第32話 事件の真相と魔力結晶と
結界の中に入ったリョウコは目の前の光景に絶句した。
小さな子供を守って父親と母親が重なるように赤ちゃんを抱き抱えているがあたりは一面の血の海であった。
「あんたたち大丈夫かい!?」
「ど・・・どなたか・・・ごぞんじありま・・せん・・が・・・」
「しゃべるな!あんたたち回復だよ!ポーションでも何でもありったけ使いな!」
母親の言葉を遮るとリョウコはすぐさま三人に回復薬を準備させようとするが、三人は動く気配がなかった。
「なにしてんだいあんたたち!早くしろ!」
「あ、姉御…その人たちはもう…」
「うるさい!早くしやがれ!」
三人が見つめるココの母親の腰から下は…千切れてなくなっていた。
「ごめ・・んなさ・・い。もう・・・じかんが・・・ない・・みた・・い。ココ・・を・・こ・・のこ・・を・・・おね・・が・・い・・。」
そういうとココの母親は息を引き取った。
「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!何が冒険者だ!何がSランク目前だ!私は・・・私は!」
拳を振り上げすべてを凍てつかせるような真っ青なストレートロングの髪の毛を振り乱しリョウコは拳を何度も何度も地面にたたきつけた。ゴン、ケニー、ジョーはそんなリョウコの姿を見つめることしかできなかった。
「あぶ~・・・だぁー!」
母親の亡骸からココがリョウコに向かって手を伸ばし、万遍の笑みでリョウコを見つめる。
リョウコはすぐにココを抱き上げ涙を見せながらここに精一杯謝った。
「ごめんな、お前のおかあさん・・・たすけられなかった・・・ごめんな。」
三人も頬に一筋の線を作りリョウコを黙って見守っていた。
気が付くと周りに数百のキツネ型モンスターが何種類も集まっていた。その中心にはココを含めた四人がいるが襲ってくるような様子はない。
「なんでこんなにモンスターが・・・」
リョウコはココをぎゅっと胸に抱き自分を犠牲してでも守る決意をした。
モンスターの中には討伐危険度SS級のシャイニングフォックスの姿も見受けられる文字道理輝きを放つ気杖型モンスターである。そんなモンスターに襲われたらいくらSランクに手が届きそうという冒険者であれ一瞬で命は無くなる。
無言でココを見つめ一歩一歩果実に歩み寄るシャイニングフォックスを三人はただ見ているしかできなかった。ココを抱くリョウコの前までシャイニングフォックスが来るとフォックスはココの前に鼻を近づける。フォックスの大きさは立っているだけでも2mくらいで後足で立ち上がれば4mくらいはある。そんなモンスターがココの手の届くところに鼻先を持って行った・・・ココは笑顔でフォックスの鼻に手をそっと触れると一瞬フォックスが微笑んだかのように見えた。
フォックスは天に向かい咆哮を放つと数百いるモンスターが一斉に雄たけびを上げる。その後すぐにモンスターたちはチリジリになり姿を消していった。
リョウコたちはほっとしていたが避難所にいた冒険者の一人が遠視の魔法で町の様子を見ていた。そのフォックスの行動や目的がココであったという事を町中の人間にその場で話していた。
そうこれこそが災いの子の誕生であった。その後リョウコはココを育てることを決意し冒険者を引退してこの町でギルドの受付嬢から仕事をし始めた。他の三人は今でも冒険者を続けている、この町を拠点にリョウコとココを見守るためにSランク昇格を断り、町周辺の困りごとなどを何も言わずに頑張ってこないしていた。
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と爺が語り終えた。
「そんな・・・あの事件がべて領主のせいだったなんて・・・」
「というわけじゃ、ほれ、今まで頑張ったお嬢ちゃんにはこの記録結晶をあげよう。」
「これは・・・」
「今はなした話が映像ですべて録画されておる。まぁわしがすべて見てたからのぉ。」
リヴァイはほっほっほといいながらまばゆく光る記録結晶をリョウコに渡す。
「その魔力結晶を空に向かって掲げれば空中に映像を投影できるようになっておる。町の人間どもに見せてやればよい。」
自慢げに笑う爺に俺はひとつの質問を投げかけた。
「なぁ爺さん?爺さんの話は分かったが、どうも俺にはわからない部分があるだが?」
「んぁ?なんじゃ?全部話したじゃろ?」
「あぁ、聞いたんだけどさ。ココと両親を覆っていた結界はゴンの防御結界じゃなかったんだろ?じゃぁ誰が張った結界なんだ?」
「そりゃ~わしじゃが?」
「ココの両親守れてないじゃんか。」
「わしが気づいた時にはもうすでに・・・な。」
「そうだったんですね・・・」
リョウコが納得した顔でリヴァイに頭を下げてお礼を言う。
「しかしそのシャイニングフォックスってやつは危険なモンスターなんだろ?なんでないもせずに帰っていったんだ?」
「それはじゃな、ワシと同じ神獣がこの世に生を受けたことが分かったからじゃ。」
「へ~じいさんとおなじねぇ・・・で?何処に居るんだその神獣っていうのは。」
「目の前にいるじゃろうて。」
「は?どこに?」
爺さんはある一人をじっと見て答えた。
「この世には先祖返りという言葉がある、遠い昔の祖先が人間と交わりその血を色濃く受け継ぐものが数代後に現れるという現象じゃ、そして今回その先祖返りは神獣の九尾のキツネじゃ。それを確認しに来たのがシャイニングフォックスじゃて。そして先祖返りしたのはココ、お主じゃて。」
その場にいた全員がココを見る。
「え?え?私ですか?!」
「そうじゃ、あやつの幼いころにようにとるわい。」
ココがきょとんとした顔で爺さんを見ていたので俺が聞いてみることにした。
「あやつっていうのは誰なんだ?」
「そりゃもちろんココの祖先の九尾のキツネじゃ、名をキキというてなとても優しい人間好きのおなごじゃったよ。」
「ってことは爺さんはそのキキにあったことあるってことだよな?」
「もちろんじゃ、よく面倒見てやったもんじゃ。じゃからわしは知っておる、あの娘のやさしさと無念さと悲しみ怒り喜びのすべてを、じゃがな・・・そんなものはココには関係ないからの。」
爺さんは少し悲しげな顔をするとすぐにほっほっほと笑い始めた。
「お父さんとお母さんは・・・なくなっていたんですね・・・。」
「すまんのぉ、ワシがもう少し早く駆けつけておれたらのぉ…すまん。」
「おじいさんのせいじゃないです、お父さんとお母さんのことは旅に出ているって聞いてたので…あったこともないですし…だから…これからも…これからもだいじょ・・・ううわぁぁぁぁん!」
ココはリョウコにしがみ付き泣いた。みなここに声をかけることができずにいた。抱き着かれたリョウコはそっとここを抱きしめた。何時かここに真実を話さなければと思っていたのだろうリョウコもココと一緒に涙を流し声を上げて泣いていた。
ココとリョウコが落ち着くまで少し時間がかかったが俺たちは何も言わずにリョウコとココをみまもっていたが、その間も外では住民の狂気的な声がやむことはなかった。
「さて、ココもリョウコも落ち着いたか?わしからケンゴとミアお嬢ちゃんとエミリアお嬢ちゃんにお願いがあるのじゃ。」
「お願いですか?」
「私たちにできることなんてあるの?ねぇミア?」
「なに簡単な事じゃ、うんと一言だけ言ってもらえたら終わりじゃ。」
「それなら・・・」
「わかりました・・・」
爺さんは二人に頭を下げるとニカッと笑いありがとうと二人に頭を下げた。
「ケンゴにはかなり負担がかかると思うが、男なら気にするなじゃ。」
「もうここまで来たんだ遠慮するなよ爺さん。」
「ほほっほ、そう言ってくれると思っていたわい。」
「で?どんなお願いなんですか?エミリアにはあまり難しいことはできないですよ?脳筋ですし。」
「ちょっと!ミアそれ酷くない?!脳筋じゃないもん!」
「おぬしら三人に頼みたいことは・・・ココを旅に連れて行ってくれんかの?」
「「「は?!」」」
「この町でのココの扱いはお主たちも見ているじゃろ?さすがにわしはもう我慢ができん・・・これ以上のココへの侮辱はキキへ対する侮辱ともいえる・・・頼む。」
「頭を上げてくれ爺さん。」
「だめかのぉ?」
「駄目も何もココちゃんの気持ちやリョウコさんの気持ちはどうするんですか?!」
ミアがリョウコとここを見て爺さんをみる。
「私からもお願いしたい。」
「母さ…支店長!?」
リョウコがココを見て方に手を添えて優しい笑顔でココに話す。
「やっと肩の荷が下りるぜ、これで私も冒険者に復活できるってもんよ!」
「リョウコ・・・」
「おいおい、しんきくせぇかおすんじゃねぇよ!お荷物だったココがやっと私から離れていくんだせいせいするぜ!」
「リョウコさんそんな言い方「うるせぇ!ココだってこんな口うるせぇババァと一緒にいるよりも綺麗なねぇちゃんたちと一緒にいたほうが楽しいぜ!なぁココ。」
ミアの言葉を遮りリョウコはつづけた。
「こんな町にいたら今後私は一生お前を地下牢に閉じ込めるつもりだ。なぁ?災いの子?」
「支店長…」
「一緒に行っちまえよ!お前なんてどこにでも行っちまえ!二度とこんなところに顔を出すんじゃねぇ!」
リョウコはそういうと走って部屋から出て行った。
通り過ぎるときに俺を横目で一瞬みた目元には涙がこぼれていた。なんだこのやるせない気持ち、ココにいる人間は誰も悪く無いじゃないか・・・
「にぃに…支店長さん…泣いてたよ。」
ミロロが俺のそばで俺にだけ聞こえる様に言葉を出す、その声は震えており今にも泣きそうな声をしているのがわかる。
そして俺はすぐにリョウコを追いかけようと思い一階に降りて入り口を開けようとしたときにリョウコの大声が聞こえた。
「みんな聞いてくれ!神獣リヴァイアサン様より譲り受けた魔力結晶がここにある!これにはあの事件の真相が記録されているという事だ!今から皆にそれを見せる!それとリヴァイアサン様より教わった真実を今からこの場で皆に伝える!心してみてくれ!」
リョウコが魔力結晶を天に向かって掲げると結晶が光空中に映像が映し出された、さらにどこからともなく当時の音声までもが聞こえてくるのだた。
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