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第3話 1998年4月20日 出会い

最後にこの駅を利用したのが、彼女の葬式に出席したのが最後なので、もう4年前となる。


まあ、タイムスリップしたことを考えると、マイナス数日前ということになるのだろうが……。


ホームが上下線の線路に挟まれる形の田舎にならどこにでもありそうな何の変哲もない駅のホームにおりる。


葬式の時も来て思ったが、小学生のころと怖いくらいに何一つ変わっていない。


変わったと言ったら、改札口が以前は切符のみだったのが、今では電子マネーで支払うことができることだけだろうか。



改札口から出るとまるでここだけ時間が流れていないかのごとく、昔と何も変わらない風景がそこにはあった。


目をつぶれば忘れかけていた小学生のころ記憶がよみがえってくるようだ。


そういえば、当時の俺は体が弱くて入退院を繰り返していた。だから、友達がなかなかできずにいたときに彼女がうちの隣に引っ越してきたんだよな。たしかあれは小学校3年の頃だった。



----1998年4月20日----


いつもこの時間は病院のベッドにいたが、今日は医者から退院の許可をもらい、何週間ぶりかの帰宅の許可をもらった。ただし、完全に治ったわけではないので、激しい運動は控えるように言われたので他の子たちのように外でサッカーや鬼ごっこ等は当然できない。


だから入院中とやることはほとんど変わらないし、学校にもほとんど行けていなかったから、遊ぶ友達もいない。だが、やはり一日中病院の中にいると気が滅入ってくるので内に帰ってこれたのはうれしかった。


ぴんぽ~ん


誰かが来たようで、お母さんが訪問者の対応をしているようだ。新聞の勧誘とかだろうか。入院していた時に、お母さんが本当にしつこいのよとか言っていたから、たぶんそうだろう。


「とうま~。降りてきなさい」

 

どういうことだろう。俺にようがある人なのだろうか?でもそんな人いないと思うけどと考えつつ玄関に行く。


「お母さん、誰が来たの?」


「それがね、こんどお隣に引っ越してきた雨宮さんがご挨拶に来たの。だからあなたもちゃんとご挨拶して」


お母さんは俺にそう言って俺の背中を押すが、人と話すことが少ない俺はなぜか緊張してしまって、お母さんの後ろに逃げるように隠れてしまった。


そうしたら、向こうからこれでもかというほど元気な声が聞こえてきて、いきなり俺の方に近づいてきて


「わたし、雨宮鈴音(あまみやすずね)っていうの。よろしくね」


そういいながら俺の顔をのぞいてくる。俺はおそるおそる顔を上げるとそこにはポニーテールをして笑顔がかわいい女の子がいた。


「あなたの名前はなんていうの?」


「村上当真(むらかみとうま)です。よろしくお願いします」


病院の看護師さんやお医者さんにいうような感じで挨拶すると、彼女は顔を膨らませて


「もう! なにその口調は。それは大人の人に使う言葉でしょう。わたしとあなたは同い年なんでしょう? だったらその口調は禁止!」


彼女の気迫に押し負けた俺は、挨拶のし直しを命ぜられ


「村上当真です。よろしくね」


「よろしくね。とーくん!」


「えっ!? とーくん?」


「そう、当真くんだから、とーくん」


彼女は俺にあだ名をつけると満足して、家に帰って行った。


なんか挨拶をやり直させ、あだ名を突然つけられ、本当に嵐のような子だったがなぜか悪いような気持にはならなかった。



鈴音と出会ってからは、ほぼ毎日一緒にいた。


時には、俺と彼女が常に一緒にいたので、一部のクラスメートからいつ結婚するのとか、夫婦だとかからかわれたが、それでも離れようとはしなかった。


まあ、からかってきたやつらを鈴音がとことん追っかけてぼこぼこにしてきたのだが……。


元気な鈴音とは反対に俺は、また入院をしてしまった。







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