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01


「ちょっと、相田さん頼み事がある」


今思えば、その上司の一言が事の発端だった。


「なんでしょう」


当時、新しいプロジェクトのメンバーに選ばれたのかなとか少しウキウキした気持ちで席に向かったんだっけ。


「はい、君には特殊任務を行ってもらう」

「へぇ?」


上司が机の中から大切そうに一枚のチケットを取り出した。

それは、ピンク色で薔薇がいっぱい描かれている乙女チックなチケットだった。

期待していた事とは違ったけど、ケチで有名な部長が物を人にあげるなんて。

私はそこに驚いてしまった。


「特殊任務って、これ私に頂けるですか

 へぇ、でも私誕生日でもないですし、成績がトップってわけでもないんですけど」

「いや、相田。

 よくチケットを見ろ。チケットを」


部長に言われた通り視線をチケットに向けると…

そこには金色の文字で『お見合いパーティー』と書かれていた。


「おっ、お見合いパーティーですか」

「おい、大きい声を出すな。

 これは、あくまで特殊任務であり、極秘任務だ」


部長の態度といい、このチケットは何か嫌な予感をむんむんと感じる。


「あのな、実はチケットにも書いてある通りこのパーティーの主催は取引先だ。

 しかしだな、このパーティー思いのほか人数が揃わなくてな。

 こうやって、上から無理やり券がやって来たわけだ」


まぁ、確かに休みの日にわざわざスタジアムに出向こうとは思わないなー

私だったら、休みの日はゆーっくり目覚ましかけずに二度寝するし。


でも、疑問に思うことがひとつある。

「部長、で何でそのチケットが私に来るんですか」


そうだ。

もともと、女子社員はうちの部だって数人いるのに、よりによって私。

部長の態度を見るに、他の子に声をかけている様子は伺えないし。


「それはだな。

 君は、口が上手そうだからだ」

「口の上手さが、このパーティーには必要ですか?」

「口の上手さがいるに決まってるだろう。

 人が集まらないというのは、あくまでも極秘の情報でだな。

 出席する人間は、あくまで一般の会社関係なく結婚したいと思っていなきゃならないからな」


納得するような、しないような


「もちろん、これはある意味で労力を使うわけだから

 特別手当が出るらしいぞ。」

「サクラで手当てって、罪悪感が残りますけど

 私じゃなくても、他の子に・・・」



「何も罪悪感を感じることはないぞ。

 現に相田さんは結婚してるわけでもなく、騙そうという気もない。

 ただこの三時間を大人しーくしていれば、助かる人間がいる。

 だったら、手当ての出る人助けいいだろ」



熱心に語る部長を前に、私は首を横に振ることは出来なかった。



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