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トラヰブの狂宴10

朝食は本堂で行われた。

本来は本尊がある場所が取り払われ、そこにタカオおじさんが座る。

背後には巨大な和紙に毛筆で文字が書いてある。


シヴァ闘王(タタカオ)

あー……なるほどのー。そら強いわのー。


シヴァ闘王(タタカオ)の横にオレと猫ちゃんと珍矛林(チンポコリン)が座る。


他の者達はこちらへ向かう形で御膳が配置されている。

本堂は広いが、ほぼ満席といった感じだ。


「さーて諸君、朝飯にしようかー!!」


シヴァ闘王(タタカオ)が合図をすると、先頭の列にいる男が手を合わせて叫ぶ。


「それではみなさん!いただきます!」


「「「いただきます!!」」」


あらま礼儀正しい。

思わずオレも言っちゃったもん。


全員が一声に朝食をかき込む。

犬使猟大狼(イヌヅカリョウタロウ)虎魂大牙(コダマタイガ)のような獣人タイプは御膳の上に皿が置かれ、直接口を付けて食べる。

猫ちゃんと珍矛林(チンポコリン)も同じだ。

人間タイプの者達は、食器を使って朝食を摂っている。


ていうか人間タイプて。

オレも毒されたというかなんというか、立派に異物としての自覚が芽生えたもんだ。


「まあ食えザンペイ!食ったら挨拶だ!食う前に挨拶すると頭も回らんからな!ワハハ!」


シヴァ闘王(タタカオ)は楽しそうに食事をしているが、口から有り得ないぐらい食べこぼしが噴出している。

グラディウスの一面ボスみたいだ。


「?????」


珍矛林(チンポコリン)はそもそも大勢の前でご飯を食べる経験もない猫なので、混乱しながら食べている様子だ。


猫ちゃんは見た目は猫だが中身は人間なので、箸などは使わないが人間用のメニュー大を食べている。

猫は腎臓が弱いので、人間と同じ食生活では心配だ。


怒涛の朝食が終わると、配膳係らしき人達が食器を片付けた。


「さーて、腹も膨れたし朝会を始める!」


全員静まり返る。


「オレの隣にいる男!こいつはオレの息子の友人でな、ザンペイだ!」


何故か拍手が巻き起こる。


「……っス!」


謎の会釈をするオレ。

死ねばいいのに、このコミュ障。


「そして猫タイフーンとチンポコポン!」


猫台風(ネコタイフウ)ニャ」


珍矛林(チンポコリン)!」


二人は間違いを否定するため名乗りを上げた。


「ハーッハッハ!スマンスマン!まあとにかくな、連れてきてくれた猟大狼(リョウタロウ)大牙(タイガ)はお手柄だわな!拍手!」


またも拍手が巻き起こる。

これはこれで別に嫌いじゃないノリかもしれん。


「でな、ザンペイは息子みたいなもんだったよな!な!?小さい頃遊んだもんな!本当の息子のタカシはどこにいるのかわかんねぇが、真名再臨(マナさいりん)前のこーんな小せえ頃から知ってるザンペイを連れてきてくれてまずは感謝だな!」


ここでも真名再臨(マナさいりん)の名を聞くとは……やったな九雷子(クライシ)、お前のネーミングは轟いてるぜ。


「で、タカシだ!」


シヴァ闘王(タタカオ)がゆっくりとこちらを向く。


「なあザンペイ、お前タカシと一緒だったんだよな?今どこで何やってるか知ってるか?」


「いや、オレはこの2年ぐらいの記憶がなくて、タカシと一緒にいたのも真名再臨(マナさいりん)の直後だけで後は……えーっと」


言っていいのか悪いのか知らないが、九雷子(クライシ)富国強兵(フコクキョウヘイ)に聞いた、オレの知る限りの情報を話した。

途中で猫ちゃんをチラリと見たが、特に何でもないような表情だったし、マズイ事は言ってない……はずだ。


ひと通り話終わると、シヴァ闘王(タタカオ)が口を開いた。


「な〜るほどなー、巻島(マキシマ)無常(ムジョウ)な〜。まさかここでその名前を聞くとはな〜」


「あれ?おじさん知ってるんスか?」


「いやだってそりゃお前、この寺は巻島んトコの寺だぜ?ウチも檀家だったからココが広いのも知ってたしな、いきなり乗っ取ってやったわ!」


そういうとシヴァ闘王(タタカオ)は高笑いした。

周りの面々も笑い出す。さすが大将、みたいな声援も上がる。

いやいやさすがじゃないだろ、マジかこいつら。


「そうかそうか、じゃああの白メットが巻島んトコの息子か!やけに突っかかって来るわけだわな!自分ん()取られちゃったんだもんな!ハーッハッハ!」


「え、おじさんここにマキシマ来たんですか?」


「ああ来たとも、ありゃあ時系列的にタカシとやり合った後だな?ボロボロのナリだったが、まぁ元気に歯向かって来たわ!山の向こうまでぶっ飛ばしてやったがな!ハーッハッハ!」


手負いのマキシマが家に帰ったらタカシの親が乗っ取ってて、頭に来たから戦いを挑んだけど返り討ちにされた、ということのようだった。

そう考えると可哀想なやつだな、マキシマ。


「でも何でそれ以来、家を取り返しに来ないんです?マキシマの噂は西の方ではよく聞いてたみたいだけど……」


「西?ああ、オマエらが来た方角の西の方か?そっちの方に向かってぶっ飛ばしたぞ。見ろ、あの山だ!」


開け広げられた障子戸の方を見ると、小高い山が見える。

あの向こうは、確かに九雷子(クライシ)達の学校のある辺りだ。


「おじさん、まさかマジで山の向こうまでぶっ飛ばした?」


「だーから言ってるだろうに!山の向こうまでぶっ飛ばしたって!」


シヴァ闘王(タタカオ)は腕まくりをし、力瘤(ちからこぶ)を作って見せる。

得意満面だが、青黒くて三つ目のため特異満面と呼びたい。


「あの様子じゃ生きちゃおらんな!南無三!ハーッハッハッゲホ!いかん()せた!オエッ!ハハハ!」


オレが言うのも何だが恐ろしい不謹慎さだなこのオッサン。

伝え忘れていたので、その後、西の方でマキシマが暴れているらしい情報についても話す。


「なに!生きてたのか!?じゃあ何でこっちに来ないんだ?家の仇ぐらい討てよなぁー!」


シヴァ闘王(タタカオ)が不満そうに言う。

マキシマの中ではシヴァ()()が揃っていると思っていて、とても敵わないから来ないんじゃないだろうか。

タカシ一人でもボロボロなのに、そんな奴らが一家揃って自分の家を乗っ取った日にはオレだって近づかない。

山向こうに飛ばされたら、反対側に行くだろう。


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