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第18話「テントの中に2人で。迫る卑劣な男の笑い声」

 薪をくべながら経矢はイリーナの水浴びが終わるのを待つ。

 その片手間に、地図に今日の道の詳細を記入していく。

 獣の洞窟があった。旅人の往来が多かった。ネズミが朽ちた木の幹からたくさん出てきた

 などなど、実際に歩いてみて分かったことを記入していく。

 次に通る際に、地図を見て参考にするためだ。


「うん、いいかな……。イリーナは髪が長いからもう少し水浴びに時間がかかるだろうな」

 一人でつぶやいた経矢は立ち上がる。そして張っているテントの中に入ると、寝袋を用意し始める。

「まだちょっと早いけど、暗くなる前に全部準備するか」

 よいしょ、よいしょと寝袋や毛布などをセットしていく経矢。


「ちょっと近いか……」

 少し大きめのテントだが、やはり宿の一室に比べると狭い。

 経矢とイリーナの寝袋の距離は、手を伸ばせば届くほどの近さであった。

「俺は平気だけどイリーナはどう思うかな? まぁ、嫌がりはしないと思うけど……恥ずかしい、よな……」

 少し照れる経矢。

 しかし他に方法はないので諦めるしかなく、彼は再び焚き火の方へと戻るのだった。


 しばらくしてイリーナが水浴びから戻ってきた。

「お待たせキョウヤ!」

 タオルで髪を拭いている彼女を見るや、さっそく2人で作った料理を盛り付ける経矢。

「おかえりイリーナ。さぁ食べようか」

 経矢の合図とともに2人は食事を始めた。



 その頃。

 メラルランドの首都、デブロンの酒場にて……。

灯ノ原(ひのもと)人の少年と、金髪の少女の二人組がこの辺りに来たはずなんだけどよぉ。知らねぇか?」

 黒いフードの男が経矢たちについて聞いて回っていた。

 このことをまだ、経矢たちは知らない。



 食事と片づけを終えた経矢とイリーナ。

「イリーナ、ちょっと近いけど我慢してくれよ?」

 テントの中に用意した寝袋を見せながら、経矢はイリーナに言った。

「……うん」

 イリーナは照れながらもうなずく。

「たしかに近いけど、同じ部屋で寝るのは初めてじゃないもん。あたしは大丈夫だよ!」

 イリーナはにっこりと笑って、寝袋に入った。

 あったかいね、となおも笑顔で微笑む彼女の姿に経矢も頬が緩む。

「そうだな。俺たちは、旅の相棒だもんな」


 そう言うと、経矢もイリーナの隣の寝袋に入る。

「モンスターとか山賊とか近づいてきたら、俺が対処するから安心して寝てくれ」

 経矢は隣で横になっているイリーナに、聞こえるような小さな声で話しかけた。

「ありがと。でも、その時はあたしも起きて対応するからね」

 経矢の言葉に対しイリーナも小声で答え返す。

 

 2人はそれぞれの寝袋の中で向き合うと互いに微笑んだ。

「おやすみイリーナ」

「うん。おやすみキョウヤ、また明日」

 テントの中に、ほのかに温かな灯りがともる中、2人は目を閉じた。



 その頃、デブロンのとある古宿では。

「さすがに追いかけねぇとボスに怒られちまうか……。この女を味わったら、いい加減追いかけねぇとなぁ」

 下卑た声が響き渡り、それに続くように若い女性の悲鳴があがる。

「いやぁっ! 触らないで!」


 悲痛な叫び声をあげる女性に対してフードの男は嘲笑しながら言う。

「そう怖がるなよお嬢さん。俺は優しいから痛みは与えないでやるさ……」

 そう言い放つと男は乱暴に女性を抱き寄せる。

 涙を流しながら必死に抵抗するものの男の力には抗えずされるがままになってしまう女性。


「可愛い顔してるじゃねぇか。その恐怖で歪んだ顔もそそるぜ。虐めたくなるだろがよぉ!」

 そんなことを口走り、男は舌なめずりをしながら女性に向かって、手を伸ばすのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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