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診断

「クルール、貴方の変態趣味はどうでもいいです」

うちの見習い社員の診察をお願いします、と冷静にユーシス。

クルールは肩を竦め

「えらく気にかけてるな。観光案内先で拾った、アビスの人間だろ」

「コウくんは、私と似ていますから」

「そ、そんな、俺とユーシス社長は……全く、違います」

自分で会社を起こす行動力。

とても真似はできない、と洸は思った。

それを聞いてクルールは鼻を鳴らすと

「いまでこそこうだが、こいつは根暗の引きこもりだ」

「……え?」

目を丸くしながら洸は、ユーシスに視線を向ける。

「人のこと言えるんですか? 貴方こそ人形遊びばっかり……」

「錬金術師の高度な研究が、人形遊びだと?」

これだから凡人は、とクルール。

その二人の様子を見て

「仲良しですね」

洸が言うと

「「どこが!!??」」

声をハモらせる。

「まだ、くだらない夢を追っているのだろう」

「うるさいですよ」


「先生、検査の用意ができました」

ホムンクルスが呼びに来る。

「分かった。ところで君、後でちゃんと戻すから解体されてみないか?」

興奮ぎみのクルールに

「えーと……元に戻れる保証がないので、遠慮しておきます」

洸は、当然断った。

「……チッ」

舌打ちをして、いじけてしまったクルールを

「先生、元気を出してください。解体なら、ボクが」

「いいえ、ワタシが」

ホムンクルス達が励ましていた。


♦︎♦︎♦︎


「ユーシス、幼馴染のよしみで警告するが……」

洸の診断書を読みながら

「あれは、役所にやった方がいい」

クルールが言った。


黒いビニール袋に包まれた何かを、ホムンクルス達が運び出していた。


「おかげで、一体……無駄にした」


ユーシスは眉を寄せると

「……どういう意味です?」

「あれは、憑いてる。混ざっているいる程度の、可愛い話ではない。飼うつもりなら、それなりの代償は必要になるぞ」


「……」


「警告はしたぞ」


この物好きめ、とクルールは踵を返した。


♦︎♦︎♦︎


「主食は、ミネラルウォーターですか」

まだ薬が抜けてないのか、ぼーっとします、と洸は欠伸をする。


「コウくんは、少し吸血狼(ディアベル)に近づいているようです。飢えは、市販の水で大体は抑えられると思いますが……」

水道水の塩素が強く感じられたのは、洸の嗅覚が吸血狼(ディアベル)に近い証拠。


やはり、定期的に生き物の血を摂取することは必須。

そうでなければ、洸に憑いている吸血狼(ディアベル)が凶行に出る可能性がある。



ユーシスは溜息をつくと

「約束してください。血は、私だけから飲むと」


「は、はい……約束します」


ものすごく不味いけど、と洸は呟いた。








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