第8話 レース
キャンプ行きたいなぁ~
おっさんと若い兄ちゃんといいグレンのことをよく思ってなかったな、いろんな情報を教えてくれた。
俺はこのスピードバトルのことについて少し考えてみた、相手のグランドホースはいいとしてだ、さっきおっちゃんに聞いた話だとグレンのやり方がえげつないらしい。どんな手を使ってでも対戦相手に恥をかかせて確実に勝利をもぎ取るとか言ってたな・・・ちょっとは気にしていたほうがいいんだろうな。
夕方になり俺は目を付けていた湖の畔でキャンプの準備をしていた。
テントを張りベットを作る、タープも張って椅子とテーブルを置く。奥多摩でよくやっていたキャンプを思い出す、あそこのお気に入りのキャンプ場は目の前に川が流れていて朝は川のせせらぎで目を覚ますんだよな。
そう言えば前回最後に行ったの二月の寒い時期だったな、目を覚まして焚火に火をつけて暖をとりながら川を眺めつつコーヒーを一杯飲む。幸せなひと時だったなぁ、また行きた・・・もういけねぇのか、ちょっと寂しいな。
それはさておき、俺は焚火台を用意して火種を準備する、最初は細い枝を火種からできた小さな日にくべていく、徐々に徐々に薪を太くしていく。こうして焚火が出来上がる、ミアに作ってもらったお弁当をだしてお弁当箱のふたを開ける。綺麗に並んだサンドイッチと唐揚げが入っていた、これはうまそうだ。ホットサンドメーカーを取り出してサンドイッチを乗せるあとは焚火の火で焼く。冷たくなった食べ物もこれで焼いたらうまくなるし、なんと!寒い時に肉まんを焼くと物すっごくうまくなるんだ!外はカリカリ中はふっくらと、ただの肉まんが高級お饅頭に早変わり!・・・肉まん食いたくなったな、今度ミアに作れるか聞いてみよう。さて、おなかも膨れたし焚火を眺めてゆっくりしよっと。
俺は食べたものを片付けて、アウトドアチェアに座りココアを入れる。本当に贅沢な時間だとおもいながらふっと思いにふける。
「あー、この先どうなるんだ俺?っていうか、エミリアもミアもこの先どうするつもりだ?」
「あら?私はケンゴさんにずーっとついていくつもりですよ?」
「そうだよなー。」
「私だってついていくもん!ずーっと一緒だし!」
「そっかそっか・・・って!なんで二人ともここにいるんだ!?」
「エミリアと話してね、ケンゴさんを追っかけてきたのよ。」
「しかしさすがケンゴだね、もうこんなところにいるんだもん。」
「いやいや、追いかけて来たってなにで?!俺結構早く走ったんだけど!」
その問いに二人は後ろを振り返るとグランドホースが杭に一頭つながれていた。
「グランドホース・・・?」
グランドホースの頭をなでながらミアが答える。
「エミリアが連れてきてくれたんです。この子ならケンゴさんに追いつけるって言ったので来ちゃいました。」
「来ちゃいまっした、じゃなくってお店は!?」
「それならほら、持ってきましたよ。」
「あぁ・・・そうでしたね、持ち運べるんでしたね。」
ピコっと出した手のひらにクロネコ亭が模型のように乗っかていた。
「ねーケンゴー、この焚火って面白い台に乗っけてるけどこれ何なの?」
「あー、これね。焚火台って言って地面に火が付かないようにして自然を大事にしているんだ。」
「ほんとに?ケンゴさんこれ出してるときニヤニヤしてたわよ?」
「あー、実はかっこいいから使ってるんだよ。」
俺は頬をポリポリ搔きながら顔を赤くしてそっぽを向いた。
三人で焚火台の火を囲みたわいない話をした、そのあとでエミリアからグレンの話が少し出た。
「というわけでグレンはどんな卑怯な手を使ってでもこの勝負に勝つつもりらしよ。」
「そうか、まぁやるなら俺も負けるつもりはないしな。コースはもう確認してきたし。」
「え?確認ってここから関所までまだ距離ありますよ?」
「ん?関所に行った帰りだよ?」
「「え?」」
「え?」
「ケンゴといえどもそんなに早く走れるわけないじゃないか!悪い冗談はやめて!」
「そうですよ!いくらなんでも早すぎます!」
「そういわれてもなぁ・・・関所の騎士団に確認してくれれば間違いないけど。」
そう言って俺は椅子から降りて地面に座り両手を後ろにつっかえ棒のようにして立てて上を見上げた。すごく綺麗な星空が空を包んでいた、日本にいたころでも見たことない、あ、一度だけ奥多摩で見たか。それよりも全然星の数が多いい、本当に綺麗だ・・・
「どうしたんですか?ケンゴさん?」
「ん?星がとてもきれいだなって。」
「星?ケンゴは星が好きなの?」
「いや、俺の住んでいた街は夜空を見上げても星が見れなくてな。こんな星空なんてほとんど見る機会がないんだ。」
「そうなんですね、マリアーノではこの星空は晴れていたら毎日でも見れますよ。」
「うん、それもそうだな、でもさ初めて見た星空がこの三人だったってのもなんだかうれしくてさ。」
片手をそばに伸ばし俺は星をつかむ仕草をした。
「ケンゴさん」
「ケンゴ・・・」
「ぜんぜん知らない世界に飛ばされて、エミリアに出会って、ミアに出会って。会ってからたった数日なのにこうやって焚火を囲んで星を見上げてる、幸せな思い出だなって。こんな日がこれからずっと続くんだなって思うとワクワクもしてくる。」
「いろんなところに行きましょ!ケンゴさんの言ってみたいところ見たいもの全部!」
「そうだよケンゴ!旅はこれからなんだから!」
そう言ってミアとエミリアは俺と同じように星を見上げ、手を伸ばし星をつかむようなしぐさをまねた。
この時間がずっとつずけばいいと俺たちは顔を見合わせた。優しく笑う二人を見て俺はドキッとした。
焚火の灯りと星空と湖とっ全てが重なって二人が本当に綺麗に見えた、心の底から綺麗だと思った。この二人を守っていくために俺はここに来たのかな?と頭によぎった。
俺たちは湖の畔で一泊して町に帰った。そして・・・
「ハーッハッハッハ!よく逃げずに来たね!今日は君の醜態をみんなにさらす時だ!楽しみだよ!」
決戦当日になり、スタート位置に来た俺たちは茫然とした、町が・・・町がお祭り状態じゃねぇか!どうなってんだ!?
「これはどういう事でしょうか?グレンさん?」
「もちろん町のみんなに言ってこのレースバトルを盛り上げているんだ!楽しいだろ?」
「そうですか・・・いや、そうか。わかったよグレン、その前にこの勝負に勝ったら俺は何がもらえるんだ?そしてお前の望みはなんだ?」
「口の利き方が鳴っていないね君。まぁいいよ、この勝負に勝った場合は僕はミアさんをもらうよ!もちろん僕の嫁としてね!君が勝つことは絶対にないから買った時のことなんか気にしなくていいんだよ。」
そういって高笑いしているグレンに対して民衆から不満の声が浴びせられる。俺は一切負ける気なんてない、むしろミアを景品にしか見ていないこいつに怒りがわいてくる。どうしてやろうか・・・
「ウム、それは少し横暴ではないかなグレン殿。」
「なにをいいますか、彼に万が一にでも勝てる要素なんてないのですから勝利の景品など考えるのは無駄なのですよ。」
「ほぅ、そこまで自信があるのであるならば彼にも考えることくらいさせてもよいのではないか?」
「さっきからうるさいですね、だれなんですかこの僕にさしずするって、げぇ!公爵様!」
「貴様、自分の良いようにしか考えておらんな?そんなことこはこのわしが許さん。このレースの審査員はわしが行う。貴様が不正しないようにな。」
グレンの後ろから現れたのはこの町の公爵、ニーア・ホルス公爵だった。グレンの最近の悪いうわさを聞き見物ついでに不正を暴きに来たらしい。こうしてレースは始まる。
『さぁ!始まるぞこの町始まって以来の大レース!挑戦者は冒険者ケンゴ!対する対戦相手はグレン様のグランドホース!騎乗するのは騎士団のバメル様だ!国一番の乗馬技術をもち馬では負け知らず!この勝負バメル様が乗るグランドホースに勝てるのか!?冒険者ケンゴは乗るのは古代遺跡より発掘されたアーティファクト!誰も見たことのないバイクという乗り物だ!どんなレースになるのか!?そしてどちらが勝つのか!?もうすぐ開催だ!露店にいる人ももう戻らないと世紀のレースを見逃すぞ!』
大々的な放送で町中に聞こえる放送を送る放送者は、今回の実況者コラムと名乗った。もうすぐレースの始まりだ、スタート地点にはグランドホースに乗ったバメルとケンゴの二人がそろっていた。
「なかなか変わった乗り物の様だな。拙者バメルと申す。」
「あ、ケンゴって言います。」
「ケンゴ殿か、いろいろ事情があるだろうが手を抜くわけにはいかんので本気で行かせていただく。お互いの健闘を祈る。」
「もちろんです、グレンのことは別としてバメルさんの胸を借りるつもりで本気で行かせていただきます。」
「よい心がけだ!いざ勝負!」
「負けませんよ!」
二人のバトルが今始まる。グレン、ケンゴ、ミア、エミリア、バメル、いろんな人間のいろんな思いが重なり今レースが始まる。
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いろんな人のいろんな思いが交錯していますね。
今後もいろんな展開の持っていこうと考えています。次回はついにレーススタートいたします。




