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プロローグ
異世界ーーソラリスは、本当にあった。
二十年前、日本の有名な冒険者が発見。
「ニートは、撲滅するべきです」
偉い政治家の一人が言った。
さすがに過激すぎると世間の反論もあったようだが、西暦2200年。
日本のニートは増加。深刻な社会問題となっていた。
そこで政府が推し進めた計画ーー異世界ソラリスの開拓。
神城洸、十六歳。学校にも行かずパソコンを前に引きこもっていた少年は、よく分からないうちに異世界ソラリスに来ていた。
「な、なんでこんなことに……」
同じように連れて来られた数名と共に、何かから逃れるように走っていた。
そう、走らなければアウト。
「クエエエエエッ」
見たこともない巨大な鳥が、異世界に放り出されたニートたちを餌と認定。
遅れたものは、容赦なく捕食。
運動不足の洸たちにとっては、走り続けるのは地獄。
政府の言う異世界開拓計画とは、名ばかりのものだ。
奴らは捨てに来たーー
役立たずを、異世界ソラリスに。