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「これ、着て今日行かないといけないのか」


目の前には、昨日美紀に無理やりデパートに連れていかれて買わされた服。

メイクをしたので一応ベットに服を全部出してみたものの、気が重くてたまらない。


「二十八の女が、ちょっと休日出かけるくらいで

 ドキドキしてんじゃないの」


と美紀は言うけど、最近会社と家のベットへの往復しかしていなかった私にとっては重いのよ。

色んな意味で、面倒でどうしようもないし

しかも、相手が一度もあんまり深く話した事がない瀬崎さん。


どうやら、近くの駅に車で迎えにきてくれるらしいけど、、


「やばっ、あと三十分しかない」


時計を見ると待ち合わせ時間が11時にもかかわらず、10時30分を指している。

私は慌てて服を着始めた。







「似合うのかなー」


そこには、普段の通勤スタイルとは違う私がいる。

休日なんだから、休日らしくしなさいよ!

と彼女の言われるままに、普段パンツ派なのにスカートを買わされていまったのだ。

スー、スーするなーと思いつつ待ち合わせの場所へと向かった。



駅の時計は10時53分。

待ち合わせ時間には、どうにか間に合ったとホっとしたのも束の間。

その場所には、もう瀬崎さんの姿があった。



「休日に呼び出してごめんね、相田さん」


やっぱ、私服姿もかっこいい!

センスも良くて、顔も良くて、性格は分からないけど多分良いとして。

こういう天が全てを与えた人って世の中にいるんだーと改めて思ってしまう。


「いいえ、私もあの事でお話したい事がありましたし。

 会社じゃ、中々お話できる内容じゃないですから

 瀬崎さんに、ご連絡頂いて良かったです」


そうだ、話ながら気づいたけど。

彼にドキドキしててはいけないんだ。

結局、結論は後日って事になったんだから

彼の、あの時と発言の本意を聞かなければ!




「じゃ、ここじゃ話もあんまり出来ないから

 お昼ごはんを食べがてらと言うことで」

と私は瀬崎さんに連れられ駐車場に向かった。



「ごめんね。

 急に車で移動とかダメだったかな?」


「いえ、そんな。

 こちらこそ変に気を使って頂いて」


普段、車運転することが無いから

この機会にと思ってね、とスタスタと長い足で歩く瀬崎さん。

ただ歩いているだけなのに、まるで赤い絨毯の上を優雅に歩いているみたい。





「これだから、どうぞ助手席に」

彼が指さしていたのは、まぎれもなく外資系ブランド超高級車だった。

ブラックの車は、彼のスタイリッシュさによく似合う。


「とても良い車ですね。

 私、ちょっと傷つけたら怖くて乗りたくないんですけど」


本当にそう、この繊細そうなボディーに私のバックや靴の金具が当たったら

怖くて怖くて、笑えない。


「あぁ、そういう事なら大丈夫だから

 結構この車修理に出してるし、そんなに大事にしてる訳じゃないから

 唯一のストレス発散というか」


「ストレスですか?」


はいどうぞ。と助手席のドアを明けながら笑いながら彼は話した。


「いくら仕事が好きでも、ずっと会社と家の往復はストレス溜まるでしょ。

 で、そのはけ口にね。この車を買ったんだ」


へぇー、こういう人生をいかにも上手く切り抜けてそうな人でも

大金を払わないとスッとしない程のストレスを感じるんだ。






「シートベルトはお願いね」


そう言われ、車がすーっと動き始めた








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