第48話 王家のしきたり
組み伏せられたマリアはミアの拘束から抜け出そうとジタバタもがいていた。
「おねぇ様!放してくださいおねぇ様!」
「…うるさい。」
「ヒィ!」
ミアは暴れるマリアを一言で黙らせる。あ、あの顔本気で怒ったときの目つきだ、今は何も言わないでおこう。
「ミアちゃん、マリアを話してあげて。」
「ママ…わかりました。」
ミアは拘束していたマリアをペッと放り投げると王妃様の前に向かって歩いていく。
王妃様の前で一礼するとミアはフレイと王妃様に話をし始めた。
「ママ、いえ、お母様、フレイお兄様。改めまして、ただいま戻りました。今回戻ったのはご報告があり一時的な帰郷となります。」
「うんうん、わかってるよミア。僕は君のことをずっと見てきたからね。」
「そうですね、まずはあなたの報告を聞くのが先だというのにこの二人は…本当にごめんさい。ミアちゃんとお友達の方々も。」
俺たちにやさしい笑顔を向けてくれる王妃様はきちんと話の出来る人なんだろうと一安心する。王様は肩身が狭くなったのか何も言わずにマリアとアイコンタクトをとっている。
王妃様はストレートロングの水色の髪を腰下まで伸ばし、西洋中世時代の時のようなドレスを身にまとっている。ドレスの色は髪の毛に合わせたのか薄い水色だ。マリアはというと真っ赤な癖のある髪を肩まで伸ばしている。青と赤正反対のように思えるが王様の髪が赤いので王様の血を色濃く継いでいるんだろ。
性格も父親似っぽいしな。
「さて、ケンゴさんといいましたね?初めまして。」
「は、初めまして。」
「そんなに硬くならなくっていいんですよ。先ほどはウチの馬鹿二人が申し訳ありませんでした。」
王様と第二王女を馬鹿といったぞこの人。しかも二人を見る目がマジ切れしている時のミアそっくりだ…ほんとに親子だな…。
「色々とお聞きしたいことがありますので後で皆さんのお部屋にお邪魔しておいいかしら?」
「えっと、攻撃してこないのであれば…」
「えぇ、そうね。私とフレイの二人で伺います。」
「わしとマリアは仲間外れか?!」
王様が王妃様に食い掛るとマリアも一緒になって騒ぎ始めた。
「黙りなさい!!!!」
「「ヒッ!」」
「あなたたち二人は何も話してもいないのにいきなり人を攻撃したではありませんか。しかもミアが自分で連れてきた旦那様をです!!ミアの大事な人にいきなり剣や魔法で攻撃を加えておいて何を言っているのですか!」
「そ、それは…だって!ママ!お姉様がどこの馬の骨ともわからない男にたぶらかされているんですよ!?」
「そ、そうじゃ!ミアの旦那はわしが認めたものでなければならん!」
「では、貴方たちはボンクラ王と生意気娘の認めたどこのかの馬の骨だったら許すというのかしら?」
「か、母さんそのくらいに…。」
フレイさんがマジ切れしている王妃様をなだめようとするが王妃様は止まらない。
「フレイ、黙りなさい。このボンクラ王は王家のしきたりである、「民衆から学ぶこと」をせずに引きこもっているくせにこういう時だけ文句言うのよ?生意気な小娘に至っては私が放り出したってすぐに帰ってくるアホ娘なのよ?フレイとミアはちゃんと王家のしきたりを守っているのに。」
「あ、あのママ…ごめんなじゃい…」
あ、マリアちゃん涙目になってる。そりゃこんな風に言われたら誰だって…あ、王様も涙目だ。
「というわけで、貴方たち二人す少し反省してなさい。ミアちゃん達とは私たちでまずは話をしてきますから。」
「「…はい…」」
こうして初めての謁見が終わり、俺たちは王妃様に与えられて部屋に来ていた。今回はミアも一緒なので四人と二匹で今までの事を話していた。シフは何時も道理の俺の頭の上というポジションでくつろいでいるだけど。
「ケンゴさん、父さんとマリアがごめんなさい。」
「大丈夫だよ、こうなることは町でマリアちゃんに会った時に既に予想していたから。」
「あぁ…確かにそんな感じだったよねあの子。ミアの妹にしては好戦的だったね、ケンゴ?」
「まぁ、大好きなお姉ちゃんをどこの馬の骨かもわからない男に取られるって思ってのことだしな…」
「ちょ!ケンゴさん自分で言って落ち込まないで!」
「ケ、ケンゴ君は馬の骨じゃないよ!」
「ココちゃん、それはフォローになってないな~ね?ミア。」
「ま、まぁ…とにかく気にしないでください!」
なぜかみんなに励まされて涙が出てきた。こうなったら意地でもあの二人に認めさせてやる!ってどうすりゃいいんだ?そんなことを考えていると部屋をノックする音が聞こえる。あぁ、王妃様とフレアか。
「お入りください。」
俺は二人を招き入れた。
「いやー、さっきはごめんねー!うちの旦那とバカ娘がさー。」
開口一番いきなりフランクな王妃様がいるんだが?
「ケンゴさん、あれがうちのママの素です。」
「え?は?」
さっきまで凛とした態度の王妃様はどこに行ったんだ?ソファーでくつろぎながらお茶飲んでるけど、威厳がないぞ?
「あー、ごめんね。さっきは場所が場所だったし一応ね?」
「ケンゴくん気にしなくていいからね、母さんはいつもこんなだから。」
「フレアさんは何処でもそんな感じなんですね。」
「まぁ、僕は裏表ないからねー。」
はいはい、そう言う人ほどどす黒い裏持ってたりするんすよ。
「とりあえず自己紹介するねー、わたしはミオリムって言いますー、ミオちゃんって呼んでねー☆(ゝω・)vキャピ」
☆(ゝω・)vキャピじゃねーよ!ミオちゃんなんて死んでも呼べねーよ!どこの一般人が王妃様に向かってミオちゃんなんて呼ぶんだよ!!
「ママ、ケンゴさん困ってるから。」
「えー、ノリ悪いなぁ〜!じゃぁー仕方ない本題に入ろうか〜!」
「という訳で、ケンゴくん。ミアとの結婚なんだけど、経緯を僕達に話してくれるかな?君の言葉で。」
「わたしはさー、ミアちゃんが捕まえてきた人ならいーかなーって思うんだけどー、またしきたりにうるさい人とかいるからさー。」
俺はミアと顔を合わせると2人で頷いた。エミリアもココも目を合わせると頷く。2人が座るソファーの前に4人で座るとジョンがココの首に巻き付き、シフが俺の頭に着地する。2匹とも場の雰囲気を読んでいるのか大人しくしている。
俺はミアやエミリアとの出会いからココとの出会い、そしてここに来るまでの経緯を話した。異世界の事、バイクやニャウス、悪神などの事はとりあえず伏せておく。
「ぞっが〜ぞっが〜、グジュ、だいへんだっだんだでぇ~グジュグジュ」
ミオリムさんが引くぐらい泣いてるぞ?
「という感じです。」
「僕の集めてきた情報とも大体一致するね。嘘は言ってないみたいだよ、母さん?」
「ぞっが~、ヴンヴン!でもねー、それだけじゃみどめられないのー。グジュン・・・」
「待って、ママ!どうしてダメなの?!」
「だって…全部話してないでしょ?バイクの事や神様のこと?それから…」
「ちょっと待って!なんでママがそんなこと知ってるの!?まさか兄さん!?」
ミアがフレイを見ると下をペロッと出しながら両手を広げ肩を上げる。まるで「さぁ?」ってやっているポーズのようだ。
「フレイは関係ないわよ~。私独自のルートで仕入れた情報だからねー。」
なんなの?!王族ってみんな独自の謎ルート持ってるの?マジ怖い!!
「ケンゴくん、話せるところは聞いたけどほかにもあるんだよね?僕らは信用できないかな?」
「いや、信用できないというか…」
「できません!!人のこと勝手に嗅ぎまわって!信用してほしいですって?ケンゴさん、帰りましょう。もう二度とこんなところには帰ってきませんから!」
「み、ミアちゃ~ん、ごめんね~。でもでも~!私だってミアちゃんのこと心配してのことだったのよ~?」
「心配してるから何でもありっていうのはおかしいでしょ?ママは私のことを信用してないから変なルート使って調べたり、お兄様もそう!監視なんてするとか…尋常じゃないわ!」
修羅場かよ!!というかミアの気持ちもわかるし二人の気持ちもわかるから何とも言えないんだけど、ここはとりあえず穏便に済ませたいよな…
「ミア、少し落ち着こうよ。それから、フレイさん、ミオリムさんもミアの気持ちを考えて発言してください。もし、ミアが間違っているというなら俺たち全員が謝ります、ですが、今の状況や監視などの発言の事を考えるとミアが悪いとは到底思えません。」
「そ、それは…」
「お二人の気持ちもわかります。ミアに何かあったらという気持ちも、王族とばれてしまいあられもない噂や、犯罪に巻き込まれるなどを考慮したうえでの判断だっと、俺は思います。」
「「…」」
「だからといって今回のことはやりすぎだと、お二人もわかっているんですよね?なら解決方法はひとつだけですよね?」
俺は二人に助け舟とでもいうのだろうか?提案をしてみる。あとは二人がどこまで考えてどう動くかのそれしだいだ。何もせず逆に自分が間違っていないというのであればみんなと一緒にここを出るだけ…さぁ?どうする?
「ミアちゃん…ごめんなさい。確かに、こんな脅しのようにルートがあるといって話させようとしたのは私が間違っていたわ。」
「僕もごめん。監視させるつもりはなかったんだけど、結果的にそうなってしまったし。母さんのように脅しの様な事をしてしまったと、反省している。」
二人は王族なのに簡単に頭を下げた。まぁ実の娘にだしそれはいいとしよう。
「ってことでいいかな?ミア?」
「う、うん…私もごめんなさい。こんな家とか帰ってこないか言って…」
「「ミア!!」」
と、これにて一件落着?でいいのかな?と思っているとミアが俺に話をしていいか?とたずねて来るので。ミアが話したいなら話せばいいさ。と俺はミアに伝えた。
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