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「嘘でしょ?」
「こんなこともできるんだ」
腕を伸ばして、人差し指を向ける。
腕を下から上へ動かした。
十メートルほど先で、花火の様な閃光が次々と上がる。
赤や青、緑やオレンジ、黄色、紫、シュッシュッッシュ!
パチ、パチ、パチ。
火花が散る。
「綺麗……」
少女の瞳にキラキラと華のような光りが映り込む。
顔がほころぶ。
少しは打ち解けられたかな……
「どうかな、これが人を笑顔にする魔法……なんてね」
少女は笑顔を信也に向ける。
二人は笑いあった。
「よし、ご飯買ってこよっか」
「うん」
「おにぎりでいい?」
「パンがいい」
自転車を押すおじさんと少女が夜道を並んで歩きだした。
テレテレテレン、テレテレテン。
コンビニに入った。
「何食べたい」
「えーと、じゃあ」
ケーキなどが置いてあるコーナーに駆け寄った少女は、
「こっからここまでぜーんぶ」
と笑顔で言う。
棚にあるスイーツ全てだ。