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― パンドラの匣《はこ》 ―

 20世紀末、中東で一つの独裁国家が崩壊した。

当時の合衆国の思惑(おもわく)、それは争いの勝利によってのみ

もたらされる絶対的正義であった。


 戦争経済による特需、それは副産物に過ぎない

ホワイトナイトたる彼らが正義の(つるぎ)をもって世界の平穏を作る。

それが彼らの行動原理であり、ニュース映像で対岸の火事のように

傍観する我々も彼らの行いを概ね友好的に捉えていた。


 歴史の表舞台で悪が台頭すると必ず振り降ろされてきたその正義の剣は

当然のごとく、この砂漠の独裁者も貫いた。

 しかしてそれは、悪の頂点に君臨する必要悪としての蓋。(たが)だと解ったのは

彼らの言う正義が執行された数年後の事だった。


 地獄の釜を塞いでいた蓋が開いてしまった結果、有象無象の暴力(テロ)が溢れだした。

暴力(テロ)という細菌が、今や聖騎士(合衆国)の指先から

徐々に世界の秩序を蝕みつつある。

彼等が得意とする組織的戦闘では治癒することの出来ないその細菌性の病(テロリズム)

緩やかに、しかし確実に世界中を覆っていくのだろう。


 国連憲章による超大国同士の武力均衡と核抑止による強制的平和の状態は

破滅的に成るであろう超大国同士の核戦争(第三次世界大戦)こそ効果的に抑止してきたが

対テロ戦争に直面した現在において、その効果はもはや懐疑的に捉える他無く

その支配構造による平和維持の状態は、もはや崩壊寸前ではないだろうか?






軍事ジャーナリスト、神崎 勉  著 


      マクロ化した理想的平和とミクロ化する戦争形態 より抜粋

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