第14話「小さな呟き、大きな決意」
船から降りた2人。
船長があらためてお礼を言う。
「本当に船と乗客を守ってくださり、ありがとうございました! 旅の安全をお祈りしております。どうかいつまでもお2人、仲睦まじくお幸せに!」
船長はそう言うと、2人に握手を求める。
「はい! ありがとうございました」
2人は船長と握手を交わすと、船着き場の出口へと歩いて行く。
「はは、あの船長さん。結局俺たちのこと、ずっと恋人だと思ってたな」
経矢がそう笑うと、イリーナも笑う。
「ほんとにね! 完全に勘違いしてたね、えへへ」
2人で笑い合っていたが、イリーナは最後に小さい声で、
「……でも、嫌じゃないよ」
と呟いた。
「うん? イリーナ、今なにか言った?」
経矢がそう聞くと、イリーナは慌てた様子で首を振る。
「べ、別になにも! あ、あのさ! 早く次の目的地に行こ!」
そう言って彼女は足早に歩き出したのだった。
「うわぁ!ジャイヤンとは建物の造りとか、街並みも全然違うんだね!」
メラルランドに到着した2人は、早速街中を歩いていた。
イリーナは見るもの全てに目を輝かせ、楽しそうにしている。
「あぁ、デブロンに来るのは俺も初めてだけど、なんかすごいな。建物もそうだけど、道行く人たちの格好がみんな派手だし」
経矢の言う通り、メラルランドの街には派手な格好をした人が多い。
イリーナはそんな街の人々を見て、楽しそうにしている。
「ほんとだ! あ! あの服可愛い!」
「お、おいイリーナ。あんまりはしゃいで離れるなよ?」
経矢がそう声をかけると、イリーナは満面の笑みで振り返った。
「えへへ、大丈夫だよキョウヤ!」
そんな天真爛漫な彼女を微笑ましく思いながら進んでいると、冒険者ギルドが見えてきた。
「イリーナ、少しここに寄って行こう」
街周辺の情報を手に入れるなら、やはり酒場か冒険者ギルドだからだ。
イリーナは経矢の判断なら、と楽しそうに後に続いた。
ギルド内は、先ほどの赤い球体の話で持ちきりになっていた。
あの赤い球体の下には、つい最近魔王を討伐したばかりの勇者ファブリス一行がいたこと。
もしかしたら命を落としているかもしれないこと。たった今捜索活動が始まったこと。
などなどさまざな情報が耳に入って来た。
冒険者ギルドを出た経矢とイリーナは、先に今夜の宿を確保することにした。
アルセィーマ大陸に向かうとしても、すでに昼も回っているため今日1日はこの街で過ごすことに決めていた。
部屋に荷物を置いた経矢とイリーナは、さっそくデブロンの街へと繰り出す。
ルーベンたちがいつまた追ってくるかわからない状況だが、経矢は冷静に考える。
あの時は不意を突かれたが、正面からの戦いなら経矢は彼らと互角に戦う自信があった。
それに……、と経矢は隣を歩くイリーナを見る。
(イリーナの銃の腕前は俺以上だし、さっきのあの武器はとんでもない威力だった……)
彼女はただ守られるだけの少女ではない。
「どうしたの? キョウヤ?」
そんな経矢の視線に気づいたイリーナが、不思議そうに首を傾げる。
「……いや、ほんとに頼りになるなって思ってさ」
その言葉に少し照れながらも、彼女は嬉しそうにしているのだった。
2人は他愛のない話をしながら大通りを歩き、お店などを見て回るのだった。
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