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秀人と愛斗!  作者: ゼロ&インフィニティ
第六章 蘇る悪魔
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四十四話 最悪の再会

そろそろクライマックス突入ですかね?

え?誰も期待していないって?まあごもっともですね。

「酷い目に遭ったな・・・最悪だ」

 撫子が不機嫌な顔で呟く。倉庫街の戦闘で謎の試作機に大敗した愛斗の軍は傷ついた仲間を助けながら集合地点へと向かった。

「撫子さん、もう少しで集合場所ですから文句は後でにして下さい」

 疲れ切った兵士達が集まったところで愛斗は咳払いをした。

「諸君、前に戦闘はご苦労だった。お陰様でいい情報が集まった」

 兵士達が静まり返る。

「まず俺の指揮のミスを謝罪しよう。予想外の出来事だった。戦死者八名、負傷者十名の損害、しかしこれは我らが手に入れた情報と比べれば安い物だろう」

「閣下、それより手に入れた情報とやらを」

 愛斗は手でその声を抑制した。

「焦るな。まず大打撃を我々に与えた新型機の情報を手に入れた。奴は光学迷彩により姿を消す事が出来る。その間はレーダーにも映らない完璧なステルス機能もついている」

「それは無敵という事ではないのですか?」

 愛斗は首を振った。

「いや、秋水で俺は奴に蹴りを入れた。透明でもダメージは与えられるという訳だ」

「でも量産機じゃどうしようも無いんですよね」

 ロランがゆっくりと歩いてきた。

「ロラン、戻ってきたか。紫電はどうした?」

 ロランは新しい紫電を運ぶために戦闘には参加していなかったのだ。

「ばっちり運んできましたよ。カリーヌも一緒です」

「そうか。ではお披露目といこうか」

 ロランが笑顔で頷く。

「分かりました。でも隊長、この戦争は厳しくないですか?」

「何故だ」

「こっちは向こうと違って戦力不足ですよね。海星さんは行方不明でカノンさんとアルヴィはこの世にいない。主力が欠けてますね」

 愛斗は少し考え込んだ。

「お前の言うとおりだ。そのために紫電がある」

「そうですよね。俺の新EMAもあるですし、何とかなりますよね」

 愛斗はロランの肩を強く叩いた。

「その意気だ。油断するな」

「了解」

 すると撫子が手を叩きながら間に入ってきた。

「男の友情よりも早く新しい紫電を見せろ。皆、呆れているぞ」

 愛斗が兵士を見ると、全員が間の抜けた顔でこちらを見ている。愛斗は気を取り直すように咳払いをした。

「では見せるとしよう。カバーを上げろ!」

 ロランがカバーを引っ張った。中には黒い悪魔が悠然と立っていた。

「おお!・・・て、何か変わりました?」

 確かに何時もと変わらぬ紫電だ。愛斗が脚を叩きながら説明した。

「この紫電はスイス連邦が開発した新機能ニューシステムである高出力飛翔翼ハイパーエアウィングを六枚取り付けた。これにより機体性能マシンスペックは従来の紫電の十倍近くの機動性を手に入れた訳だ。プラズマシールドに代わり、エアウィングと同じ種類タイプのエネルギーシールドを全身に任意で展開出来る。その他にもスイス連邦開発の新兵器も搭載してある最強のEMAだ。これの正式名称は「紫電夜刀神零零式しでんやとのかみぜろぜろしき」だ」

「長いな・・・」

 撫子のどうでもいいツッコミに全員が頷いた。

「まあ、その分の性能は持ち合わせている訳だ」

 愛斗は懐から一つのボタンを取り出した。それを押す。

「それは?」

 渚の質問に愛斗が答えた。

「これは仕掛けた爆薬の起爆スイッチだ。今ごろは政庁府を中心とする地域で大騒ぎだな」

 ロランが笑みを浮かべた。

「その隙に攻撃を仕掛ける訳ですか?」

「そうだ。だが俺は別行動をとる。新型機を誘き出して始末するために・・・」

 愛斗は一息いれて叫んだ。

「分かったら行動開始だ!」

 

 政庁府に帰還した秀人達は惨劇を目にした。政庁府の回りの市街地や高層ビルが崩れ、炎上していたからだ。

「秀人!これはどういうことだ?」

「分からない!でも敵の仕業だという事は分かる!」

 秀人はヴィルフリートの回線に繋いだ。

「殿下、これはどういう事ですか?」

「秀人卿、敵襲だ。奴らはこのエリアの地下に爆薬を仕掛けて壊滅させた。敵影がこちらに向かってきている。そこで迎え撃て」

 秀人は少し腑に落ちないが頷いた。

「了解、ジェラルドにも伝えます」

「聞こえてるぜ。迎え撃てばいいんだな?」

 秀人は頷いた。

「殿下、リリーは?」

「彼女はオプティックで敵を迎え撃っている。援護してやってくれ」

「了解」


 リリーはオプティックのコックピットで素朴な疑問を抱いていた。

「私は・・・人を殺した・・・?それでは愛斗さんと同じ?」

「リリー、これは平和のためだ。目を瞑れ」

「でも、私は・・・」

「これは命令だ」

 リリーは仕方なく頷き、敵の追撃を開始した。

 その時、オプティックの前に一機のEMAが降り立った。そのEMAは見事な六枚翼を広げた。

「ヴィルフリート様?未確認EMAです」

「分かった。情報を送れ」

 直ぐにデータがリリーの脳内に送られてきた。

「紫電?愛斗さんの?」

「解析の結果はな。しかし紫電などオプティックの敵では無い。撃墜しろ」

「分かりました」

 オプティックは不可視領域インポッシブルエリアを発動し、姿を消した。

「またか・・・小賢しいな」

 紫電は全身からミサイルを発射した。

「燻り出してやる」

 愛斗が目を凝らすと、ミサイルが空中で爆発した。

「そこだ!」

 紫電は二刀流の構えで迫った。

「えっ??」

 リリーが呆気に取られた。速い・・・速すぎる・・・スピードに追いつかない。

 オプティックは瞬間氷結砲ブリザードモーメントを紫電に撃ち込むが全て避けられた。

「ヴィルフリート様?駄目です。勝てません」

「バカを言うな!オプティックで勝てぬ相手などいない!」

「しかし・・・!」

 気がつくと後ろに回り込まれていた。鋭い二刀流の一閃でオプティックの胴体にひびが入った。

「嫌!死にたくない!」

 リリーは死の恐怖で操縦桿から手を離してしまった。脱出レバーを倒す。

「逃げたか・・・」

 その時、撫子からの通信が入った。

「どうだ、愛斗?」

「撃墜した。呆気なかったな」

「殺したのか?」

 愛斗はため息をついた。

「いや、逃げられた」

「そうか・・・なあ、お前は誰が乗っていたのか気にならないのか?」

 愛斗もはっと気付く。

「確かに気になるな。誰だか知っているのか?」

 撫子は皮肉の篭った声で言った。

「リリー・ケンプフェルだと言ったらどうする?」

「何?本当か?」

 撫子が頷く。

「ああ、先ほどの戦闘で気付いていた」

「何だと?何故先に言わなかった!」

 愛斗は遂、怒鳴ってしまった。

 愛斗の心の中に一つの希望が芽生え、その喜びに飲まれそうになる。

「リリーが・・・生きている?」

「そうだ。今ごろは脱出して政庁府に向かっているだろう。奪還するならそこが狙い目だ」

 愛斗は何時もとは違う笑みを浮かべた。安堵の笑みだった。

「そうか・・・礼を言うぞ」

 紫電は方向を変え、政庁府の方角へと向かった。




次回予告

遂に愛斗の前に敵として姿を現したリリー。

しかし愛斗はリリーを救出すべく、単独で政庁府に乗り込む。

二人の絆はまだそこにあるのか?

次回四十五話「リリー奪還作戦」お楽しみに


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