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「なんだ?」
信也が目をこらして見ると、小さい物が寄り集まって、球状のドームを形成している。
何かが公園を覆っていたのだ。
(とにかく降りてみてみるか)
自転車のペダルをこぎながら、まるで道を走っているみたいに徐々に下降していく。
「ほ! ほ! ほ! ほ!」
着陸と同時にブレーキをかけてキーと甲高い音が鳴った。
「これは……」
信也の目の前には、何百、何千、何万なのか見当がつかないが、おびただしい数の蝶々がいる。
黒いアゲハチョウだ。
夜に蝶かと信也は思いながらもある一つの見当をつけていた。
(使役魔法か……)
しかし何のためにこんなことをしているのだろうか、といぶかっていたがこの蝶の大群の中心点に何かあるのだろうと思いを巡らせた。
「風よ、鎧となり我身を包め」
信也が何やら呪文めいた言葉を発した後、公園に足を踏み入れる。
蝶は信也に一定の距離を保ち接触せずにいる。
信也は風に包まれ、蝶たちは信也の体に近づけない。
視界は蝶々、てこな、てんがらこ、かはびらこ、てふてふ、ちょう、バタフライ、シュメッターリング、パピヨン、ファルファッラ、マリポッサ、パーピリオー、プシューケー、ペタルデス、バーバチカ、フリンデッル、フリンダラ、ラマラマ、ボルボレッタ、ファラーシャ、ナビ、フーディエ、モティール、ティトリー、フェァーリル、キペペオ、フルトゥレ、 プタリ、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、蝶、