みが消えた。しかし態度には余裕が消えなかった。

「そうか。では私の負けだな。さあ、早く自爆スイッチを起動させたまえ。それで私は死ぬ。君の勝ちだ」

 愛斗は首を横に振った。

「いえ、貴方を殺したところでそれは貴方の負けにはなりません。死は最大の逃げです。今日と言う今日こそ逃がしませんよ。貴方には敗北の二文字をプレゼントします」

 愛斗は淡々と続ける。

「貴方の最大の弱点はそこでした。絶対に負けないという心こそが貴方の最大の弱点。そして私は勝ちたいのです」

 ヴィルフリートは表情を一切崩さずに、頷いた。

「よく分かっているじゃないか。兄の性質が」

「ええ、そうですね。貴方は私と同じように平和を求めていた。そのための過程なら手段は厭わない。それが貴方の考えですよね。でも私は違う。貴方の言う平和とは強制された平和です。強制的に人々に平和を押し付け、世界を一つに固定する。私が願う平和とは変動を繰り返す未来です」

 フェリクスが拳銃を抜こうとする。その途端に司令室にいたオペレーターがフェリクスと井崎を取り押さえた。初めから愛斗にブリューナクを掛けられていたようだ。

 ヴィルフリートは悲しそうな表情を見せた。

「しかし、未来が平和とは限らない。世界はどんどん悪くなっていく可能性もある・・・」

 愛斗がすかさずそれを否定する。

「違う。人々は幸せを求める限り、世界は悪くならないのです。確実に、ゆっくりとでも幸せになっていくのです」

「そうかね。私はそうは思わないよ。人とはそう言う生き物だからね」

 愛斗も頷く。

「そうです。確かに人は私利私欲に走り、争いを起こします。しかしそれも幸せを求めるという事の裏返しなのです。何かを求め、より良い環境を作ろうとする。それが人間なのです」

 ヴィルフリートが溜息を吐く。

「言いたい事はそれで終わりかな?なら早く自爆させたまえ。それで勝負はつくのだからね」

「いえ、そうはいきません。貴方には死では無く、もう一つの結末を用意していますから」

「まわりくどいね。早く言いたまえ」

 愛斗が椅子に座りなおした。

「貴方は優秀です。いい政治家であることは違いないでしょう。そんな優秀な人材をみすみす殺すと思いますか?貴方なら優秀な人材が居た場合どうします」

「是非、起用したいね」

「そうでしょうね。私もです」

 ヴィルフリートが少し顔を顰め、愛斗を見つめる。

「そんな画面越しに喋るなんて君らしくないじゃないか。堂々と出てきたらどうかね?」


「ええ、そうさせていただきます」

 

 今度の声は近くで聞こえた。ヴィルフリートの正面にいたオペレーターがゆっくりと振り向き、帽子を取った。服も脱ぎ捨てる。オペレーターの制服の下から出て来たのは皇帝の正装だ。

 ヴィルフリートが初めて動揺した。

「何だ。初めからそこにいたのかね」

「ええ、貴方を味方にするためにね」

 愛斗の両目が輝いた。

「まさか!」

 それと同時に愛斗の両目が今までに無い輝きを見せた。

「最初で最後の力だ。貴方を創りかえるための・・・」

 その光を直視したヴィルフリートは呆然とその場に立ち尽くした。愛斗が胸を押さえ、うめく。光が収まると同時に、愛斗は床に倒れた。呻き声を上げながら、何とか立ち上がる。

「陛下、ここは危険です。お逃げください」

 ヴィルフリートが愛斗に声を掛ける。愛斗も頷いた。

「させないぞ!」

 井崎がオペレーターを振り払い、拳銃を愛斗とヴィルフリートに向かって構えた。

「澪坂愛斗!貴様に世界を渡すわけにはいかない!」

「止めてください!井崎さん!」

 フェリクスが押さえつけられながらも止めようとする。井崎は無視して怒鳴った。

「お前は死ね!」

 井崎が拳銃の引き金に手を掛けるのと、司令室のオペレーターが一斉に井崎を蜂の巣にするのは、ほぼ同時だった。

「ああ・・・・・・」

 井崎が床に倒れる。愛斗は冷たく見下ろした。

「・・・閣下・・・お助けください・・・閣下のお役にたって見せます・・・」

 愛斗は表情を何一つ変えなかった。

「井崎、お前のような弱者には世界を変える資格はない」

 愛斗は冷たく言い放ち、ヴィルフリートに指示を出した。

「早く逃げろ。逃げ遅れるぞ」

「はい」

 ヴィルフリートは部下を連れて司令室を後にした。井崎は既に息絶えていた。フェリクスは呆然と魂を抜かれたように歩いて行った。

 愛斗は全員が出て行くのを確認すると、床に倒れた。自分の肉体が限界を迎えている。もう長くは持たないだろう。

 愛斗は壁に手をつきながら、紫電へと向かった。



「自爆装置が作動しました。乗組員は至急、避難してください。繰り返します・・・」

 ロイヤル・スペースに艦内放送が流れた。イヴォンが焦り始める。

「くそっ!外れろ!」

 イヴォンが必死に鎖を外そうとするが、やはり外れる気配はない。

「もう駄目なのか・・・」

 イヴォンが呟いた。それと同時に扉が思い切り吹き飛んだ。入ってきたのは秀人だった。

「リリー、イヴォン!」

 秀人が駆け寄り、拳銃で二人の鎖を壊した。

「サンキュー!助かったぜ」

「ありがとうございます。秀人さん」

「お礼はいらないよ。さあ、急ごう!」

 秀人はリリーを背中に乗せ、急いで格納庫に向かった。



 格納庫には既にEMAは一機も残っていなかった。秀人が悔しそうに歯軋りをした。

「秀人!お前のインフェルノはどうしたんだよ!」

 秀人はイヴォンたちを見て、済まなそうに呟いた。

「ナーシャと戦って壊されたんだ。ごめん」

「そんな・・・」

 イヴォンが崩れ落ちる。脱出手段は断たれた。三人が落胆し、諦めかけたその時、声が聞こえた。

「秀人君!」

 秀人が顔を上げると、格納庫の入り口から渚のスパイラルリーファンクが見えた。

「渚!」

 秀人が叫んだ。スパイラルリーファンクは三人の前に着地した。コックピットから渚が出てくる。

「早く!」

 秀人がリリーをまず押し上げる。リリーが乗ったことを確認すると、次はイヴォンが乗り、最後に秀人が乗った。

「行くわよ!」

 スパイラルリーファンクが発進した。渚は大分、焦っているようだった。

「急がないと間に合わないわ。愛くんが・・・」

 秀人もその事を思い出した。

「渚、愛斗は?紫電はどうした?」

「レーダーではもう脱出したみたいよ。でも急がないと・・・」

「そうだな。間に合わなくなる」

「何がだよ?」

 何も知らないイヴォンが質問する。

「それは・・・とにかく急ごう」

 


 愛斗は紫電に無事乗り込み、脱出に成功していた。後ろではレーヴァンテインが爆発を始めている。

 愛斗は不意に胸に手を当てた。そこには何時もあるロケットが無かった。

 薄れ行く意識の中で愛斗は一つの会話を思い出した。



「秀人、予定通りに全てが成功している。後はレーヴァンテインを消し、俺が全てを終らせるだけだ」

 ここはドレッドノートの談話室だ。レーヴァンテインとの接触までは後、三時間程だろう。秀人とどうしても話さなくてはいけないことがあったのだ。

 秀人も愛斗の心境を察したのか、真剣な顔で見つめた。

「考え直せないのか?リリーのためにも・・・」

 愛斗は首を横に振る。

「それはダメだ。俺が居る事によって、リリーは傷ついてしまう。それに俺にリリーを笑顔にさせる事は出来なかったみたいだ。だからお前にこれを渡したいんだ」

 愛斗が差し出した手には一つのロケットが握られていた。愛斗が何時も身に付けている奴だ。

「これはな、リリーと俺の絆の印なんだ。でも今日からこれはお前の物だ。俺には無理だったが、お前ならリリーに笑顔を与えることが出来ると思う。俺に代わって、リリーに笑顔を、未来を見せてやってくれ」

 秀人は黙ってそれを受け取った。

「愛斗・・・君はもう・・・」

「ああ。俺はこの戦いで全てを終らせる。世界を、この悪魔の力で救ってみせるんだ。俺の命を払って」

 秀人も頷いた。

「君の犠牲は無駄にしないよ。僕らが新しい未来を作っていく。君のような人が出ないために。でも・・・代われるものなら君と代わりたい」

 愛斗は少し残念そうな顔をした。

「いや、秀人。お前には、お前やリリー、渚達には生きて欲しい。俺の作った世界で、笑顔で、幸せになって欲しい」



 撫子はその頃、落ちていくレーヴァンテインを見つめながら、涙を流していた。

 愛斗への想いが胸に溢れる。

「愛斗・・・お前は・・・ブリューナクの存在意義を覆した。お前はこれで・・・」

 撫子の瞳から落ちた涙が海に流れる。初めて本気で流した涙だった。



「未来は、世界はこんなにも輝いている。俺は世界を変えることが出来たんだ。お前たちのお陰だよ」

 愛斗の呟きに秀人は力強く頷いた。

「愛斗・・・君の気持ち、全て僕らが受け継ぐ・・・」

 愛斗は満足そうに微笑み、部屋から立ち去ろうとした。秀人がそれを止める。

「待ってくれ。愛斗、せめて最後にリリーに会ってくれないか。一度でいい。約束してくれ・・・これが最後の約束だ・・・」

 愛斗は黙って頷いた。

 秀人の目からも涙が零れ落ちた。



 強い衝撃で愛斗は我に返った。紫電は不時着したようだ。

 愛斗は最後の力を振り絞って、コックピットから出た。空は青く、澄み切っていた。愛斗はそのまま転げ落ちるようにして、地面に倒れた。仰向けに転がり、空を仰いだ。

「綺麗だ・・・」

 一言呟いた。



「秀人君、紫電の不時着場所が分かったわ」

「そうか。急いでくれ」

 秀人はコックピットを開け、下を見た。

「あったぞ!紫電だ!」

 スパイラルリーファンクは急降下し、紫電の近くの海に着水した。そのまま陸まで滑空し、停止する。秀人は紫電の横に横たわる愛斗を見つけた。

「愛斗・・・」

 一言呟き、秀人はスパイラルリーファンクから飛び降りた。愛斗の下へ走っていく。

 愛斗はうっすらと目を開いていた。しかし瞳に既に生気はなく。生きているのかも分からなかった。愛斗の正装はあまり乱れておらず、王冠を模った黒い帽子は直ぐそこに落ちていた。

 秀人は愛斗の肩を掴み、揺さぶった。

「愛斗!リリーが来たぞ!もう一度会ってくれ!約束しただろ!」

 その言葉に反応したのか、愛斗の手が秀人の腕を軽く握った。

 それを確認した秀人は渚たちに向かって叫んだ。

「急いでくれ!」

 渚とイヴォンでリリーを支えている。直ぐそこまで来ると、リリーは二人から離れ、愛斗まで這って行った。

 リリーは愛斗の顔を見つめる。その顔はもう死を目前にした顔だった。イヴォンも気付いたのか、拳を握り締めた。

「愛斗・・・さん?」

 愛斗の顔には笑みが浮かんでいた。薄い笑みだった。しかし、その笑顔は澄み切っていた。

「どうしたんですか?」

 事態を理解出来ないリリーは秀人に尋ねた。

「愛斗は・・・もう死ぬ・・・最後はリリーに看取って欲しいと思って連れてきたんだ。愛斗はブリューナクの副作用で自分が死ぬことを前から知っていた。でも死を覚悟してでも世界のために戦ったんだ」

 秀人の話を聞いたリリーは涙を抑えられなかった。大粒の涙が愛斗の服に零れ落ちる。リリーは愛斗の腕を握り、自分の頬に触れさせた。

「愛斗さん・・・私から最後に一言言わせてください。今まで言いたかった事です・・・愛しています・・・だから・・・」

 その言葉が愛斗に届いたのかどうかは定かではない。しかし、その言葉に愛斗の目が少し力を取り戻した。両目の赤と青が消えていき、元のように漆黒の瞳に戻った。

 乾いた唇がゆっくりと動き、言葉が聞こえた。


「空が・・・綺麗だ・・・俺は・・・未来を・・・創って・・・・・・みせる・・・・・・・・・・・」


 最期の言葉だった。

 愛斗の瞳がゆっくりと閉じていく。完全に閉じた時、リリーの握っていた愛斗の腕から力が抜けた。

 愛斗は一番愛していた少女に看取られ、十七歳の生涯を今、閉じた。

「愛斗さん!?目を開けてください!いや!死なないで下さい!愛斗さん!」

 リリーが叫びながら、愛斗の体を揺さぶった。

 しかし、愛斗からの返事はない。穏やかな死に顔はまるで眠っているようだった。いや、そうしか見えない。

 いち早く我に返った渚の目からも大粒の涙が零れ落ちた。スパイラルリーファンクの無線で全軍に繋がるようにし、震える声で喋り始めた。

「全軍に告ぎます。皇帝陛下が戦死いたしました。全軍は速やかに戦場を離脱し、これ以降の戦闘は禁じます。繰り返します・・・」

 イヴォンも膝から崩れ落ちた。秀人もイヴォンの肩に手を置き、泣いた。

 リリーは愛斗の顔をもう一度見つめた。穏やかだった。

「愛斗さん・・・どうしてですか?私は世界なんてどうでも良かったのに・・・愛斗さんが居ないなんて、もう笑顔も見ることが出来ないなんて・・・私には・・・」

 次の言葉は出てこなかった。リリーは愛斗の温もりの残る胸に顔を埋め、泣いた。大声で泣いた。泣き声は悲しく、聖域に木霊した。

 空は青く輝いていた。未来を示すかのように。

エピローグもあります。

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