二十五話 秀人の選択
二十五話目です。今回から後書きに次回予告?みたいなものを書いていきます。
翌朝、兵士や指揮官などほとんどの兵員が二日酔いでつぶれていた。
「今、敵が攻めてきたらどうするつもりだ?」
愛斗はぼそっと愚痴を吐いた。カノンも愛斗の横で呟いた。
「酷い有様ですね・・・」
愛斗も頷く。ロランが上半身裸で大鼾をかいている。アルヴィはその隣でぐっすりと眠っていた。
「アルヴィは酔ってはいないようだな」
秀人の姿は見当たらない。もう出発したようだ。
「せいぜい楽しめ、一時の休息だ」
愛斗はその言葉を兵員と秀人、両方に向けて言った。
秀人は久しぶりに見るクローディヌの屋敷の前に立っていた。緊張しながらベルを鳴らした。数秒経って中から返事が返った。
「はい、どちら様ですか?」
クローディヌの声だった。秀人は緊張しながら言った。
「僕だ、秀人だよ」
驚きの声が聞こえた。直ぐに扉が開く。クローディヌが今にも泣きそうな目で見てきた。秀人は済まなそうな顔で言った。
「クローディヌ、心配かけたよね?ごめ・・・むぐっ!」
いきなり抱きついてきたので秀人は息が詰まった。
「心配しましたのよ!反乱軍になったと聞いて、あの澪坂愛斗に唆されたに違いないと思いました!」
秀人はばつの悪そうな顔をして言った。
「確かに愛斗が言い出した事だ。だけど間違った事はしていない」
一先ず、応接室で秀人は愛斗の事情を説明した。聞き終えてからクローディヌは納得したような顔で言った。
「澪坂愛斗の事情はわかりました。でも秀人さんは澪坂愛斗に利用されているだけです。気づかないのですか?」
秀人は首を振り、言った。
「確かに愛斗はそう言った。でも僕は自分の意思で愛斗と行動してる。愛斗の復讐は正当な物だ」
クローディヌはそれを否定した。
「正当な復讐など存在しません。如何なる理由があっても人を傷つけてはいけないのです」
秀人は落ち着いて言った。
「じゃあ、クローディヌは僕が愛斗に利用されて死んだら黙っていられるかい?きっと愛斗を殺そうと思うんじゃないのかい?」
クローディヌは下を向き言った。
「確かに無理です。でも本当の友達だと思うのだったら、正しい道に気づかせるべきです。そうする事によってその人も他の人も救われるのではないのですか?」
秀人に頷いた。
「愛斗を救う・・・でも、どうやって?」
クローディヌは秀人の手を取り言った。
「それは貴方が考えるべき事です。今日は泊まっていってください」
秀人は頷き、寝室に向かった。愛斗を救うこと・・・それが今自分に出来る一番の事なのか?
「誰か教えてくれ!僕はどうすればいい?」
秀人は叫んでいた。
翌朝、秀人はクローディヌの家を出た。秀人の心は決まっていた。クローディヌが心配そうに声をかけた。
「秀人さん。やっぱり行くのですか?」
秀人は力強く頷いた。
「あぁ、でも復讐じゃない。愛斗を正しい道に、そして救ってくるんだ」
クローディヌは微笑んだ。
「よく決断してくれました。貴方は澪坂愛斗の本当の友達ですね」
秀人は手を振りながら駅に向かった。愛斗を変えるのは自分しかいない。そう思うと太陽が一段と輝いて見えた。
次回予告
遂に愛斗を救う事を決めた秀人の行動とは?
その時、愛斗は?そして、皇国最強の部隊、聖霊騎士団が動き出す。
次回、二十六話「ホントウノトモダチ」お楽しみに