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「それってモテ期じゃない?」
お昼時のカフェ、美紀は面白そうに笑いながらミネラルウォーターの入っているグラスを口へ運ぶ。
この人は、困っていることを面白可笑しく茶化すの事がお好き。
「モテ気も何も、別にそんな事ないし。
それよりも、あの事がプロジェクトって事で話が大きくなってる方が気になる」
もう、それは本当に迷惑。
あの後、何人にもプロジェクトの事で声をかけられたんだから。
何をとっても、いたって普通の私がよ。
そりゃ、社内きってのエリートと組むのは不思議でしょうよ。
当事者である私だって、不思議でしかたないんだから。
「あれは、本当にうちの社の社運がかかってる位なんだから
まぁ、大きいといわれれば大きいわね。
どこから流れたのか分からないけど、後先引けなくなちゃったでしょ」
今朝の凪ちゃんが悪魔だとしたら、こいつは魔王だ。
「でもさ、雪。
人生でこんなに注目された瞬間ってなかったでしょ?
普通にくらしてちゃ、中々回ってこないって王子様と共同生活
+エリート部署で紹介して欲しい人間がいるなんて。
こんなにラッキーが続くって、雪の人生の中で今が一番なんじゃない?」
だめだ、美紀に話しても完全ループ状態。
瀬崎さんに話しても話は通じずじまいだったし、会社は小さい騒ぎ。
もう、決心しました。
承諾して成績を上げてやると。
王子がなによ!
このさい、利用してやるんだから!