リリヰスの残兵4
すげえ漕いだ。今度こそ限界じゃないの。
あと今更ながら、飯を一度も食ってねえ。
寝てもいねぇ。
横では天使ちゃんがマイクパフォーマンスをしている。
「おめでとうございます。もう少しで本州縦断と同等の距離に到達です。」
「サンキュー。ところでオレっていつから飯食ったり寝たりしてないんだっけ?」
「現在デバックルームでは時間が存在していないのですが、ザンペイさんの体感時間に合わせると十日程ですね。」
「マジか、そんなにいってた?でも十日で本州縦断の距離ぐらい走るのって早過ぎねーか?言っちゃなんだが、オレだぜ?」
「不眠不休で、しかもエアロバイクの場合は坂とかも無いからじゃないですか?」
「そんなもんかなぁ。それぐらいの優位性、簡単に跳ね返すぐらいの甘ったれボディなのになぁ。」
「…………たしかに妙ですね。」
天使ちゃんがジロジロ見てくる。
なんだか不審者に向ける目つきに似ているぞ。
オレは詳しいんだ。
「………………なるほど。」
「どした?警察沙汰か?」
「今のザンペイさんはデバックルームに時間が流れていない云々の問題ではなく、ビッグバンの力で動いてますね。その力でエアロバイクを漕ぐ事で外部へ出力しているみたいです。ザンペイさんという本体に外付けのバッテリーが付いてるような感じてす。」
「なるほど。つまりオレの中にあるビッグバンの力を全部移しきれば、ちょうど宇宙の時間全部が動くってわけだな?」
「その場合、先日お話ししたように人類だけで1700億年かかる計算ですけどね。」
「そういやそうだったわ。」
この話はやめよう。
「まあその、オレという器が小さ過ぎてエアロバイクを漕ぐ程度のエネルギーしか出せないのね。小さい蛇口つかって海の水を移してるようなもんっていうか。もっと全然規模はでかいけど。」
「そうですね。疲れ知らずではありますけど、その肉体以上の出力は出ませんね。地道にエネルギーを稼いで、あとは復活させた方達に協力してもらうのが良いと思います。」
「そうだな。ちょうどエアロバイクにも飽きてきたところだったしな。ちっとも痩せんし。」
「ビッグバン分のエネルギーを消費し終えたら痩せ始めるはずですよ。」
「それ無理なやつやん。」
さてと、じゃあいよいよ宇宙復活計画の開始といきますか。
いや開始はずっとしてたんだけど、第二章っつうのかな?
とにかくエアロバイク編はもう終わりだ。
二度とやらん。
まずは九雷子を復活させて、その次に強化用の富国強兵あたりか?
同時にいけたらいったろうかな。
タカシも助けてやりてーけど、アイツらは世界崩壊のトリガーに含まれてるから復活させるのはちょっと……ってありゃりゃりゃ?
「……おい。」
( ̄Д ̄)ノ オウッ
「どうしました?」
「このまま宇宙の時間を戻すとして、例の宇宙を崩壊させる四つの勢力……あいつらだけ止めたままにしたらどうなるんだ?」
「それは……………」
かなり先の話にはなるが、世界崩壊の解決に向けた可能性としては高くないか?
あるぞ、コレは。
「……………お待たせ致しました。主からの回答ですが
(ヾノ・ω・`)ムリムリ
だそうです。」
ズコーッ!!
「ナンデ!GODナンデ!?」
その後に詳しく説明聞いたけど、なんか絶望しててあんま覚えてない。
だから噛み砕いて説明する。
今まで生きてきて、一人だけ時間が止まってるヤツ見たことある?ないよね。
他の全部が動いてるのに数人だけ時間止めとくとか逆に無理すぎるのわからん?
……といった感じだそう。
ある程度エネルギーが流入し始めると、そこを中心にゆっくりと時間が動き出すんだと。
宇宙には中心とかの概念はないけど、こういうケースの場合はエネルギー流入の起点を中心として広がっていくから、大体地球のあたりを中心にして満遍なく時間が動き出すそうな。
あ?
自転と公転はどうなるんだって?
知らんわそんなもん。
そんなこといったら、そもそもエアロバイクで宇宙を動かせるわけねーだろ。
ただまあアレだ。
宇宙のバランスを整えようとするシステムあんだろ?
エラー出したりオレをビジョンのどん詰まりに閉じ込めたりしたアレだよ。あの地獄のアレ。
アレが上手く動くんじゃねーの?
そういうトラブルがあっても宇宙に整合性を持たせるように動くだろうよ。ていうか動けよちゃんと。
だからオレの目指すところは、エラーを正常化するシステムの再起動みたいなもんだな。
狭間残兵とかいうクソザコ真名の持ち主が、ビッグバンを体に宿して宇宙を元に戻そうとしてるとか意味不明過ぎるけどな。
童貞だぞオレ?
まあそんなわけなんで、もう人界の小競り合いとかはしばらくどうでもいいわ。
なんせビッグバンだからなオレ。なめんな。




