第42話 神津斬
吹き飛ばされたニャウスは未だに動けない、動けるのは俺だけ。悪神は血走った目で俺を凝視している、ついさっきまでアホみたいなやり取りをしていたのに今は命のやり取りだ、しかも相手は神ときた…どうしたらいいのさ!
バッ!とニャウスの方を見るとサッと目を逸らした。コイツ完全に想定外だったな!後でおしおきだ!
『ご主人様、武器を変えてください、遠距離攻撃できる武器に、あと今すぐ右に両足で思いっきり飛んでください!思いっきり!』
俺はナビに言われた通り両足で右にジャンプする、体制を間違えたのかドロップキックのような形で飛んでしまうと
「ミギャー!」
と声がした、さらに蹴った反動で反対に戻されると、声がした場所に悪神の腕が伸びていた、恐る恐る腕の向こう側を見るとニャウスが顔面から突っ伏していた。蹴ったのはニャウスの顔面だった。
悪神はニャウスに追撃をする為にニャウスの方に向かおうとするが、増えた足があちこち向いて上手く移動出来ていないようだ。
「これでもくらえ!」
俺は刀を弓に変え悪神に向かってうち放つ、矢は光状の棒になり悪神に突き刺さる、しかしダメージは無いのか悪神は止まらない。
『ご主人様!矢の打ち方を変えて下さい!考え方です、矢は1本しか打てないと言う考え方をかえるんです!』
「1本しか打てない考え方…やってみる!」
俺は悪神に向かって弓を引いた。
矢が装填されていない弓の弦が弾かれた瞬間、弓の前から数本の矢が悪神に向かい走り出す。そうか!そう言うことか!
俺は次々と矢を放つ一度に数十本、それが次々と悪神に突き刺さるが、怯む様子もなくターゲットを俺に切り替え増えた手で猛攻撃される。一撃でニャウスを吹き飛ばす攻撃が休む間もなく繰り返される、ナビのサポートでギリギリ回避出来ているが正直どこまで持つか分からない。
『ご主人様、反撃しましょう!ニャーちゃんが言っていた切り札を使う時です!』
んな事言ったかてあんた、この猛攻撃の中反撃とか無理じゃん!
『大丈夫です!どちらにしろ殺らなきゃ殺られます!男なら意地を見せてください!』
意地とか今関係なくない?!だぁぁもう!わかったよわかった!
『私がスキを作りますから!』
ナビに好きを作る能力なんてあるのか?え?え?
と思った瞬間、悪神の目の前に光が集まり人型をとるとめちゃくちゃ綺麗な女性が現れた...え?!ナビなのか?!
『今です!』
突然目の前に現れた女性に悪神が一瞬だけ怯む。この隙をつき俺は切り札を出す。一度武器の形を刀に戻し、鞘を持ちスキルを発動して抜刀する。
「神威流静撃:神津斬!」
鞘から放たれた刃は光を帯び、神速の突きとなる。悪神は避けることも出来ずに刀に貫かれる。
「ギャァァァァ!イダイイダイイダイイダイイダイイダイイダイ!ウガァァァァァァ!」
悪神が断末魔の叫び声を上げのたうち回る、激しく暴れ地面や壁等を粉砕していく。一通り暴れた悪神は貫かれた部分から一気に光が溢れ出す。
「ケンゴ、ありがとう。これで彼も...」
「あの神は...死ぬのか?俺が殺したのか?」
「え?死なないけど?」
「だってあれ見ろよ!あんなんなってんじゃん!」
悪神の方を見ると人型を取り戻し、両手を天に上げて静かに天井を見上げていた。
「ね?死なないから。」
「あ、うん。」
「彼も神だし、悪神となった願いをケンゴの神津斬が払ったと言えばいいのかな?神に着いた穢れをおとす技が神津斬だから。」
「穢れ?」
ニャウスは悪神を指さし説明をする。
「神頼みってあるでしょ?人間が神様にお願いするあれ。普通の願いならいいんだけどね、中には良くない願いもあるんだよ。もちろんウチ達は一人一人の願いなんて聞いてられないけワケだけど、何人もの神でてわけして分担するの。多分彼の分担は良くない願いが余りにも多く、酷いものだったんじゃないかな?その悪い穢れを長年蓄積していくと...」
「悪神になる...か?」
「そう、そういう事。」
俺たちは悪神の方に向く、突きをついた部分から放たれた光は悪神全てを包み込んだ。五分くらいたっただろうか、光が収まり1人の神が現れる。
「ここは...わしはなぜこんなとこにいるんじゃ?」
悪神だった神は何があったのかわかっていないようだった。ふっとこちらを見るとニャウスに気が付き近寄ってくる。
「これはこれはニャウス様、お久しぶりでございます。」
深深とお時期をしてニャウスに挨拶をするおじさん神、容姿は見た目80歳近いシワシワの顔で口周りに白い髭...仙人やん。
「あぁ、君だったんだね。君、悪神になってたんだよ?」
「な、なんと?!わしがですか?!それは申し訳ありませんでしたじゃ。」
「謝るならケンゴに言ってよ、ウチよりケンゴの方が頑張ってたからさ。あ、あと君、悪神になってしまった罰としてこの場所を1000年間守ってね。」
「いやはや、ケンゴ殿と申しますか、ご迷惑お掛けして申し訳ない。ニャウス様承知致しました、その罰しっかりとお受け致します。」
「一件落着だね、ケンゴ」
「いや、落着じゃないだろ!師匠達のことは!ビフォーたちの苦しみが残ったままだろ!!」
今まで抑えていた感情が一気に溢れ出す、戦って、傷ついて、倒したら、はい、おしまい?ふざけるな。おれはそんなの許さない。
「いや、ケンゴ...でも。」
「神だから何をしてもゆるされるのか?!俺は許さない!誰が許しても俺は許さない!だって神様のやる事だから仕方ないって言ったらそれは、ただ単に諦めてるのと同じだ!」
『ご主人様...』
静寂と神2人が俺を見る、と、光が集まり5人、いや、5匹のゴブリンの姿を映し出した。
「ビフォー!みんな!」
『ケンゴ、オマエノイカリモワカルガ、オラタチノイイブンモキイテクレ。』
『アタイラハコノカタニイツモイノリヲササゲテタ、ソレハヒドイモノダッタノカモシレナイ。』
『ワレラノココロノヨリドコロダッタノダ...』
『ケンゴサンアナタニハトテモツライセンタクヲサセテモウシワケナイトオモイマス...』
『ワッチラハミズカラコノカタニツカエタ...ガ、マサカアクシンニカワッテシマウトワオモワナカッタワ...』
「しかし...」
『ケンゴ、モウオワッタンダ。オラタチモカイホウサレタ、カミモカイホウサレタ。』
「みんながそれでいいなら...」
「ケンゴ殿、それからビフォー達もすまなかった。」
神は俺たちに頭を下げる。
『オヤメクダサイ、オラタチワアナタトトモニイキルトキメタトキカラウンメイヲウケイレテイマス。』
「神様はビフォーを知っていたんですか?」
「知っている、わしがビフォー達を見出し、この神殿で修行させておったからな。まさかこの様になるとは...本当にすまんかった。」
神は5人を抱きしめると目から涙を流す。5人も堪らず堪えていた涙を流し神に抱き着く...これ以上は野暮だな…
「ニャウス様、どうかビフォー達をよろしくお願い致します。」
「うん、それは大丈夫だよ。彼等は次の人生がきまっているから。」
「寛大な処置ありがとうございます。」
『ニャウスサマ、カミサマ、ケンゴ、ホントウニアリガトウ、ソシテケンゴ、コレデホントウノサヨナラダ。』
「あぁ、ビフォー。いや、師匠!あなたに教わったことは絶対に忘れない!あなたの思いもみんなの気持ちも絶対に忘れない!」
挨拶が終わると5人の姿がすけ始め光となって消えていった。
「じゃ、ニャウス、俺も帰るよ、みんなの所に。」
「そうだね、神剣も無事覚醒したしね。あ、ケンゴにあげたスキルはそのままにしとくよ、何かあったら使えばいいし、使わないなら使わないでいいし。ほのぼの旅だもんね目的は、今回はちょっとほのぼの出来なかったけど。」
ニャウスはケラケラ笑いながら消えていった。
「じゃ、神様もお元気で...っておかしいですかね?」
「いやいや、それで構わんよ。お主も元気でな。」
こうして俺はまたバイクをストレージから出して走り出した。
こうして、試練と言われた神剣覚醒は無事に終わった。
『ご主人様、もう少しでレアリアの里です。』
「うん...」
『あまり力になれなくて...すみませんでした...』
「なにいってんだ、すごく助かったしナビがいなかったら俺なんてとっくにくたばってたよ!感謝しかない!」
『しかし...こうやってサポートするしか出来ないのがもどかしいです...』
「そのサポートでなんどたすけられたか...あまり自分を責めないでくれよ。じゃなかったら...ナビ様にこれ以上頼るのはやめた方がよろしいですね。」
『!?ヤダヤダ!そんなこと言ったらやです!ナビします!サポートだって今以上に頑張りますから!』
「えー、でもナビ様へこむし。」
『凹まないから!頑張るから!』
「あはは、頼むよナビ!」
『はい!ご主人様!』
こうして今回の旅は終わった、人間として成長する色々な事があったし、大事なことも教わった。これから先の旅は皆を危険から守ることもあるかもしれない、また激しい戦いがあるかもしれない。そんな時は俺が皆を守れる男でありたいと思う。
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