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めまいによって失われた日常

作者: なっしんぐ

2022年2月某日、突然それは起こった。


夕方に近づくにつれて揺らぐ視界、最初は単なる疲れによるものかと思っていたが夜になって一変。急に回りだす世界、最初はすぐに回復するが次第にその間隔は短くなり、起きていても寝ていても回りだす。今まで自分の見ていた世界とは明らかに違う光景が広がる。目を開けていられない。



そう、強烈なめまいに襲われたのだ。



見ている光景も手足の感覚もおかしくなり、上下左右どちらの方向なのかもわからなくなるほどの状況。具体的に言うと、壁に手を付いている事は頭で理解できても、上下の方向か分からず、足をどの方向に出せば歩けるのか何て状況に陥った時は、もう終わったなと思うほどだ。


夜という事もあり、病院へ行ったのは翌日の朝。家族に手を引かれて歩くも、どこを歩いているかわからない。目を開けて歩くことが出来ないからだ。


病院へ着いても座っていることが出来ずベッドで寝かせてもらったが、点滴治療を施してもらった後、何とか診察室へ。診断は「良性発作性頭位めまい症」。良性と言う言葉と命に別状なしという事で、点滴治療と投薬をしばらく続けることになった。


確かにこの病気、ほとんどがすぐに回復するというものらしいが、本当の地獄はここからだった。



いや、すぐに何て回復しない。



発症から10日ほど経った頃、回転するように見えていた世界は元に戻り、一人で何とか歩けるくらいまで回復。そこから治療を続ける事さらに2週間、めまいは回復したようだが、今度は体がふらついてまっすぐ歩けないという症状が現れる。


そう、このめまいは症状が1つじゃなくて複数あった。別の病院へ行って治療続行。しかし、いくら治療しても回復しない。


どうしてか?

それは、最初の強烈なめまい症状を起こした次の日以外、基本的に仕事を休んでいない。リモートで業務を続けていた。これが直接影響しているかわからないが、すぐに回復するという話を聞いたから、自分もすぐに回復するだろうと深く考えず、病気が命の別状なしなら、休む必要が無いという考えが間違っていたのではないかと、今になって思う。


約2か月経った今でも体がふらつく症状は残り、歩く際に人の介助が必要な状況。人の少ない所なら行けるが、人が多い所は手を引かれないと難しい。1人で近くても遠くても、色んな所へ行っていたが、1人で行ける範囲は限られてしまった。


この先、本当に回復するのだろうか。不安が過ぎる。



この病気、厄介なのは症状の回復がものすごいゆっくりだ。しかし、悪化するのは一瞬。極度の疲労や同じ姿勢を続けていると、せっかく回復した状況が戻ってしまう。


今のめまい症状の難点は大きく2つ。


1つは、人の多い場所に行けない事。人の動きを追うとめまいが起こりやすく、人をうまく避けられない。もし、めまいが階段、駅のホームの先端、交差点で起きたらという恐怖感もある。自分が危険になるだけでなく、人を危険にさらす可能性もあり、なるべく人の少ない時間帯で人の少ない場所へ行くようにしている。


もう1つは、動きそのものが変だという事。ふらふら歩くのを何も知らない人が見れば泥酔しているのか、若しくは危ない薬でもやっているのかと疑われてしまう。なるべく動かないものを見ながら壁際を歩くと起こりにくい特徴があることがわかり、その壁を頼って歩くのも怪しく見える。そして、誰かと一緒に歩く時は道連れだ。


最初の頃は座っている姿勢が一番厳しく、特にトイレの便座に座った後に立ち上がる時が辛かった。それでも回復してくると、建物の中でも狭い場所では起こりにくい特徴もあるようで、サウナ施設では、ほぼ問題ない。いや、サウナ施設までの移動に問題あるのだが。


どちらにせよまだ回復途中、もし回復したら青春18きっぷで一人旅をしてみたいと思っている。



めまいが発生してから約4か月が過ぎ、未だに体のふらつきが収まらない。


今の問題は、うまく人を避けられない事。人が多い所では自分が意識した方向に体を動かすまでに少し時間がかかってしまう。体がふらつくのを制御することを優先するからだろう、動き出して避けるには数秒かかってしまうのが現状。


一番厄介なのは、歩きスマホ、こちらの事情が分かるはずもなく、突っ込んで来る。危険だ。何度か実際に危険な状況になった事もある。めまいや体のふらつきが回復するとか、しないとか以前に人の多い場所を歩くのが怖くなってくる。


新たな問題発生か?


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