一生懸命
6度目の投稿です。
僕と彼女がご主人様にカわれたのは、同じ日だった。
彼女はご主人様のために、僕は彼女を逃がさないようにするためにカわれた。
1日に何度か彼女はご主人様に連れていかれる。
何十分か経過すると、疲れた顔をして帰ってくる。
そして食事が与えられる。
それを貪るように食べる彼女。
夜になり、彼女はまた連れていかれる。帰ってきて食べて寝る。
これが毎日繰り返されている。
自分がこんな身でありながら、彼女をかわいそうだと思った。
彼女はご主人様に連れていかれる時とても嬉しそうにしている。
僕はそれが不思議でならない。
彼女はもっと自由になりたいのではないか。
彼女にはもっと別の生き方があるのではないか。
しかし僕は身動きがとれない。
彼女を助けることができない。
僕は考え抜いた結果、ある結論に達した。
そうだ、この身を腐らせればいいんだ。
それはもちろん、死ぬということだった。
それからは自分を殺すことだけを考えた。
僕の願いが通じたのか、段々と体にボロがでてきた。
あぁ、これで彼女を自由にしてあげることができる。
彼女が幸せになれることを祈っての毎日は、僕が初めて手にする生きがいというものだった。
そしてとうとう――
「よーし、じゃあ今日も行きますか。あれれ。母さーん」
「どうしたの?」
「ポチ子を繋いでたヒモが切れてる」
「ほんと? まあ仕方ないわね、ポチ子を飼って以来長く使っていたし。じゃあ新しいのを後で買っておくわ。そのボロいのは捨てておいて頂戴」
「はーい。あっ、ほらポチ子そんなに興奮するなって。すぐ散歩に連れてってやるからな」
近所の犬を見てて書こうと思いました。描きたいことが書けているようで書けていない気がします。何かご指摘していただけるとありがたく思います。