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俺の超常バトルは毎回夢オチ  作者: みやちゃき
第三章
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第一部 三章 「不死身ファンファーレ」

これは、今、俺が見ているのは。

「これは、夢だ」



 朦朧もうろうとした意識が鮮明になり、視界にかかった霧が晴れて。

 そして、明晰めいせきになる。


 そうだ、夢だ。


 なんの夢か? そんなの答えは簡単だ。


 昨日観たばかりじゃないか。

 四人で。確かこれがその通りに進んでいるのだったら、本当に夢なら、確か、確か次は。


「………………次は落とされるんだよな」


 絶対にそんなことはないはずなのに、背後のドラゴンに嘲笑あざわらわれた気がしてから一瞬、ふわぁっと宙に浮いた。


 体を掴まれていた圧迫感が消え、軽くなったと思うと、先ほどまで見下ろしていた雲がすぐ横にあった。そしてポツンと小さく見えていた島が迫ってくる。恐ろしいほどの風圧で目が開けられない。


 少年は、空に落ちる。そんなゲームのキャッチコピーがあったら素敵じゃない?


 勢いよく落下し、上に上がっているのか下に下がっているのか感覚が分からなくなる。スカイダイビングをしているようだった。


 一つだけ違うのはパラシュートを持っていないことだろうか。

 しかし焦りや恐怖は全く感じない。


 むしろ、この状況を楽しんでいる。

 だって、人が作った命綱なんかよりよっぽど良いものを持っているから。


 できるだろうか、俺に。

 大丈夫、心の中で優しい男の声が聞こえる。

 なれるだろうか、俺に。

 なれる、なれるに決まってるだろう。

 今度は確かに力強い自分の声だった。


 不安を振り払うように俺は無理やり両目をこじ開けた。

 そしてたぎる思いを胸の奥から手繰り寄せて、溢れる情熱そのままに口を開く。


「物語の主人公は、この俺だあああああああああああ!」


 それは言葉になったのかわからない。

なんせこの風圧の中だ、叫び声というよりただの慟哭どうこくだったかもしれない。


ただ、俺の、心よりもさらに奥にある魂に、ゆらり炎が灯された。


 孤島がただの緑色ではなく、その色をした森林の部分と、肌けた地面の部分やら流れる川が見えるくらいに近づいた。


 そろそろだ。

 そろそろあの場面が来る。


 いくら主人公とは言え、このまま落ちたら死ぬ。


 伝説の勇者だって魔界の覇者だってなんの補正もなく見るも無残な肉塊へと姿を変える。唯一死なない主人公がいるとしたら不死身の能力を持ったやつか、落ちてもバイーンと横に広がり、また元に戻るアメリカの漫画くらいだろう。


 瞳を閉じながら五感と、頭の先からつま先までの全神経を集中させる。


 脳裏で描く、夢見た光景。

 そして頷く、夢見る中で。


 アブラカタブラに代わる魔法の言葉を唱えた。



全身硬化フルメタル



 身体中からまばゆい光が溢れ出す。

 体を包むその炎の色は。

 きらめく銀色をしていた。


    


             ☆    ☆     ☆ 

  


 人は何メートル以上の高さからから落ちたら死ぬ、という明確なデータはない。

 なんと6700メートルから落下しても生存していた事例もあるらしい。


 きっと相当な五接地転回法の使い手だったに違いない。

 一般人ならば紛うことなく死ぬだろう。そもそも転落死する人のほとんどは、落下する直前にショック状態になり既に心肺停止に陥っているらしい。


 だがもしも、遥か彼方の上空から雪や植え込みなしの地面に落とされても傷一つなかったら……。


 それはまさしく、奇跡と呼ぶにふさわしい。

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