表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

(ルビと漢字表記について)


主人公・ナナミは小学二年生という設定のため


1、小学三年生より上で教わる漢字には全てルビが振ってあります。

2、中学生より上で教わる漢字は平仮名表記をしてあります。

3、主人公のセリフは小学二年生までに教わる漢字のみ使用しています。

 ナナミちゃんは、南の村に()む小学二年生の女の子です。


 南の村と言ってもヤシの木が生えたり、カンガルーやコアラがいるところではありません。日本で一番大きな山のふもとにあるとてもとても(さむ)い村です。


 ナナミちゃんはすごくおこりんぼうな子です。クラスの子にちょっとからかわれただけでも、すぐ本気になっておこります。いつもおこってばかりいるナナミちゃんを見て、クラスの子たちは(なか)よくするのをやめたり、おこっている姿(すがた)が見たくてよけいにからかってきたりしました。


(なんでよ! なんでナナミには友だちができないの!?)


 いつしかナナミちゃんはみんなからきらわれ、クラスで一人ぼっちになっていました。でも一人ぼっちになった理由(りゆう)すらわからず、友だちができないことでさらにおこっていました。



 ※※※※※※※



 今日はクリスマスイブです。ナナミちゃんは家でテレビを見ながらお父さんの帰りを()っていました。テレビでは、アイドルグループがステージで歌っておどっている音楽番組が放送(ほうそう)されていました。


(この人たち……何がおもしろくてこんなことしてるんだろ?)


 ナナミちゃんはアイドルがきらいです。きらいというよりは、街中(まちなか)では絶対(ぜったい)()られないようなキラキラな衣装(いしょう)()て、たくさんの人の前で歌やダンスを見せていることが理解(りかい)できなかったのです。

 すると、北の村へ仕事(しごと)に行っていたお父さんが帰ってきました。お父さんは北の村からおみやげを買ってきました……クリスマスプレゼントです。


「すごーい! 大きい!」


 子ども部屋(べや)()かれたクリスマスプレゼントを見て、ナナミちゃんはおどろきました。それもそのはず、お父さんからもらったプレゼントの(はこ)は、ナナミちゃんの()たけより大きかったのです。


(なんだろう? おままごとができる大きなお家だったらいいな)


 ナナミちゃんがワクワクしながら(はこ)()けると、中から出てきたのはとても大きなクマのぬいぐるみでした。


「大きいだろ? この子の名前は『モエたん』だよ。なかよくしてあげなさい」


 お父さんはそう言うとナナミちゃんの頭をなでて部屋(へや)から出ていきました。部屋(へや)の中はナナミちゃんと、とても大きなクマのぬいぐるみ「モエたん」の二人っきりになりました。


(何これ……色もヘンだしかわいくない!)


 ナナミちゃんはモエたんを気に入りませんでした。自分と同じくらいの()たけがあるモエたんは大きすぎて、だっこして()ち上げることもできません。

 しかもクマなのに体の毛が青い色でおおわれていました。ナナミちゃんはこのかわいく(かん)じられないモエたんが、自分の部屋(へや)でどっしりかまえている姿(すがた)を見てだんだんいらだち、じゃまに思えてきました。


「何よあんた! ここはナナミのへやなのよ! じゃまだから出て行って!」


 ナナミちゃんはモエたんに出ていくように言いましたが、モエたんはぬいぐるみなので、もちろん聞くわけがありません。だまってナナミちゃんの目をじっと見つめたままです。


「もう! なんでこっち見てるのよ? あっちに行けーっ!」


 その日の夜……モエたんは、かべの方に顔を()けられ、ナナミちゃんのベッドから一番はなれた部屋(へや)のすみに()いやられてしまいました。


(こんなプレゼント……いらない!)


 ナナミちゃんは、自分が思っていたのと全然(ぜんぜん)ちがうプレゼントだったので、その日の夜はプンプンとおこりながら、サンタクロースに「ちがうプレゼントと交かんしてよ!」とお(ねが)いしました。

 でも、ナナミちゃんはもともとサンタクロースを(しん)じていませんでしたし、朝になってもモエたんはナナミちゃんの部屋(へや)にいました。

まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ