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第二章 プロローグ 最後の藁
青空の下、大きく息をつく。
思えば変な日々だったな、などと呑気にも考える。
あれだけうざったく思いながらも、あの腐れ縁……イヌとは結局長い付き合いになったし、霧生だってそうだ、あんなに離れたくて仕方なかったというのに。これが幼馴染、というやつか。
「うげえ」
思わずそうこぼす。やはりどれだけ長くいても俗物的な関係名は受けつけないらしい。
……本当、まさかこうなるとは、思ってもみなかったな。
白衣干さないとなぁそろそろ、なんて考えつつ、タバコを吸う。視界いっぱいの綺麗な、空。
フラスコの底で淀んでいる青は、確かに俺に見知った青ではないような気がした。まぁ色は俺の好みで着色したから、使用するのに害はないとは思うが。そう考えてから、空のタバコの箱をポケットに突っ込む。
「……これが最後の一本か。これで帰れんかったらどうしよ、俺タバコなしじゃ生きられへんねんけど」
どっかの犬のように独り言をほざいてみる。眼底を塗りつぶすほどに空が青い。ただそれだけを今は考えていた。




