第51話 皇帝
「ふん、あんな小僧ワイバーンにわしが舐められたら終わりじゃよ。」
「なかなかの迫力だったな、可哀想に。」
降下していくワイバーンを横目に空中に出来た川をじいさんは悠々自適に進んでいく。
折り返し地点にはマックリー王国の宰相が立ち、ちゃんと通過したかを確認している。俺がじいさんの頭から挨拶すると宰相は木の影から顔だけ出して通過のサインであるマックリー王国の国旗を降る。それを確認して俺はじいさんにマックリー王国に戻るように促す。フレイはまだ追いつかないようだ。まぁ仕方ないよな、あのワイバーンは既に戦意喪失してるし。
最初の予定とは全然違くなったが優雅な空の旅を満喫していた、遠くの方なマックリー王国の城がかすかに見え始めた。
『けんちゃん!下!避けて!』
ナビの叫ぶ声でじいさんにすぐに話すと下から撃たれた氷の矢がじいさんの体にぶつかる。
「じいさん大丈夫か?!」
「ん?なんかあったか?」
下の方を確認すると地上から火球と思わしき火の玉が数十発放たれている。フレイの仕業か?と思ったがワイバーンを数十匹も用意することはいかにフレイといってもさずがにそんなもの用意できないだろ。かといって他に協力者が…と考えている間も止むことなく火球がどんどん放たれる。
「うむむむむ、いくら痛くないといえどもこうも何発も当たっているとイライラしてくるのぉ・・・」
「痛くはないんだ…」
爺はお返しと言わんばかりに特大の水球を地上の火球を放っている地点に目掛けて吐き出した。地上に水球が当たると地表が洪水のように水に飲み込まれる。そして火球を撃っていいた犯人があぶりだされる。
『ケンちゃんあの人たちは・・・』
「人が魔法を放っていたのか?」
『ですね、あの鎧はケンターク帝国の物です。フレイが言っていた隣国の国ですよ。』
「という事はフレイの協力者ってことか。」
『そうゆう事です!!』
さて、こうなってくると隣国との戦争すら発展する可能性があるな。なんせ今ので爺さんの攻撃がマックリー王国からの攻撃だとか言い出しそうなヤカラとかいそうだし。
さて、どうしたものかね?
「ふむ、なんじゃケンゴがあの者たちを攻撃するのはまずいのじゃな?ならばわしに任せてみんか?」
「え?爺さんに何とかできんのか?」
「こういったのはどうじゃ?」
じいさんは俺にある提案をしてくれた、突拍子もないがそれこそがこの件を丸く収められるような提案だった。
「それほんとにいけるかな・・・まぁミア達に相談してみるか。ってどうやって話ししよう?」
『ケンちゃん!ナビに任せて!今だけインカムを長距離でつなげられるようにしたから!』
「さすがナビ!いい仕事する!」
『えへへ!』
というわけでミア達にインカムで連絡を取ることにした。
「あーあー・・・ミアー聞こえてるかー?」
「ケンゴさん?!そちらは大丈夫なんですか?こっちは何とかなっていますが・・・」
「こっちは少しヤバい状態なんだけど、ミアのご両親に相談してほしいことがあってさ。」
俺は事のいきさつをすべてミアに話した。
「というわけなんだ、どうにか話をつけてくれ。話しが付いた段階で俺たちはそっちにっすぐに向かう。」
「わかりました、すぐに話をしてみます。」
下方からの攻撃を爺が水を使って防ぐ。どんだけ人が集まっているのだろうか?攻撃が一向に止むことはない。じいさんのイライラもだいぶたまってきているようだ、ごくたまに数発の水の槍を地表に目掛けて威嚇射撃と言わんばかりに繰り出している。俺はミアからの連絡を待っていた。
side ミア
インカムがいきなりなり始めたと思ったらこんなことになるなんて…ほんとにあの兄は…ってそれよりケンゴさんの言っていた作戦を決行するならあの場所しかないわ!至急許可をとらないと!少しは反省してもらわないと!馬鹿兄貴!
「というわけなの!おとうさんおかあさん!時間が無いから今すぐ承諾して!」
「しかしだな……」
「いいわよ、思う存分やっちゃいなさい。」
「母さん!会議もしないで「そんな事してる暇なんてないじゃないですか、隣国と本気でやり合うつもりなら私はとめませんよ?」
珍しくお母さんが真剣に怒ってる……そ、それよりも。
「ケンゴさん!こっちは大丈夫です!旧市街地ならどんな事をしても大丈夫な様にしておきますから!」
これで大丈夫……
side ケンゴ
「わかった!ありがとうミア!」
「どうじゃ?上手くいったか?」
「ミアが何とかしてくれたよ、じいさんあと十分くらいで旧市街の人達全員の避難が終わるからそしたら作戦決行だ。」
「ほっほっほっ腕が鳴るわい。」
こうしている間にも、したからの攻撃は続いている。遥か後方にはフレイのワイバーンもいる。とにかく早くマックリー王国に戻り作戦に移らなくてはと、俺たちはマックリー王国に向かった。
指定された旧市街地は既に人はいなく物静かだ。俺はじいさんの背中から降りてNINJAに乗り換えるとゴールに向かう。
中央広場に作られたゴールポイントに先に着くと観客席から大歓声と王国の演奏隊の曲が同時に鳴り響く。
出迎えてくれたのはミア、エミリア、ココ、3人だった。
リョウコとハイベルグはミアから別の件でお願いをしてもらっていた。それは人質解放作成と題してフレイが人質として監禁している人達の完全解放をしてもらっている。
「先にゴールに着いたのはなんと!ケンゴ選手の方だー!ワイバーンに乗ったフレイ様が圧倒的に思えましたが、一体全体どのような魔法を使ったのでしょうか?!ワイバーンにスピードで勝つ魔法なんて私は聞いた事ありません!」
そりゃそうだ、魔法じゃなくてじじい使ったんだから。
「この勝負待って頂こう!」
急に一人の男が、アナウンサーのマイクを取り上げこちらに向かって話し出した。
「私の名はケンターク帝国の皇帝、ケーイチ・ケタタマスだ。つい先程あのものが乗っていた魔物が我が軍の部隊に甚大な被害を出したと報告を受けている。責任問題として私が直接来たのだがどうなのだろうか?」
まさか隣国の皇帝さんだったとはー、知らなかったー、いやーびっくりしちゃ……はぁ?!本人来ちゃってんじゃん!
「お久しぶりです皇帝陛下。ミアにございます。」
「おぉ!ミアでは無いか!ひさいしな!元気であったか?」
「はい、各地で色々なことを学び、生涯を共にする方とも出会うことが出来ました。」
ミアが皇帝に挨拶する、生涯のパートナーを見つけたってそれ俺だよね?!いまいっていいの!?
「それはめでたいな!しかし今は……」
「皇帝陛下!こちらにおられましたか!」
「フレイ殿……」
「大変申し訳ありません!この者の魔物がまさかあのような事をするとは……」
「ふむ、今その話をするところだったのだが。」
フレイはしめた!とでも思ったのだろう、アナウンサーからマイクを奪い取るとまたも演説を始める。
「皆様!この男はルールの無いレースと言えど犯しては行けない人類のルールを破りました!!それは魔物による隣国の兵士への攻撃です!実際、皇帝陛下が直々にここにいることがその証明となります!ですのでこの勝負はこの男のルール違反としたいと思いますがいかがでしょうか?!」
必死だなぁフレイ…お?なんだ?皇帝様の顔が怒りに震えてるぞ?あちゃー、皇帝さんもアホだったのかなー?
「ふざけるなこの痴れ者が!者共この者を捉えよ!」
あら?皇帝さんフレイを捉えちゃったよ?
「我が軍が甚大な被害にあったのは魔力の枯渇によるもの!また、レースの邪魔をしてしまったため、その賠償の話し合いに来た迄だ!貴様…何を企んでこんなことをしているかわからんがことと次第では許すことも出来んぞ!」
フレイは怒りに震える皇帝に腰を抜かしヒィとか言っている、あれ?目で誰かに助けを呼んでる……
相手は皇帝さんの後ろにいるなぁ…でもこの人一切動くきなさそうだ。フレイ、残念!と思ったら動いたよ。なんなんだこいつら。
「陛下、フレイ殿は陛下の事を思いこのような事をしているのですぞ?悪いのはあの者で、あの者と一緒にいた魔物もでございます。まずは、あのものが所有するバイクなるアーティファクトを取り上げ、魔物には死を持って償わせるのはいかがかと…」
そう言ったところで旧市街にじじいが姿を現す。
「魔物、魔物とうるさいのぅ…わしのことを魔物と呼ぶのはそなたら2人か?ん?」
じじいの姿を見た陛下はすぐにじじいに跪く。
皇帝についで隣国の兵士たちなども跪いた。
フレイはなんで魔物が喋ってるんだ?と頭が混乱している様子で隣国のお偉いさん、フレイに加担して皇帝に助言してたおっさんは腰を抜かして失禁までしていた。
「やはり貴方でございましたかリヴァイアサン様、兵士より巨大な蛇の魔物が水を纏いながら空を飛んでいると聞いたのでまさかと思い、駆けつけました。」
じじいは皇帝さんをじーっと見て長い首を傾げる、フッと俺と目が合うと俺のそばに来てコソコソと誰じゃあやつ…なんて事を聞いてきた。
「じじい…ボケ始めたのか。隣国の皇帝さんらしいよ。」
「ふーん…知らんがな。」
俺とじじいのやり取りを皇帝さんがじーっと見てるよ、なんだよー照れるじゃんかよー。
「リヴァイアサン様、私が幼少の時に1度お会いしております、もう30年時は経ちましたが…」
「お、覚えておるぞ!あの小さかった子が大きくなって。」
あ、これ絶対忘れてやがるな、目がずーっと俺に助けを求めてるもん。知らんぷりしとこ。
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