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「えっと、お話が分からないんですが」


今の社長の話によると、私と瀬崎さんで『テスター・ハウス』の住人になれという事ですか!?

思わぬ話で、頭がくらくらしそうだ。


けど、入社して数年間、目立った事は自分が覚えている限りではしていない。

容姿ともども目立ちすぎる瀬崎さんに比べては、明らかにそうだ。

なのに、何でよりにもよって瀬崎さんと私なのだろう・・・


「誰にしようかっていうのは、無作為に決めようと思ったんだが、

 この物件は、住むお客様向けではなくて

 どちらかというと親御さんの意見を取り入れて作る。

 高所得者層の物件でな、空間全オーダーメード。

 するとだね、こう、モデルが必要なんだよ」


よくも分からない理由を社長は次々と話してくれる。


「でも、こんな重大な事一人で決めてしまったら

 僕の社長という立場で不公平が生じるからね。

 くじで引いてもらって当たった2つの部署に独身で一押しの人材をと

 私が注文をつけたら君達が来たというわけだ」


不公平って、社長は部長達に責任を丸投げしたんじゃ、、



「じゃあ、あのお見合いパーティーは」


ほら、瀬崎さんだって困ってるじゃん。

急に社長命令だからといって、知らない人間と同居しろなんて。


「あの、パーティーは本当にあったもの。

 まぁ、多少の嘘というか付けたしを加えて君達を動員したけど」


爆弾を投下して、のほほんと珈琲をすする社長。




「なーにも、心配する事はないんだよ。

 もちろん広報の仕事はしてもらうけど、家賃は無料。

 そして空間は専属コーディネーターに任すけれど

 食器や細かいインテリアは子会社から無料提供。

 そして、まだ着工してるのは君達の部屋だけだから

 高層マンションを最上階で独り占めじゃないか、

 二人締めできてきまうよ」



もう、有無も言わさぬ社長が悪魔に見えてきた。




「でも、こう私達の意思ってあるじゃないですか」


それとなーく、ご遠慮したいよーシグナルを送るも


「もちろん、プライバシーの保護は抜群。

 そこら辺は他人ってことで、きちんと完璧」


砕けた・・・。




「ねぇ、瀬崎さん」


あなたの実力なら、断れる。断れるよ。瀬崎さん。

お願いします。


「うーん、社長がそこまでいうなら」


「うぇ!?」


思わず、声にもならない声を口から出してしまった。


「いや、その瀬崎さん。

 私達、そのあの日以来会ってないですし、

 元々親しくないですし」


「親しくないから、いいんじゃないの?」


それは、意外な声が返ってきた。


「さすがに初めて聞いた時はビックリしましたけど、

 家賃が無料って大きいですよ。

 半分は海外出張ですし、半分は休日出勤。

 家に居るってことは、あまりないですし。

 丁度、契約の更新時期なので、まぁ」


うわー、言葉が出ない。



「だって、相田さん

 僕は殆ど家に帰らないから、君は家独り占めだよ」





どうしよ頭が痛い。

こんな不思議で軽かったの瀬崎さん。







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