第三話 機械と技術と
陣地の西奥。そこはアポカリプス・リベリオンズの兵器倉庫兼整備区画となっている。
時刻は二十一時を回ったところだろうか。夜も間も無くふけってくる頃だというのに、整備区画は未だに稼働状態だ。
「もーう。あね様ったらまた無茶な運転したっすねぇ? カウルがあちこち欠けてるっす」
ちんまりとした少女が、ユーリスのマナバイク、簒奪者の整備を行っていた。
背はそんなに高くなく、どちらかと言えば低い方で、十九歳と言う年齢の割には身体の成長もまだ発展途上。黒髪美人ではあるが童顔なため、初対面の人物が相手だと十中八九、低年齢に見られがちだ。まだまだこれから成長していくんす! とは彼女の談である。
常に袖の緩んだ白衣を身に着けており、その下には技術者らしく動きやすいTシャツとオーバーオールを着ている。頭にはいわゆるぐるぐる眼鏡を乗せているのだが、かけた瞬間に普通の眼鏡になる謎使用だ。
「よし! これでキレイになったっすね!」
簒奪者を新車同様に修理し終え、リリルカ=スノードロップは額の汗をぬぐった。煤かオイルかはわからないが、あせをぬぐった箇所に黒い線ができている。