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リリヰスの残兵8

なんでか、丸一日も経たずにデバックルームに引き戻されますた。


漏れは、漏れはどうしたらいいんだお?

せっかく頑張ってたのに酷いんだお!


「あ、そういうの結構ですんで。」


天使ちゃんの冷たい言葉がオレを正気に戻す。

黎明期のインターネット弁は嫌いらしい(藁)


「おれは しょうきに もどった!」


「はい、おかえりなさい。」


二つの意味で戻ってきたオレに、天使ちゃんが話しかける。


「お戻りいただいたのは他でもありません。先ほどの質問についてです。」


「おお、オレが処された時にどうなるかって話か。」


「ザンペイさんが処された時にどうなるかって話です。」


ふむ。じゃあよろしこ。


「結論から言うと、そこまで難しく考えて無かったそうです。」


「あ、ジョーイの話?そうなん?」


いつもそうだよな。もう驚きとかないわ。

んで、そういう時ってどうなんのかしら。

サイコロとかで決めちゃう?


「さすがにそこまで適当なことはしませんが、場合によっては流れに任せることも多いそうです。」


流れに任せる?運営がそれ出来るの無責任すぎんか。

サイコロすら振らねーじゃん。


「状況に応じてロジックを組み直す、宇宙の自動調整システム、バランサーの介入ですね。」


「バランサー。そいつもしかしてアレじゃないの。オレを未来予知の極点まで連れてった地獄の」


「そのバランサーですね。」


みゃああああああああ!


「みゃああああああああ!」


みゃああああああああ!


絶対ダメぇぇええ!!

そいつ!多分!オレのこと!嫌ってるって!

絶っっっっ対にロクでもないことになるぞ!


「バランサーに感情はないです。」


イ・ヤ・にょ!!

絶・対・に!嫌ッッ!!


「まあ、そうおっしゃるのも織り込み済みでお呼びしたのですけど。」


にょん?


「バランサーによる調整において、今回特に懸念すべきなのは、ザンペイさんが再び極点へと向かってしまった場合です。」


安心しろ二度と行かんから。


「ええ、それは本当にそうです。そうなった場合、予期せぬエラーが起こる可能性もあるので。」


予期せぬエラーならいつも起きてんじゃん。

目の前にいるの見えるっしょ。

オレこそ真のヒューマンエラーやん。

いやエラーヒューマンか?どっちでもいいや。


「いえそのはい。それは大変申し訳ないと思っていますが、でもそうじゃなくて、もっと異質な……」


これ以上のエラー起きることないだろ。

そんなん起きたらもうおしまいよ。

だって今ですらビッグバン級のエラーだもん。


「そうですね。極大級のエラーです。」


でしょでしょ?

これ以上のエラーっつったらアンタ、宇宙規模をも超えちゃうじゃないの。ないよそんなものは。


「ええ、まあ。はい。」


……え?何その感じ。

なんかそんな感じのやつなの?ガチで?

そんなん起こるわけなくない?


「あの、ビジョン内における極点での停止がありましたよね。既にザンペイさんは未来予知の極点にて、停止した時空間の中からサルベージされています。だから本来であれば再び極点で停止というのはあり得ません。」


もう動いてるんだもんな。ゴッドパワーの恩恵によって。

そのせいでビッグバン並みのエネルギーが生まれたんでしょ?ビジョン内に。


「おっしゃる通りです。それ以降、ザンペイさんと未来予知のビジョンは繋がっており、ビジョンを通して消費したエネルギーを供給される関係になってますね。」


そうそう。

そんな膨大なエネルギーを持ってるはずなのに微塵も強くなってないの腹立つけど。


「そのザンペイさんが再び死に直面した場合ですが、ビジョンとの関係が切れているわけではない以上、未来予知による緊急回避は今後も発動するものと思われます。」


そうなの?


「はい。」


でもまあ確かに、エネルギーの塊になったとはいえ、入れ物自体は未来予知のビジョンだもんな。

そもそもの存在意義としては未来予知だから、その条件を満たせば緊急回避として発動するのも当然か。


「おっしゃるとおりです。しかし開かれたビジョン内は既にビッグバンのエネルギーにより活性化し、新しい宇宙と呼べる状態です。よってビジョン内部では未来予知の展開はできません。」


そうよね。入れ物と中身がもはや別物だもんな。


「はい。そうなるとバランサーはビジョン内の仕様を未来予知に作り変えようとしますが、中身が重複してしまっているため、何度やっても未来予知ビジョンは開けません。」


エラーやね。


「そのとおりです。ビジョン内にビジョンが開けないエラーの発生です。原因はビジョン内の情報重複ですね。すると……」


すると?


「何度でもビジョンを開こうと再試行を始める可能性があります。ビジョンを開かなければ未来予知が発生せず、そうなると緊急回避が出来ないためです。」


緊急回避不可?

オレ死ぬってことじゃん。


「違います。ザンペイさんは私たちの持つ時間の概念をご存知でしたね。」


ご存知って言われてもそんなしっかり理解してないけど、進むとか止まるとか自由自在。

好きなように外側から観測出来るし干渉できる。とかだったよな?


「そうです。そしてそれはバランサーの活動においても同じです。バランサーの構築したシステムは、タイムラグ無しで全宇宙に伝播します。」


おう。まあそりゃそうだよな。

宇宙のルールが時間差で決まってったら物理法則とかおかしなことになりかねんし。


「はい。そしてザンペイさんのビジョン内におけるエラーの対処も、当然ながらタイムラグ無しで行われます。」


ゼロ秒ってことだな。

まあそれで良いんじゃねえの?時間進んでたら予知してる間に死ぬし。


「おっしゃるとおりです。ただそれは通常時の話です。今回懸念されているのは、ビジョンが開けなかった場合に行われるビジョン展開の再試行についてです。」


ゼロ秒で再試行が開始されるんだよね?


「はい。」


……なんかアカンの?


「未来予知のビジョンが(ひら)けるまで、延々と再試行が実行され続けるとしたらどうなるのでしょうか。しかもそのビジョンはエラーにより、絶対に開かれることはありません。」


ずっと再試行が行われ続けるって事か。


「はい。少し矛盾した言い回しですが、ゼロ秒間に無限回の再試行が永遠に連打されます。」


どちゃくそバグってんじゃん。

パソコンだったらフリーズしそう。


「はい。ある程度の負荷に達したらバランサーが停止するのか、それとも時間の特異点に向かって永久に再試行が行われ続けるのか。未来予知の極点でザンペイさんが見舞われた現象が、今度はバランサーという宇宙のシステム自体に食い込んでくる形ですね。」


続いた場合はどうなんのよ?


「完全なる停止、宇宙のシステム全体のフリーズへと繋がる可能性があります。」


フリーズすんの?マジでパソコンじゃん。

この前みたいな時間の停止じゃなくて?


「時間の停止だけではなく、宇宙における全ての事象が停止します。再生も修正も不可能で、その時点でバランサー自身も動作不可となります。当然この停止にはデバックルームや私も含まれます。」


天使ちゃんもって、それもう終わりじゃねえか。


「はい。そこまでいくと、もはや全てを消してやり直すしかありません。」


グレートリセットってやつか……


「すみません。まさか緊急回避のための予知能力が、ここまで大事になるとは思いませんでした。」


いや、まあこんなん誰にも想像つかんでしょ。

こちらこそお手数おかけしまして。


「主も対策を考えてはいるみたいですが、この調子でいくと何もかも失ってしまうということで、ザンペイさんに限っては、ある程度の干渉をしてでも強化するべきという方向でも模索しているようです。」


「なんと!!」


いよいよオレの強化イベントすか。

生まれた頃から待ってたんだよコレ。

胸の高鳴りが抑えきれんな。


「それによってエラーが上積みされたとしても、フリーズよりは断然良いとおっしゃっております。」


「うんうん、そうだよな。分かる。

じゃあもう早速、世界最強で金持ちでイケメンで、あと若返らせてもらっちゃおっかな。

他にも思いつく限りの優遇頼むわ。」


いかん、俄然楽しみになってきたぜ。

宝くじが当たった時の妄想と同じぐらいの高揚感きたわ。脳が痺れる。


「もちろん不可能ではありません。主はザンペイさんの自由意志を尊重したいとおっしゃっておりますので。ただ、これについては私から重要な注意事項を伝える必要があります。」


天使ちゃんによる注意事項とな?なんだ?

今から宇宙最強最イケメン超勝ち組となるザンペイさんに対して必要な注意事項だと?


「死を回避するためのビジョンの起動を防ぐということは、ザンペイさんは不死の存在になるということです。しかも百年や千年ではなく、もちろん億年でも兆年でもありません。無限に生き続けていただくことになります。」


無限きちゃったねーコレ。

さっきから無限ってスケールがよく出てくるけど、れが神レベルならではの視点ってやつなのかしら。

いよいよオレもその領域の話に参加せねばならんのね。参っちゃうねぇ〜。


「無限のスケール感を持つ存在にとっての時間の感覚からすると、今この世界にいる人たちは、すぐにこの世を去っていくように感じます。その次の世代も、次の次の世代もそうです。生まれては死ぬことの繰り返しです。そしてやがては人類全体が去る時が訪れます。」


まあそう、そうだよ。そうなるよね。

それはまあ、必ずくる未来だしな。

でもオレ無敵なんですよね?


「ザンペイさんは無敵です。そしてそれからしばらくすると人間だけではなく全ての生命も全て去っていき、星々からは光が消えます。あらゆるエネルギーは拡散し、宇宙全体の温度が段々と下がっていき、全ての活動が終了する時が来ます。」


潰れたゲーセンみたいだな。

スマンそのスケールになってくると実感湧かんくなっちゃったわ。


「その後、それまで経てきた時間よりも長い()の時間が始まります。光も熱も無い、自己と他の区別すら存在しない闇の世界です。そこから先は長いというよりも、終わることのない()ですね。ザンペイさんには、そこから先も永久に存在し続けてもらうことになります。」


「こっわい事いうじゃん。」


いや、やっぱ無理だわ。超怖い。

それ夜寝る時とかに考えて、ウワーってなるやつに似てるわ。

死んだ後の永久の話やんけ。

死ななくても結局ほぼ変わらんって事やん。


「これは本来、私の役割でした。しかしザンペイさんが不死の道を選ぶというのでしたら、私には別の選択が可能になります。」


天使ちゃんも去るのか。


「おっしゃるとおりです。ザンペイさんの選択次第では、私にも別の選択が生まれることになります。これも宇宙における大原則、等価交換でしょう。」


いや、せめて天使ちゃんには居て欲しいわ。

まだそうするかは決めてねえけど一人で無限に生きていくのは辛すぎるだろ。


「大丈夫ですよ。主もいますから。主は私や不死になったザンペイさんよりも更に上位の存在です。唯一絶対、永久不滅の存在です。」



ღゝ◡╹)ノ♡



……いや、うーん。

なんかそういうの聞いちゃうと、アンタら全然羨ましくないな。


「羨ましかったんですか?私や主が?」


いやだってほら、そうだろ?

神だぜ神?しかもジョーイの立ち位置ってのは絶対神ってやつだ。天使ちゃんはNo.2だな。


どっちもこの宇宙の中ではぶっちぎりの最上位の存在じゃん。

その気になったら全てが自由自在だし、気にくわなきゃ力でねじ伏せることだってできる。


そりゃ憧れるし羨ましいだろ。


特にオレみたいな落ちこぼれの中の落ちこぼれからすると、冗談でも神って言われただけでテンション上がって奉仕しちゃう傾向があるからな。

インターネット掲示板で秘蔵のアダルト画像ばら撒いたりな。


「そんないいものでもないですよ。」


おう、天使ちゃんの注意事項を聞いたらその辺よく分かったぜ。


こりゃアレだな、一人の人間に背負えるレベルのはなじゃないな。

人の抱いてるような、くだらん自己顕示欲みたいなモンなんぞ、力があっても満たされるのは一瞬の話。

あとは永久に続く孤独で退屈な時間しかねぇ。


何も残らないし、結果も何ひとつ変わらねえ。最後には全ての因果は収束して、真の無が訪れる。

今回オレに舞い降りた強化ってご褒美はも、全てが終わったら後からしたら、あってもなくても何も意味がない力ってことだ。


だったら最強の力とか財力とか美貌なんてのを貰ってもゴメンだね。


(〃゜д゜〃)


「……ということは?」


ああ、不死の存在なんて真っ平ごめんだぜ。

おれは最強じゃなくていい。

世界一の金も美貌も必要ねえ。


Σ(*゜艸゜*)


「ザンペイさん…………!」


ああ、そうだ。






全部二番目ぐらいでいい!!


くれ!!とりあえずくれ!!


オレを成らしてくれええ!!






(-ω-;)


「……………はあ。」


なんだよ。悪いか?


「てっきり啖呵(たんか)を切って、ほかの解決方法を模索するパターンだと思った私が馬鹿でした。」


(-ω-;)


なんだよ。しょうがねえだろ。

これが凡人の欲望なんだよ。


あと寿命もとりあえず千年ぐらいくれよ。

足りなかったら都度、申請すっから。


なあ。


くれよ。


なあって。


気がつくとオレの前には富国強兵(フコクキョウヘイ)九雷子(クライシ)都市将(トシマサ)が立っている。


どうやら呆れられて元の世界に戻されたらしい。


まったく、人の気持ち解さぬ凡神どもめ。

どうにもならんので、とりあえずキリストの言葉で締めとくわ。





エリ、エリ、レマ、サバクタニ(我が神、我が神、なぜわたしをお見捨てになったのですか)





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