第44話 伝承と予言
「で?何しに来たの?ってかそんなポンポンこの世界に来ていいのか?」
「え、いや、その…ケンゴが困ってそうだなーって思いまして。ウチのせいでもあるしー、力になろうかなーって。」
ニャウスの目が泳いだので真相を聞いてみることにした。
「本当は?」
「なんか面白そうだったから?」
俺は無言でニャウスの顔面を掴む。
「イダだだだだ!ごめん!ごめんなさい!」
ミア、エミリアは落ち着いて俺たちを見ているがほかの4人はオロオロしながら冷や汗を流して俺たちを見ていた。ジョンとシフはマイペースに俺がさっきあげたおやつのベーコンを頬張って喜んでいた。
「ったく、とりあえずユナさんに謝れよ?あ、ユナさんあまり気にしなくていいですからね?いつもこんな感じなんで。」
「は、はい!すみません!」
ユナさんはしきりに頭を下げて謝罪する。ほんと、勘弁して欲しい。
ナキもマナもユナさんもなんとか納得してくれたようで安心した。ココは既にミアとエミリアに諭されたが、ジョンとシフを抱き抱え明日の方向へ目を向けていた。
「って訳で、あそこはウチの聖域として1000年は入れないようになったから。あ、許可さえあれば入れるけど…入る必要もない気がするしなぁ〜」
ニャウスが経緯を説明してナキ一家は納得したようだ。
「ところでニャウス様、この村では昔から神剣を持つものはあちらの聖域にて試練と覚醒を課してきました。今後はどのようにしたら良いでしょうか?」
ナキがふるえるユナさんに変わってニャウスに質問する。
「ちなみに聞くけど、ケンゴ以外で乗り越えて帰ってきた人いる?ってか神剣なんてそんなに無いはずだし…」
「ケンゴさんが初めてになります。」
ユナさんがニャウスに答えた、まだ脅えてるようだけど。
「だよねー、多分だけど今まで来た神剣使いって…神剣じゃなかったから入れなかったか、運良く入れたとしても悪神に…ね?」
みんなが黙る。
シフとジョンはベーコンを貪る。
試練の事実と今までの冒険者たちを考えるといたたまれないが、それも仕方のないこと。だって冒険者なんだから危険なことはつきものだし、自分で決めたんだろうからな…
「ま、なんにせよあそこの聖域はウチが再封印したし、今後こんなことは起こることもないから変な試練ももう行う事もないかな?」
「ほんとそうしてくれると助かるよ。ね?ナキもユナさんもそれでいいかな?」
「そ、そうなってくれるのであればそれは問題ない。」
「か、構いません。」
「という事で、ニャウスお前はもう帰れ。」
「な!?なんでよ!?」
「お前のせいでナキもユナさんも緊張しっぱなしだ。マナなんて一言も話せてないぞ?な?」
「うぅ・・・」
泣き出しそうなニャウスをココとエミリア、ミアが慰める。
しぶしぶ転送ゲートを使ってニャウスが帰っていくとみんな一斉にどっと疲れが襲ってきた。
「ケンゴ殿、いえケンゴ様今まで大変失礼な態度をとって申し訳ありませんでした。」
「ちょ!?ナキ?!どうしたの急に!?」
「まさかケンゴ様が神の使徒だとは気が付かず今まで失礼な態度をとってしまいました。」
「やめて、俺そんなのじゃないから!」
俺は膝をついて頭を下げるナキに近づき立ち上がらせる。
「ほんとにやめて!今まで通りでいいから!」
「しかし!」
「ナキさん?ケンゴさんは本当にそう思ってますから、大丈夫ですよ?」
ミアが助け舟を出してくれる。さすができる女はちがう。
「そういう事でしたらケンゴさん…説明してくだますよね?」
「は、はい。」
ユナさんの笑顔が非常に怖い。ふっと隣のナキを見ると歯をがたがた鳴らしながら目をそらしプルプル震えながらいいおっさんが涙をこらえていた。
とりあえず俺は今までの経緯をユナさん達に一から話した。
信じられないといった表情で俺の話を真剣に聞いてくれていた。
「まさかそんな経緯だったとは…ケンゴさんは大変な思いをしてこの世界に来たのですね。しかもニャウス様との出会いがきっかけだったとは。」
「えぇ・・・まぁこうしてミアやエミリア、ココに会えて他にも大切な人たちとの出会いもありました。もちろんあなた達も俺の大切な人たちです、ついでにナナも入れときますよ。」
「うふふ、そうですか。それは嬉しいことですね。それでこの後はもう旅に出かけるのでしょう?」
「まぁそうだな、ミアの故郷マックリー王国に向けてまたバイクで少し旅になるな。」
「ケンゴさんはその話し方のほうがしっくりきますね。というわけで明日にはこの町を立つつもりです。大変お世話になりました。ユナさん、ナキさん、マナちゃん、また会いに来ますね。」
「いや、なんか真剣な話方したらああユウ話し方になっただけだよ。ほんとお世話になりっぱなしだったな。ありがとう。」
俺達は四人と二匹で頭を下げる。といってもシフは俺の頭の上でくつろいでいるし、ジョンはココの首に絡まっているだけだが。
「ケンゴ君、君たちのこの先の旅の無事をエルフの里レアリアで盛大な祈りを捧げよう!我らが魂の友よ!ナナおねーちゃんにに目にものを見せてくれるわ!」
「え?いや、遠慮しておくよ。」
「なんで!?」
マナが久しぶりに声を出し合と思ったらわけ分からないことを言い出した。
普通に断るし、別に目立ちたい願望なんてないし。むしろそんな風に騒がれても迷惑だしな。
「マナ、ケンゴさんは目立ちたくないのよ?そんなことしたら一生恨まれるわよ?いいの?」
「そうそう、ケンゴはそういうやつなんだよ、ひっそりと他人のために頑張る。そして私の心を奪っていくの…」
「なに馬鹿なこと言ってるの?おねーちゃ・・・・おねーちゃん!?」
マナがびっくりして玄関の方を振り向くとそこにはナナが腕を組んでうんうんとうなずく姿があった。
「ナナ!おまえなぁ!?自分で来れたんならあんな手紙俺に渡すな!」
「だってー、神剣を手に取ったのがケンゴなんだから仕方ないじゃん?不可抗力だし。」
「おかげで大変な目にあったわ!」
「でも、最終的にはよかったでしょ?」
「う・・・まぁ。」
俺とナナは息の合った漫才のような会話をしているようだった。
「っと、そんなことよりもはいこれ。」
「手紙?」
「そう、ルルからケンゴ達にあてた手紙だよ。」
俺とミアとエミリアは顔を合わせると他の人のことをほっておいて手紙に没頭した。
『おにーちゃん、おねーちゃん達へ
お元気ですか?ルルです。覚えていてくれてるかな?ナナミの村でおねーちゃん達にお世話になった獣人のルルです。お兄ちゃんにもらったお薬でもうすっかり元気になりました、今はママのお手伝いで旅館の仲居さんを頑張っています。またお兄ちゃんたちに会えることを楽しみにしています。そうそう、お兄ちゃんにもらったお薬をもらいにいろんな人たちが来ましたよ。獣人は希少だけど沢山来たんだよ、お兄ちゃんのお薬『ケンゴGX』が必要だって言って喜んで帰っていくの!獣人界でケンゴGXとお兄ちゃんがちょー有名人になったんだってママが言ってたよ。お兄ちゃんは旅してるんだよね?また会いに来てくれるよね?ルルずっと待ってるからね。だからね、またねお兄ちゃん、お姉ちゃんたち。』
「・・・ケンゴGXって・・・」
「よかったですねケンゴさん、ルルちゃん元気に過ごせてるようですね。ケンゴGXのお陰ですね・・・ぷっ」
「ミア笑ってるよね?」
「あははははは!ケンゴGXだって!ケンゴ!ケンゴ!ケンゴの名前が薬の名前になってるよ!」
「エミリア笑い過ぎだよ!俺だってまさかこんなことになるとは思ってないよ!」
「ケンゴ君何気にすごいことやってるよね…」
「ココ、気のせいだよ・・・気のせい・・・」
俺たちはルルの話で少し盛り上がった。
「盛り上がってるところ悪いんだけどさケンゴ?神剣の覚醒は無事終わったの?」
「あ、その話はもう終わったので後でマナから詳しく聞いてください。」
「はぁ!?なに?!私だけ仲間外れなの?!」
「仲間外れというか来るのが遅いから悪いんだよ!もう一から説明するなんてめんどくさいわ!」
「これでも急いできたんだよ!予言の話もあったし。」
「予言?」
「あ・・・。」
俺は目を反らしてあたふたするナナを問い詰める。ミアとエミリアとココ三人も加わり四人の中心にナナが小さく正座してる。ユナさんとナキ、マナは我関せずといったように三人でお茶を飲みながら談笑していた。ちらっとマナがナナを見るも、ユナさんにさっと手で目を伏せられる。
「どういうことか説明してもらえますか?ナナさん?」
ミアが笑顔で双剣をチャキッと構える、エミリアはガンブレードをスッとナナの顔面に寸止めする。ココは・・・いつも道理あたふたしている。
俺は・・・その様子を万遍の笑みでその様子を見ている。
「ちょちょちょ!まって!私別に悪意があったわけじゃない!」
「へ~、そうなんですね~、じゃあどういうつもりでこんな回りくどいことしたんですか?」
ミアの目が座っている、ほんとこういう時のミアって怖いというか頼りになるというか。
「べべべ、べつに周りくどいというか、予言が!」
ナナの顔がどんどんどんどん青ざめていく。
「ふ~ん、私たち予言の事なんて一切聞いてないけど?ねぇ?ケンゴ?ミア?」
エミリアはガンブレードのリボルバーの引き金を無言でカチッと引く。
「そうだな、ただ手紙をもっていってほしいとしか聞いてないな?」
「そそそそれはあれだよ!行ったらぜっていに来ないジャンこんなエルフの里!」
「そりゃそうだ?のんびりしたバイク旅を楽しんでいるのに危険なことにわざわざ首を突っ込むもの好きなんていないだろ?」
「だから言わなかったの!むしろ言えないかったの!」
そろそろ本気で泣き出しそうなので俺たちはとりあえずではあるが剣を収めナナの話を聞くことにした。
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