04
こんなに近くで、瀬崎さんを見た事は無かったけど噂通り背も高くて顔も良くて
絵本に出てくる王子さまってこんな感じなんだろうなって思わせてくれる。
へぇ、やっぱそういう、何ていうんだろうか
探さなくても見つかる部類の人種がこの会場にも来ていると思うと、少し笑えてくる。
「一人、ぼーっとしてる様だけど
ちょっと、いいかな?」
「あ、っはい」
そうだ、そうだ。
今、瀬崎さんから声をかけられてたんだ私。
「今日は、自分で参加?」
この質問は、「自分で券を買って参加したのか」と聞きたいのだろう。
部長には、あくまで『特殊任務』って事をバラすなと言われてるけど、
こんな綺麗な人に対して恥ずかしい。
あー、言いなさい私。
今日は少し興味があったから、このパーティーに自分で参加したって
「ごめん、質問が悪かったね
返事が返ってこないという事は、君は会社からの援助組という訳か」
「っあ」
私が早く答えを返さなかったから、バレたか?バレてしまったか?
「別に、君が悪いんじゃないし大丈夫だよ
俺も援助組だし、聞かされているとおりサクラが大半だから」
「そうなんですか」
そうだよね、じゃないと瀬崎さんも居ないか
やっぱ向こう側の人間だもん。
「取引先の会社、ここのホテルに少し借りがあって
その借りを今回の件で返そうって事らしい。
じゃないと、普通ただ券配って行おうって思わないだろ」
そういう裏があって、私にこの券が回ってきたのか。
瀬崎さんの話を聞いて一人物思いにふけっていると
『それでは、ただ今から2ショットタイム!
ご持参された券に書かれてある同じマーク同じ数字のお相手を探してください。
楽しいトークタイムの始まりです』
と司会の方の声が会場に響いた。
「こんな大勢の中から、お互いのパートナー探すの難しいですよね。
瀬崎さん、ちなみに、どのマークの何番ですか?」
ここでお別れなら、少しでも話して美紀のお土産話にしてやろうと、私は彼に思い切って自分から話しかけててみた。
「ちょっと待って。
えっと、マークは何だろう。
ハートの16かな、君は?」
「そうですか、こんな大勢の中じゃ難しいと思いますけど
お相手が早く見つかるといいですね。
えーっと、私は。。。」
私は思わず券を二度見してしまった。
この手にしている券にもハートがついていて、かつ番号は16が刻んである。
「相田さん、ハートの16じゃん」
「そうみたいですね」
もう、内心は口から心臓が飛び出るくらいドキドキしている。
同じ部署になったことないし、共通の知人が居るわけでも無く。
話をすることが無い上に、変にイケメン。
「まっ、三時間で終わるし
相田さんも、ここでお相手見つけようって気は全然ないんでしょ」
「まぁ」
「じゃ、お互い利害一致ってことで。
このトークタイム終わっても横に居てくれないかな」
「はぁ、瀬崎さんが良ろしければ」
ちょーっと面倒な展開になってきている様な・・・
神様、お願いですから面倒だけは・・・・・