第6話 1998年6月15日 お迎え
今、家に帰宅をする準備を行っている。
昨日言われた通り、午前中には退院ができそうであるからだ。
帰宅準備と言っても、着替えと身の回りの洗面用具などしか持ち込んでおらず、それらとこの前鈴音にもらった日記ぐらいなもので、準備にそんな時間がとられない。
もう、親が退院の手続きを行ったので、後は帰るのみである。
ちなみに鈴音はうちに来るらしいので、彼女を待っている必要もない。
最後にお世話になった先生と看護師さんにお礼を言って、病院を出た。
看護師さんにお礼を言いに行った時に、「良い彼女ができてよかったわね。大切にしてね」とからかわれたが……
うちから病院までは歩いても行ける距離にあるので、病院に着いたとおもったらすぐに家に着いた。
鈴音は午後に迎えに来てくれるらしいので、それまでゆっくり家でくつろぐことにした。
ぴーんぽーん
どうやら鈴音が来たのだろう。
俺は真っ先に玄関の扉を開くと、やはりそこには、予想通り鈴音の姿があった。
なにやら手には小さい手持ちのバックがある。
そういったものを持っている姿をあまり見ないので、珍しいなと思ったが、きっとあの中に今回のお祝いに関係するものが入っているのだろう。
「とーくん、退院おめでとう。これから少し行きたいところがあるんだけど、大丈夫?」
「ちょっと待ってて、今、お母さんに言ってくるから」
昨日の段階で話が通っているので大丈夫だとは思うが一応、俺は鈴音と一緒に出かけることを伝えるため、部屋の奥にいるお母さん所へ行こうと、後ろを振り向くと、既にお母さんがいた。
すると、お母さんは俺の目線までしゃがむと
「いーい当真。心配はないと思うけど体調が悪くなったらすぐに帰ってくるのよ」
それだけいうと、いってらっしゃいと言って俺を見送ってくれた。
俺と鈴音はいってきますと手を振り、彼女の言っていた行きたいという場所に向かって歩き始めた。
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