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リリヰスの残兵5

さんざん引っ張ってスマンコ。


いよいよやったるっちゅーねん。

待ってろ九雷子(クライシ)


「それじゃ天使ちゃん、エネルギーカモン!」


九雷子(クライシ)都市将(トシマサ)、同時に富国強兵(フコクキョウヘイ)にエネルギーを照射。付近一帯への窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴンの時間停止も解除します。」


「よーしよしよし、いい子だ。」


「全ての質量から恩恵が受けられないため、太陽光などによる熱エネルギーも存在しません。そのまま解凍すると絶対零度下に晒されるため、熱源の補充はザンペイさんの体温を流用して行います。」


「え待って!最後の何!?聞いてない聞いてない!」


「安心して下さい。ザンペイさんの体はビッグバンのエネルギーが尽きるまではエネルギー切れはありません。体温は低下したそばから上昇するはずです。おそらく。」


「おそらく!?おそらくって言ったいま?ねえ!」


「ザンペイさんの移動を開始します。good luck」







ღゝ◡╹)ノ♡


































う っ わ


何 も  見 え ん 。


肌 の 表 面 が ビ リ ビ リ す る 。

水 風 出 た 後 み た い 。

と と の い そ う 。


あ と 何 も 見 え ん 。


「ザンペイさん聞こえますか。」


「こちらザンペイ。天使ちゃんどうしたの、と。」


「太陽が動いていないので光も無く、物体に反射した可視光線も停止しているため目が見えるわけないことを伝えて忘れていました。」


「早よ言え!!いつもそうなんだから!もう!」


「停止した時空間内でのみ作用する人体メカニズムとして、疑似的な視覚を追加します。」


大丈夫かよ、そんなことして。


「錯覚で見えているようなものなので、そこまで影響はないと思います。停止した時空間での活動自体が特殊な事例ですので、エラーが起きるとしてもごく軽微なものとなるはずです。また、エラーによる影響の可能性をより軽減するため、視覚野における機能を制限します。主に色覚の感知能力が肉眼と比べて低下します。」


何言ってるのかわからんわ。

低解像度の画質になるみたいな判断でOK?


「はい、OKです。他にもザンペイさんのエネルギーを流用して行えるサポートがあると思いますので、何かあれば仰ってください。」


「流用したら痩せる?」


「痩せません。」


「あい。」


お、目が見えた。

大穴の所じゃねーか。


すげーな、マジで全員止まってるわ。

重力は作用してんのに、なんでイノウエとかタカシ、タカオおじさんは何で空中に浮いたままなんだ?


「時間が動いていないからです。停止した時空間は外部から観測すると存在していないのと同義ですが、擬似的に観測するとこのように停止して見えます。これは物体から反射した光も停止しているためですが、本来は存在していないのも同然なので動かすこともできませんし、重力の影響を受けることもありません。今の景色は実態の影が見えているだけの、死んだ宇宙の蜃気楼、ホログラムのようなものだと思って下さい。」


「ほ〜、全然わからん。なんだったら今までの説明とも矛盾してるぐらいに聞こえる。」


「人間という生き物の設計上、時間と4次元以上の次元構造は本質的には理解できないはずです。」


「そうかもなぁ。いかにビッグバンを宿してるっつってもガワは人間だしなぁ。」


「ええ。しかしザンペイさんにも理解できる感覚で伝えるとしたら、そこは未来予知の極点に似ています。」


うっわ思い出しちゃった。

あそこバチバチにバグって停止してたね。

そういやビジョン内も他の空間から観測不可能な状態で時間も何も無かったわね。


「そろそろ対象への必要エネルギーが満たされ、対象とその周囲の時間が動き出します。ご準備を。」


「りょーかい。」


ほどなくして、ふたつの人の気配が生じた。


「くっ」


「……なんだ?」


九雷子(クライシ)富国強兵(フコクキョウヘイ)の声だな。

まずは落ち着かせねーと。特に九雷子(クライシ)の奴は、いま雷撃なんぞ使いやがると周囲の窒素と酸素が減る。


「お前ら聞こえるかー?オレだ、狭間残兵(ハザマザンペイ)さんだ。とりあえず状況を説明するからめちゃくちゃ落ち着いてくれよな。敵なら来ねえから。」


「ザンペイ君……?」


「ハザマザンペイか。」


やや警戒してるが当たり前だな。

それにしても二人してどこにいやがんだ?

近いはずだけど暗くて見えねえ。

しかも火山灰みたいな白いチラつきもあるから視界が悪い。なんだこりゃ。

低解像度モードの弊害?


「おい、どっちでもいいんだけどさ、オレのいる場所わかるか?こっちからじゃイマイチ分かんねえんだ。ただし九雷子(クライシ)!お前はまだ能力を使うなよ。」


「ザンペイ君……どういう事だ?」


あっちが九雷子(クライシ)か。


「使える酸素の量とかが限られてんだ、お前が雷撃を使って燃焼させちまうとマズイ。」


「……マッチ程度の光量でもかい?」


なるほど、それぐらいなら問題ねえな。

場所も分かりやすい。


「そのぐらいなら大丈夫だ!どこだ?」


返事がない。


「おい九雷子(クライシ)!どこにいやがる!」


「ここだよ。」


背後から声がする。

思わず身構える。

……が、普通に立っているだけのようだ。


「どうしたんだい?」


「いや、攻撃でもしてくんのかと思ったわ。」


「しないよ。明かりをつけようと思ったらその前に君を見つけたんだ。それにしてもこれは一体……」


「とりあえず富国強兵(フコクキョウヘイ)とも合流しようぜ。その後に説明する。」


「敵はいないんだな?」


「いたら泣いて喜ぶわ。」


「………?」


「それにしても富国強兵(フコクキョウヘイ)のやつはどこにいんだ?最初はすぐ近くから返事が聞こえたのに……」


「オレならここだ。」


そう言うと富国強兵(フコクキョウヘイ)が近くの茂みから現れた。


「なんで隠れんのよ。」


「オレは戦闘能力が無いからな。最初は咄嗟に返事をしたが、あわてて警戒態勢に戻った。狭間残兵(ハザマザンペイ)が偽物の可能性もあるしな。」


「相変わらず冴えとりますな。」


「ところで狭間残兵(ハザマザンペイ)。状況の説明も欲しいが、まずは戦況がどうなっているのか知りたい。」


「戦況ね。敵ならいねーよ。状況を説明するから適当な場所……ま、ココでいいか。」


九雷子(クライシ)がオレの顔を覗き込む。


「ザンペイ君、どうも数時間前と比べて随分と雰囲気が違うようだが。」


「ん?そうか?ちゃんとお前のことは嫌いだぜ?」


「ふ……それはもう仕方ない。謝ったところで埋まらない溝が出来ているのも理解しているよ。」


「まあそうだわな。ぶっ殺したいぐらい嫌いなのは九雷子(オマエ)じゃなくて足打拳突(アシダケント)のアホだけどな。」


「ケントなら死んだよ。マキシマムジョウが最初に殺した。そこの林の辺りでね。」


そう言って奥の林を指差す。


「……ん、そうか。」


「やはり雰囲気が変わっている。言っちゃ悪いが、君は「おっと!」代にしては子供っぽいというか大人になりきれていない所があったはずだが、今はちゃんと四「おーっと!」ぐらい、いやもっと落ち着いて見えるよ。」


「うるっせ。色々あったんだよ。7年と半年分ぐらいの色々が。」


……あれ?そうするとオレってもう「WOW!」代に突入しているのでは?


オレと九雷子(クライシ)のやり取りを見て、富国強兵(フコクキョウヘイ)も身を乗り出してくる。


「面白そうな話だな狭間残兵(ハザマザンペイ)。たしかにお前は急に大人びた雰囲気になってきたが、数時間でお前みたいな奴が変わるとは思えん。何があった?」


「別に話してもいいけど長えぞ?」


それから長い時間をかけ、思い出したくもないビジョン内での地獄と、いま自分たちの置かれている状況を話した。


相変わらずジョーイ達の詳細は語れるわけも無かったが、宇宙復活のための同意は得られたようだ。

二人には休息も必要なため眠ってもらい、起きたら早速活動することにした。


二人が寝静まった頃、天使ちゃんから連絡が入った。


「現在の消費量であれば一週間ほどは大丈夫そうです。しばらく有給休暇もとらないので、何かあればご連絡を下さい。それとザンペイさん、大人っぽくなったと褒められてましたね。」


「下の毛ボーボーだしとっくに大人だけどな。」


「うわ最悪」


天使ちゃんからの連絡が切れた。




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