第43話 約束
レアリアの里に戻った俺は早くも絶体絶命に追い込まれていた。
「ココさんごめんなさい!許してください!」
「いやです!許しません!ケンゴくんのバカ!」
ナキに借りている部屋からココが一向に出てこない、鍵かけて外からあかないようにしている。しかもジョンとシフを連れ込んで。まぁあの二匹はいいのだが。
「ココちゃんおねがいだから出てきて!美味しいご飯もあるよー?」
「ケンゴくんがちゃんと反省するまで出ません!!ご飯は扉の前に置いといてください!!」
引きこもりか!じゃなくて本当に困ったぞ?
事の発端は数時間前に遡る、俺が試練から帰ってきた姿を見てココが怒りだした。悪神との戦闘でボロボロになった服と、傷付いた体でかえってきたのだ。帰る前に着替えやらなんやらすりゃー良かった。ミア、エミリア、シフ、ジョンは俺の姿を見た瞬間に抱きついてきたんだけどなー...
「な、なぁ、ココ?俺が悪かったからさ、はんせいしてるからさ。」
「...何が悪かったんですか?」
扉の向こうからヒシヒシと威圧感たっぷりの声でココが答える。
「え、いや、その...帰りが遅くなったから?」
「バカ!やっぱりわかってないじゃん!ケンゴくんのバカ!」
バカって言われた。またバカって!
「ねぇ、ココ?ケンゴの何が許せないの?エミリアおねーちゃんに話してみて。」
「うるさい!もうほっといてよ!!」
「うるさいって言われたよーミア〜」
「あんたが馬鹿なんでしょ?」
「ココちゃん、いい加減にしなさい?このままじゃ何も解決しないよ?ちゃんと話しなさい。」
「ちょ、ミアそんな言い方...」
「ケンゴさんは黙って。」
「は、はい...」
「解決しないならココちゃんはここで暮らすことになるのよ?このままじゃこの先安心して旅なんてできないんだから。一緒に行くならちゃんと話してココちゃんが思った事を言わないと行けないよ?どうするの?」
部屋からは返事がない...ミアだって本気でココを置いていくつもりなんてない、と思う。
全員が黙ってココの返事を待っていると「カチャ」と鍵が開いた音がした、これは入っていいと言う事なのかな?
「ケンゴさんもエミリアもちゃんとココの言い分を聞いてあげてくださいね。」
「うん。」
「わかってるよー!」
ミアがゆっくりとドアノブを回す、キィィッと音がして扉が空くとベットの上にココが座ってうつむいていた。
「じゃココちゃん、言いたいこと全部話しちゃおうね?」
「...うん」
ミアがココの横に座り優しくココを包み込む。ココは少しづつ話し始めた。
「ケンゴくんが私との約束破ったから、悲しかったのもあるし、許せなかった。何よりも...怖かったの。」
「約束?約束ってなんなのかな?」
「それは...」
「なぁココ?俺、ココとの約束を破ったから怒ってたのか?っていうか約束って...」
「ケンゴさんは黙ってて、今ココちゃんに聞いてるから。」
「す、すみません。」
ミア怖くね?マジで怖いんだけど、初めて睨まれたよ。俺泣いちゃう...
「ココちゃん?どんな約束だったの?」
「約束って言うか、ケンゴくんが試練に行く時に無理しちゃダメって言ったのに...グズ...かえって来たら...グズ...ボロボロで...私、怖くて。」
「そっかそっか、それは約束破ったケンゴさんが悪いよね。私達もあの姿にはびっくりしたしね。」
ジロっとまたミアに睨まれた、俺悪くないよ!俺のせいじゃないよ!むしろよく生きて帰って来れたと思うよ!
「いや、あれはしょうがないというかなんというか」
「ケンゴさん!」
「は、はい。」
「まずはココちゃんにちゃんと謝りましょ?それからココちゃん、ココちゃんもケンゴさんに謝らなきゃね?」
「ココ、約束破って不安にさせて...こわいおもいさせてごめんな。」
「うん、私もごべんなざい...うわーん!」
ココが俺に抱きついて泣き出した。俺はココをギュッと抱きしめて、次からは約束を守る決意をした。
「じゃこれでおしまい。いいかな?ココちゃん?ケンゴさんもですよ?」
「うん、ミアちゃんありがとう...」
「ありがとうミア。」
俺とココはミアにお礼を言って笑いあった。そしてエミリアは終始あたふたして完全なる空気と化していた。
俺たちはナキの家のリビングに行くとナキ、ユナさん、マナが静かにお茶を飲んでいた。
「お騒がせしてすみませんでした。」
「大丈夫ですよ。それでケンゴさん、無事に神剣の覚醒はできましたか?」
俺が謝るとユナさんが聞いてきたのでストレージから神剣を取り出す。
「あ、はい。これがそうです。」
「ケンゴさん?良いですか?剣というのはこうゆうのを剣と言うんですよ?」
ユナさんは壁にかかっていた高そうな剣を高速でとりさやから抜いて俺の鼻先に剣の先を寸止めする。その本人はと言うと完全に目が据わって今にも切られそうな勢いだった。
「ちょ、ちょ、ちょ!嘘じゃないんですって!」
「あまりふざけていると...殺っちゃうぞ☆」
「殺っちゃうぞ☆じゃなくて!本当にこれなんですって!」
「これは棒と言うんですよ?棒?」
ユナさんが鼻先にかざしていた剣を振り上げ一言だけ言った。
「剣だって言うんでしたらこの一撃防いでみてください!」
俺は振り下ろされた剣を神剣で受け止める。
ブォンッと言う音がして剣が形成される、心のかなでフォー○とあらんことを...とか言ったのは、いわないでおこう。
ただの棒からライ○セイバーが現れたのを見てその場にいた全員が固まった。ゆいつシフだけが動き俺の頭にポプッと言う音を立てながら羽で頭をバシバシ叩く。
「ね、ね?本物でしょ?」
「な、な、な、なんですかそれ?!」
「ケンゴさん!それどんな原理なんですか?!」
「ケンゴ!私もそれ欲しい!カッコイイ!」
「ケンゴくんて、やっぱりケンゴくんだよね。」
三者三葉に騒ぎ出したのでとりあえず試練で起こった出来事を全部話した。それから神殿は既に入れなくなったのと悪神が神に戻り管理する事になったのも全部はなした。
「ケンゴさん...よく無事に帰ってきてくれましたね...」
「ケンゴ...やっぱり私も一緒に行くべきだったよ...あ、一緒には行けないのか...」
「ケンゴくんが大変な事になってたのに私...ごめんなさい...」
「無事に帰ってこれたんだから大丈夫大丈夫、次からはみんな一緒に行けるとこに行こう。」
3人が俺に抱きついてきてまた泣きそうになっていたので3人の頭をなでなでしたら、すぐに上機嫌になった。
「えっと...私達置いていかれてない?ママ。」
「ハッ!ケンゴさん、悪神とか創造主様とかどうゆう事なんですか?!あそこにはただ神剣を覚醒させるためだけに行ったんじゃないんですか?!」
「えっと、あそこは元々ニャウスの神殿と言うか、家というか、あそこで暮らしていたことがあるらしいんですよ。で、今回は悪神と化した神が乗っ取って住処にしていたので。」
「なんでニャウス様を呼び捨てするんですか!何様のつもりですか!」
「え、いやぁ、あの。」
「ケンゴさんはニャウス様とお知り合いなんです。それでニャウス様からそう呼んでくれと言われてるんです。」
「もー、ママ?ウチの事はニャーちゃんって呼んでって言ったじゃん?」
「あ、そうだったねニャーちゃん。...ん?え!?ニャーちゃん!?」
いきなりニャウスがミアの後ろからひょこっと顔を出した。
びっくりしたのナキファミリーとココだけ、俺たち3人はいつもの事なのでだいぶ耐性が付いていた。
「びっくりした?びっくりした?サプライズ大成功ー!」
俺はガシッとニャウスの顔面を鷲掴みした。
「サプライズ大成功じゃねぇ、いきなり出てきて何してんのお前?」
「ちょ!ケンゴ痛いから!まじで痛いから!ウチの頭潰れちゃうから!」
「ケンゴさん、離して上げてください!痛がってます!」
「ケンゴ、ニャーちゃんいじめたらダメだよ!ケンゴ!」
俺たちのやり取りをナキファミリーとココは膝まづいて震えながら見ている。これがフツーの人の反応なんだろうな本来なら。ニャウスはトテトテと歩いてココの前にしゃがむ。
「もー!ケンゴのバカ!頭割れたらウチ泣いちゃうから!っとそれよりも...あなたがココちゃんだよね?」
「は、はい!ニャウス様!」
「ココちゃんはそんなふうにしなくて大丈夫だよ〜、家族なんだから。」
「え?か、家族ですか?」
「そそ!ケンゴの家族なんだからウチとも家族だよ?ね?ケンゴ?」
「まぁココは家族だけど...なんでそこにお前が入るんだよ!」
今度は後ろから頭を鷲掴みにする。
「ケンゴくん、ニャウス様がいたがってます!」
「ココちゃん!ウチの事はニャーちゃんって呼んででァいだだだだ!」
無言で俺はニャウスをつかみ続ける。
「ケ、ケンゴさん、いえ、ケンゴ様!ニャウス様を離してください!お願い致します!」
ユナさんが何故か慌てて俺からニャウスを引き離そうとした時、ニャウスがユナさんを睨みつけた。
「あんた、何勝手なことしてるの?」
「ひっ!」
「ちょ!ケンゴまじで痛い!」
ユナさんは泣きそうになりながらガタガタと震えその場にへたりこんだ。とりあえずニャウスの鷲掴みの刑は一旦終了にして泣きそうなユナさんのにニャウスの頭を思いっきり下げさせた。
「ユナさん、ニャウスがすみません。」
「い、いえ私が悪かったので。」
「ほらニャウスのせいでユナさんが怯えちゃったじゃないか!ちゃんと謝れよ!」
「だってせっかくのスキンシップを邪魔するから!」
「ほぅ、そうか...ならもっと激しいスキンシップでもするか?」
俺は神剣を取り刀に変化させる。
「い、いゃ。ユナさん!ウチが悪かったです!ごめんなさい!すみませんでしたーーー!!」
ユナさんはニャウスをみてキョトンとしていた。ミアとエミリアはいつも通りだねーと言いながらテーブルでお茶を普通に飲んでいたのだった。
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