前世と今の
オレの前世は、セイヤという十九才だった? 小学校に登校しながら、そんなことを考えている。今までの夢といい、あのドクンッとなった感覚といい、オレはちょっとずつ自分の変化に気が付いた。そうだ、オレは今はシンジだけど、前世はセイヤという十九才のワルだった。でも、こんな話は小学校の誰にも言えない。そこで、今日の下校の時に、あのジジババの家に行こうと考えている。きっとジジババならば話はわかってくれるかも? オレは小学校で、いつも通りに過ごした。
放課後、下校している。ナッちゃんと別れて、オレはジジババの家の前で立っている。いろいろとジジババとの前世での思い出がよみがえる。すると、家からジジババが出てきた。もちろん、今のオレには気付かない。あのジジババの顔がスゴくなつかしい気分にさせる。オレはこう言った。
「ジジババ、こんにちは!」
「あら、こんにちは、どこの子かいね?」
ジジババはオレのことをよその子だと思っているようだ。次にオレはこう言った。
「オレだよ! セイヤだよ! ジジババ、シゲルとトミコって名前だろ!? オレは生まれ変わりなんだよ!」
オレの言葉にジジババはびっくりした感じだ。オレはさらにこう言った。
「オレが小さい時に、十万円のお年玉くれたり、オレのオトンオカンにはヒミツで五百万円の口座を作ってくれたりしてくれたろ? オレの名前はセイヤだよ!」
すると、ジジババはゆっくりとオレに近づきこう言った。
「あんた、本当にセイヤなの?」
「セイヤ、生まれ変わりなのか?」
「そうだよ!」
オレは笑顔で答えた。そうしたら、ジジババは泣きながら、「セイヤ、お帰りなさい」と言ってくれる。オレは笑顔だけど、ちょっとだけ心が痛かった。オレは前世はワルだったから。オレは前世でリンチされて恐らく死んじゃったから。でも、今はこうやって前世のジジババと再会できたことが嬉しかった。