抹茶の羊羹
先日、桜が満開に近い状態になった。
いつもの道を自転車から降りて、その様を眺めながら通り過ぎた。空き地に植物が生えていたので、そのまま近付いたら、白詰草だった。緑の葉が一面に茂る中に白い飾りのような花がぽつぽつと咲いており、よく探したら四つ葉が見つかるかもしれない、などと思いながら、その場を後にした。
■抹茶の羊羹
買い出し時、いつも視界に入れながら手に取らなかったものがある。羊羹である。普通のものと抹茶の2種類があって冬の間中、気になっていた。毎年、桜の時期には桜餅をいただくのが定番だったのだが、今年は羊羹にしてみようと思って、今日までとっておいた。
そして春になり、待ち詫びていた日が訪れた。改めてよく見ると、その色味は「沼」を連想させた。私の春が手の中に在り、沼としての可能性を秘めている。それを今から食すのだ。
思った以上に羊羹は甘く、抹茶の微かな後味を濃い目の緑茶と共に飲み干した。実際のところ、味は何でもよかったのかもしれない。待ち望んだ「春」を「食んでいる」という感覚を存分に味わうことができれば、それで十分だった。そして満開の桜に囲まれていただく甘味は、やはり格別なものだった。
桜餅は八重桜の見頃まで、とっておきたいと思います。