プロローグ②
無限チョコが実際にあると嬉しい
「イカれてる」
威勢だけで腹立たしい。
わざわざ起こされてまで、動いているというのに。
滾らない。
「とりあえず、全員。死ね」
少女は体を屈ませ、かかとを上げたまま、脱力させる。
息を整える。
足に意識を集中させ、蹴り飛ばす。
音を置き去りにするほどの速度で距離を詰める。
「どうも、死んで」
男の背後に経つ。
すると、手を背中に突き刺す。
「あがっ……」
男が動かなくなる。
少女は男の肋骨のうちのそれぞれ別の部分を指で掴んでいた。
徐々に力を入れていく。
男の断末魔が響き渡る。
「この辺りか、よっ」
少女は手を引き抜く。
少女の手には、折れた背骨と肋骨の一部が握られた。
ボキボキと、背骨から肋骨を外していく。
「こんなものか」
少女は男の骨で即席のダガーナイフもどきを作った。
かなり曲がってはいるが、骨同士の摩擦で先端は尖らせた。
そして、再び走り出す。
だが、足を止めた。
「あれ……」
後、4人いたはずだ。
だが、気配がない。
先程まで確かにあった。
草むらをかき分ける音。
地面を踏みつける音。
いくら抑えても、全ては消せない。
それらが全て無いのだ。
まるで消えたかのように。
「おかしい。殺された?……いや、それは難しいかな」
少女はとりあえず、元々気配があった場所に足を向ける。
歩いているうちに気になる事があった。
生き物がいない。
ただ、元々いなかったという訳ではないはすだ。
明らかに先程まで野生生物がいた痕跡はある。
尿や糞に限らず、葉の折れた後などが見られるからだ。
野生生物は、人間よりは賢い。
敵意や殺意といったものに敏感に反応し、その場を離れるか、戦うかの選択を取る。
この現状から考えられる事は、何かから逃げた。
「私は殺意剥き出しにした覚えは無いんだけど…」