ロリヰタの幻影1
ロリヰタコンプレックスという言葉がある。
意味はネットで正しく検索してくれ。
大方の人間は意味も知らずに幼女好きと勘違いしているが、それはペドフィリアだクソ馬鹿野郎。いい加減にしてくれ。
ロリヰタコンプレックス、これがオレの罹る最大の病気だ。
狂ってる?それ褒め言葉ね。
そんな汚れっちまったオレなんだが、決して譲れないものがふたつある。
電車の優先席と親の財産だ。
この譲れないふたつの宝物。
それを一挙に揺るがす事態があるとしたら何だと思う?
答えは単純にして明快だ。
親の財産を優先席に置いてきた時だよな。
これがオレの人生最後の日となったんだ。
とある電車の優先席にて、オレの姿があった。
詳細は省くが、その日のオレは親のためた貯金を全て仮想通貨に変換したような雰囲気があった。
両親の老後の人生を圧縮した金額が、オレのスマートフォンの中に仮想通貨としてBETされている。
その日を境に仮想通貨は暴落していくのだが、オレが優先席に座った時にはまだ暴落が始まった第一段階ぐらいだった。
ビットコインは天井知らずじゃなかったにょろか。
ふ、震える指で、のの残った財産を注ぎ込み、125倍界王拳みたいな技で最後の仮想通貨を購入した。
5分後。
両親の人間五十年、努力の結晶は夢幻の如くなり。
優先席には人類から最優先でログアウトするべき敗残兵が天を仰いでいた。
Eロン……
意味のわからない言葉が、口から流れ出た。
目からはとめどなく涙が流れている。
オレは人生最大の混乱の最中にいた。親死ぬぞこれ。
「すみません」
白濁した精液のような眼で呆けていたが、声のした方を見ると、そこには天使がいた。
しかもこいつはかなりの上級……オレにとってはセラフィム(熾天使)である。
恋をしたのだ。
そんなことは、全くはじめてであった。
それはそれは可憐な中学生ぐらいの女の子が、それはそれは可憐な上の口から提案を申し出る。
「目の前の妊婦さんに席を譲ってもらえませんか?」
はあ?
駄目だコイツこのクソビッチ。
いきなり陣取り合戦の申し付けか?
「ここは優先席なので、困っている人に譲ってもらえませんか?」
はああ?
親の全財産使って脱糞寸前なんですけど?
おま、そのマタニティガールが苦しむのは十月十日でしょ?ドウテイだから知らんけど。
オレの苦しみは両親の人生丸ごと消費した苦しみなんですけど?
はああ?
オレはロリヰタコンプレックスを自負している。
法律?倫理?生物的には可能だから間違っちゃいねぇだろ。
だがしかし、この目の前のロリヰタは、オレの求めたロリヰタなんかじゃ決してねえ。
卒業式の練習で、男子もっと真剣にやってよ!と叫ぶ、あのなんとも気に食わないアレじゃないか。
中学の頃の暗黒時代を思い出す。
オレはその風貌からか、第7サティアン、ソンシ、アレフ等と呼ばれていた。
アレフは違うだろが。
頭に血が昇る。血圧は瞬く間に200のレッドゾーンに突入し、目の前が真っ暗になった。
憤慨のあまり、拳を握って立ち上がった瞬間。
「なに女の子に凄んでんだオラ」
歌舞伎町みたいな男に胸ぐらを掴まれ、顔を引き寄せられる。
「優先席っつってんだろ」
急だからビックリしてしまい、反応できなかった。
怖かったとかではないけど、さっきの女に意識いってたから、展開が変わりすぎて頭がついていかない。
そんな隙をつかれたせいで、オレはそのまま反対側のドア付近まで振り回されてしまい、その後は人混みとドアの開閉により、電車を降ろされてしまった。
閉じるドアの間から、あの女が歌舞伎町に礼を言い、席についた妊婦は2人に礼を言っている風景が見える。
オレなんかしたっすか?
なんかこっちの理由も聞かずに席譲れって言われて、実際には手を上げるどころか反論すらしてないのに胸ぐらを掴まれて電車から追い出されて、そういう事をした人達は電車の中でお互いを讃えあってんの。
これもう駄目でしょ。
平和と公正を全ての人にってSDGsの16番目にあるでしょって。知らんのかって。
電車が過ぎ去るのを見て、オレは世の中が狂っている事に絶望し、立ち尽くしていた。
次の電車がホームへと向かってくる音がする。
親の財産を乗せたスマホは電車のドアが開閉した際にに通路との隙間に落ちてしまっていた。
譲れない。
優先席という柱を折られたオレには、親の財産しか残っていない。
電車が動き出すより先に、オレは線路へと飛び込んだ。
電車から大きなクラクションが鳴り、ヘッドライトがオレの身体を照らした。




