プロローグ
このプロローグは、前置きみたいなものです。
1話目から、人物などが登場します。
「キミたちには、世界を相手に戦ってもらうよ。」
何も無い、ただ広いだけの部屋に、その声だけが響き渡る。
---世界を相手に戦う。
具体的な例を出せば、オリンピックとか、そういう類のものだろう。
スポーツ以外だって、世界一を競うのならそれに当てはまる。
国の代表選手が、自国の誇りを胸に世界一をの称号を奪い合う。
どんな国の相手でも、全力で戦い、叩きのめす。
「世界」を相手に戦うというのは、本来そういうものである。
しかし、俺達がいま見据えている「世界」は違う。
・・・・まぁ、捉えようによっては似ているかもしれないけど。
「勝つことができれば、キミたちの願いを一つだけ、叶えてあげる。」
そう、勝てばどんな願いでも叶えてもらえる。
あくまで、勝てればの話だが。
ただ、上手い話には必ず裏も存在する。
「ただし、負けたらそこでおしまい。キミたちの戦いも、負けた時点で全ておしまいだ。」
そう、俺達の戦いは、負ければ終了。全てが終わる。
積み上げてきたものも、力も、全てが無駄になる。
負けたら、4年後にまた再挑戦するチャンスがある。
それはオリンピックだけの話だ。
この戦いは、オリンピックなんかじゃない。
負けたらまた再挑戦・・・なんてことはできない。
そこがオリンピックとの大きな違いかな。
「オイラの願いはたった一つ、世界を取ること。そのために、キミたちを呼んだんだ。」
そう、俺達は世界を取る為に選ばれた、「選ばれし者」
これもまたスポーツで例えてしまって申し訳ないが、野球やサッカーでいう「○○代表」というチームと同じようなものである。
日本から選ばれたのなら、日本代表。
アメリカから選ばれたのなら、アメリカ代表。
俺達は世界中から選ばれたため、この場合は「世界代表」と呼ぶのかもしれない。
ただ、世界を取る為に、俺達は世界中から選ばれた。
オリンピック選手であれば、自国のために全力を尽くすのであろう。
いや、オリンピックだけに限らない。どんな事だってそうだ。
世界一をかけた戦いの日々は、その人にとってのは夢のような日々かもしれない。
世界の名だたる人とともに、競い合えるのだから、これほど充実した日々は無いだろう。
「この戦いに終わりはないよ。キミたちが世界を取るまで、永遠に続く。」
・・・このセリフを聞いて、正直何かが起こる予感はしていた。
だけど、こんなこと誰が予想できていたであろうか。
とんでもない形で、俺達の日常は壊されていく。
俺達がここに集められた瞬間から・・・・。
誰もが夢のような日常を描いていた。
ここに来れば、そんな毎日が来ると思っていた。
だけど、そんなものはただの幻に過ぎなかった。
そこにあるのは・・・。
「キミたちには、世界を相手に‘戦争’で戦い、勝ち続けてもらうよ。」
ただ、終わりの見えない悪夢のような日々だけだった。
どんなに足掻いても、抜け出すことが出来ない。
俺達を明るく照らす光すら、見えてこない。
勝つしか、俺達に道はない。
たとえ‘戦争’で、自分の国を滅ぼしてしまおうとも・・・。