第7話 スピードバトル
夏だ!水着だ!バイク日和だ!
・・・水着なんてねぇ・・・( ;∀;)
「ケンゴ!ミア!大変なことになってしまった!」
衛兵姿ではなく私服姿で息を切らした彼女が血相を変えて飛び込んできた。
「どうしたエミリア?そんなに慌てて。」
「だから大変なことになってしまったんだケンゴ!」
「ちょっと落ち着いて水でも飲め。」
俺がそう言うとミアが台所に行ってコップに水を入れてきた。
「ミアありがとう、実はってなんか二人ともいい雰囲気だが・・・」
「あら?わかるかしら?」
「ずるいぞいぞミア!私がいない間に何があった!」
「いや、そんなことより、何が大変なんだ?」
「そんなこと!?ひどいぞケンゴ!っと、グレンの奴がケンゴに対して決闘をもうしでたんだ。」
「え?なんで?」
「ミアの件で契約書は素直に渡してきたのだが、金の力を使ってこの町の侯爵家に頼んだようだ。」
「うわ・・・俺、戦いとかやったことないよぉ・・・。」
俺はエミリアとミアを交互に見ながら頭を抱えた。
「いや、グレンがケンゴの得意なもので勝負するといってきた。だから、スピード勝負という話にしてきた。ケンゴのバイクなら間違いなく勝てると思ったから!」
「まじか!それなら勝てるかも・・・いや、相手は何の乗り物に乗るんだ?」
俺は相手の情報がないのと、どのルートを通ってどこに行くのかがわからない状態では負ける可能性があると考えた。だってダートかもしれないし、いくらスピード出せるって言っても相手がどれくらいのスピードなのかもわからないしその辺だけでも情報として入れておきたいよな。
「グレンのほうは・・・グランドホースで来るらしい。」
「グランドホース?」
「ケンゴさん、グランドホースっていうのはお馬さんですよ。ただ少し違うのが、通常の馬の二倍で速さは1.5倍位です。グランドホースが本気で走ると人間が乗れないとも言います。本当に速いんですよ。」
「そうか、ん~具体的な速度がわからないな。」
「そうだな、関所からこの町までケンゴはどれぐらいでついたんだ?」
エミリアはテーブルに地図を出すと関所からこの町までの道をなぞる。
「ん~大体二日くらいかな?ゆっくり走って寄り道しながらで。」
「グランドホースの場合はその距離を半日から一日で走り抜けれるんだ。半日で走る個体はめったにいないけど今回のグレンが出す個体は相当のものらしい。」
「ねぇエミリア?ケンゴさんがそれにかったらどうなるの?」
「ん~・・・どうなるんだろう?聞いてこなかった。」
俺たち三人はテーブルの地図を見てため息をついた。わかったことはコースとグレンが用意した相手がグランドホースという事。それにしても負けたらどうなるんだ?勝ったらどうなるんだ?結局のところ訳が分からん。まぁこの勝負を受けて勝てたらミアからグレンが手を引くとかだったらいいんだけどな。どうしよう。
「あ、そうだ。ケンゴにミア、わたっしもお前たちに付いていくから!父上から許可をもぎ取ってきた!これで安心して旅に出れるよ!」
「マジでエミリアも一緒に来るの!?」
「駄目なのか?クロネコ亭だし、宿屋なんだから部屋はいっぱいあるじゃん!私も行くって言ったら行くの!」
「とりあえずはこの目の前にある問題をかたずけよう。エミリア、日程はどうなっているんだ?」
「一週間後って言ってたと思うけど、後で使いの者が来るはずだよ?」
エミリアはテーブルの上でうつ伏せになりながらストローを口にくわえて器用にコップの水を飲んでいる。
「なぁ?エミリア?」
「んー?なにー?」
「お前口調どうしたんだ?」
「んー?衛兵団やめたしお父様ぶんなぐってとびだしてきたからもういいんだよー。」
「そうなん・・・はぁ!?お前話し合ってきたんじゃないのか?!」
「だってー何言っても駄目だっていうんだもん。」
「だもんじゃねぇ!いいのかそれで!」
「まぁ今はお父様にも反省してもらわないといけないと思うし、それよりもミアのほうが私は大事だし。」
「しかたない、それはまたあとで解決するとして、明日から走行の下見やグランドホースがどんなものか確認しないといけないな。」
次の日俺たちはグレンからの果たし状を受け取り、レース対決をすることになった。
一方グレンたちのほうでもケンゴに対して動きがあった。
「その後のあいつの動きはどうなった!」
「ハッ!グレン様、クロネコ亭に入り浸っている様子です。」
「くそ!俺様に恥をかかせやがって!ただじゃ済まさないからな!グランドホースの手配はどうなっている?」
「ハッ!予定通り来週の対決までには間に合うように手配しております。」
「そうかそうか、叔父上に行って最高速度が出せるグランドホースを送ってもらったからな。これであいつに恥をかかせてやる。」
「グレン様、グランドホースにはだれを騎乗させましょうか?」
最高速度が出せるグランドホースに乗るには相当な腕前が必要となる、普通の馬であればある程度の乗馬術を持ていれば乗れるが、グランドホースはまた別である。
「ふむ、あの男に任せるか。」
グレンは片手に持ったワイングラスに一口飲むと高笑いしながらケンゴの敗北する姿を想像して悦に浸っていた。
俺は朝起きると、ミアとエミリアに一度コースの確認をしてくるといって町の入り口まできた。
グレンが大々的にスピードバトルの宣伝をして町ではちょっとしたお祭り騒ぎになっていた、街中を歩くだけでみんなに声を掛けられて、ミアのことやバトルのことを根掘り葉掘り聞かれる、それでもみんな俺に頑張れと応援をしてくれた。グレンの奴よっぽど嫌われているんだなと思った瞬間でもある。
さて、入り口に来た俺はストレージからモンスター400をだす。いつ見てもカッコいい、俺はこいつが大好きだ。最近の新型もかっこいいが、どうしても俺は古いバイクを好んでしまう。
ヤマハのXJR400だったりKAWASAKIのゼファーやスズキのインパルス・・・どれもこれも一度乗ってみたいバイクだ。それはさておき、俺はバイクにまたがりエンジンをかける。グレーターホースの半日でつくという記録がどんなものか確認しておきたいからだ。直線距離にして約200Km・・・さほど遠くないよな?東京から静岡県の浜松くらいまでの距離だし・・・あれ?半日もかからないぞ?下手したら3時間半くらいでつくなぁ。
「ケンゴさん気を付けて行ってきてくださいね。」
「ケンゴ早く帰ってきてよ~私にもガレージ見せてよ~!」
ミアもエミリアも見送りに来てくれた。正直半日もあれば往復できる距離だというのはここは黙っておこう。キャンプ道具もストレージに入れたし、ミアのお弁当も持ったし。エミリア・・・衛兵団やめてからグダグダしてるな。ま、一日ぐらい楽しんでこよう、初!異世界キャンプ!やってみたかったんだよね~!
「じゃあ行ってくるよ、明日には戻れると思うよ。」
「待てますね、おいしいごはんいっぱい作って。」
「早く帰ってきてぇ~!」
俺は二人に挨拶して目的のコースを走っていく。
最初は山道を時速120キロのスピードで駆け抜ける、走っていて気が付いたのだがスキルのタイヤ下道路整備が発動しているらしく周りは土の道なのにアスファルト同様のグリップが聞いているため車体を倒しても滑ったりすることはなく、完全に整備された道路の上を走っているかのような状態でハンドリングが可能になっていた。最初は森の木々の間の道を走り、50Km超えたくらいから湖の湖畔を半周するといってもこれが100Kmくらいあった。そして谷間にある道を通って関所まで行く。ざっと200Km予想通り3時間半くらいでついてしまった。これもタイヤ下道路整備のおかけだな、帰りは湖の畔でキャンプだな。
「あれ?この間のアーティファクトの兄ちゃんじゃないっすか!」
「あ、この間はどうも。」
「どうしたんすか?」
前回ここで会った若い兵士が俺に気が付いて話しかけてくれた、俺は事情を説明して去ろうとしたときにもう一人の兵士も気が付き話しかけてくる。
「お!兄ちゃん、町には無事に行けたのか?」
「おかげさまで無事につくことができました。・・・・」
「ん?どうしたんだね?」
「お二人は衛兵団なのですか?町で会った衛兵団とは少し違う気がするんですが・・・」
「俺たちは衛兵団ではなくて騎士団だ。衛兵団は町々で構成されているが、俺たち騎士団は国で構成された兵士だ。だからちょっと違うんだ。」
「そうなんですね!ご苦労様です。」
「あ、そうだ、一週間後にスピードバトルが開催されるからお前のアーティファクトで邪魔とかならないように気をつけろよ。」
「兄ちゃんのアーティファクトも早いけど一緒に出たらいい勝負になるんじゃないか?ねぇ先輩?」
「ん?あぁそうだな。」
「それ俺っす。俺がバトルんです。」
俺の話を聞いてセンパイと呼ばれた兵士は目を丸くしてびっくりしていた。その後センパイの兵士も根掘り葉掘り俺話をさせたのは言うまでもない。俺はその後二人の兵士とお別れして目的の湖の畔を目指してバイクを走り出した。
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