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うそつきのいろ[代理投稿]

作者: エリオ

友人の作品の代理投稿です、ご容赦下さい。


「これが赤」

柔らかな指先がトン、と海を指さす。

「あか、あか」


絵本の上に乗った、あどけない色たち。それを、私は追っていく。


「これは黄色」

今度は木を

「きいろ」


「これが黒よ」

夜空に光る星を指さす。

「くろ、きれいだね」

キラキラ、と手を両側にいっぱい広げると、キラキラが目に浮かぶみたいで。

めいっぱいの笑顔を母に向ける。


ママはふわりと笑って、そうね。と一言だけ呟いた。





「愛ちゃん、へん!!」

指がわたしに向いている。


泣いて緑になって歪んだ目が、わたしを見つめている。

ぐちゃ、とした感情が湧き出して、

服の裾をぎゅっとつかんだ。

「なんで?」


その子のめがぐにゃりと曲がる。


「へんなのはへんなの!」

地団駄を踏むその子。

「たいようさんはあかなんだよ!」

あか、あかじゃない。

「ちがうよ、むらさきだよ」


その子の顔が、事更にゆがむ、

悪いものを見つけた顔。

「やっぱり、へん!」



「りゅうくんも、そうおもうよね?」

隣にいた男の子も、こくりと頷いてわたしを同じ目で見つめる。

ぐるぐるってこみ上げる嫌なものが、どう使用もなく溢れ出す。

「ちがうもん、むらさきだもん、」

ウソなんかついてないのに、どうしてだろう。

「だって、ままがいってた」

ボロボロと涙を溢れさせるわたしをみて、

その子はぐっ、と泣くのを我慢するような顔をする。

「うそつき!」


どん、と突き飛ばされる。


何がなんだかわからずに、背中の痛みに任せて何もかもまっしろになる、

びぇえ、ってその子がなく。


「あいちゃ、うそつきだぁ、なんでうそつくのぉ…」

びりびりと焼くような声。

服の裾を掴まれて引っ張られて、つねられて、

それでも

うそなんか、ついてないのに。





「ねぇママ」

「なぁに?」

変わらない笑顔と声。

「ねぇ、たいようさんは何色?」

「やぁね、まだ覚えてなかったの?」

そっとママが立ち上がって、

抱きしめられる。


「紫よ」

「そっか」


やっぱりわたしはうそつきじゃない。






読んでいただきありがとうございました。

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