12
翌日、普段通りに早めに出社したにもかかわらずフロワは異様な空気に包まれていた。
なんだろう、女の子達が固まってキャーっと騒いでいる。
「おはようございます
先輩、圧倒されてますね、この空気に」
その場の空気固まっていると、後輩の凪ちゃんが声をかけてきた。
彼女は、今日提出の書類の都合で超早朝出勤だったらしく、眠い-とブラックコーヒーを丁度淹れてきた所らしかった。
「圧倒というより、何かあったの?」
それとなーく、私は聞いてみる。
「あー、歓迎会ですよ」
「歓迎会?」
歓迎会って誰の歓迎会だろう。
うちの部署には誰も新しい人は入ってきてないし。
移動って話も、時期的にないはず。
「瀬崎さんですよ。
あの社内きってのエリートで最近帰ってきた海外営業の」
「えぇ!」
同居の事もあってか、彼の『瀬崎』という名前を聞いただけでドキっとしてしまい。
思わず大きな声を出してしまいフロアの注目を浴びる。
「私は、同じ部署内だけですればいいと思いますけど
ああんな感じで女の子が騒いだらしく、平等にみんな希望者参加ってなったらしいですよ」
そっか、最近瀬崎さんは海外赴任から帰ってきたんだーっと思いかえしてみる。
だめだ!だめだ!昨日の食事でも思ったけど、関わりたくないのが本心。
「で、凪ちゃんは参加?」
さすがにクールな彼女は、騒いでる彼女達を横目で見ているタイプだし不参加でな筈。
あの調子じゃ、部署内殆ど参加だろうし、そこで私一人だけ不参加はまずそうだし、、
せめて凪ちゃんと二人不参加ならねと心の中でつぶやき彼女を見る。
「参加しますよ」
「は?」
それは、即答で返ってきた。
続けて、彼女の同期で海外営業部に入ってる人間が居るらしく直接誘われたとも話した。
「参加ですよね、先輩。
というか、参加ってその時一緒に名前出したんですよ」
はーーーー!?と今度こそ大声を出しそうになった。
人の予定も何も聞かず答えを出すなんて、お前社会人かよとも言いたくなる。
「参加する気がないなっていうのは、初めから分かってました。
でも、その日さすが海外営業部だけあってNO残業DAyの日設定なんですよ」
にんまり話す彼女の顔は、悪魔かも。。
「でも、私にもNO残業DAyだからこそ予定が入ってるかもよ」
「そうきますかー。
じゃ、その日入っている予定言ってくださいよ」
うっ、痛いところをついてくるなコイツ。
言ってみたところで、そんな予定などひとつも入っていない。
「やっぱりね。
先輩、噂によると大きなプロジェクト瀬崎さんと組むらしいじゃないですか。
ここに出とかないで大丈夫ですか?」
確か、表向きはあの同居(特殊任務)は新規事業の広報ってなったたっけって
「そのプロジェクトの事話題になってるの?」
「話題になるもならないも瀬崎さんは、そのプロジェクトの為に赴任先から
急きょ呼び戻されたって話ですよ」
社内での話が、湾曲して非常に大きくなっていると感じるのは私だけでしょうか。
その話が本当だとすると、本当に選択しはyesしかなく
そして、女の子達の様子を見ると特殊任務がバレた日には私は火祭りになると確信した。
「あっ、忘れてましたけど、その日時間下さいね。
その誘ってきた同期が、先輩を紹介してくれってうるさいので。
という事で、その件もありますから仕事が終わり次第宜しくお願いします」
そう言って彼女は、出来た書類の確認のためか視線を下に落とした