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異世界ほのぼのバイク旅  作者: パンツ吐いた


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第28話 狂気ある悪意

第10回ネット小説大賞に登録してみました、どうかよろしくお願いいたします!!

今回のお話では、読んでくださる方の気分を害する可能性があります。

ですが、とても大事な部分ですのでどうか最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目が覚めた俺は朝から港町に来ている、ミロロとの約束という事もありココに関する情報を集めにきた。

といってもまだ来たばかりだしこれといった情報はいまだに集めていない。最初に目を付けたのは港町にある食堂だ、朝飯を食いがてら店員さんにでも聞いてみようと思っている。


「いらっさーっせ!」


中年のふくよかな女性が元気よく挨拶をしている。活気がいいのかこの町特有のしゃべり方なのか…とりあえずここは無視しておこう。


「おきゃくさん!今日は活きのいいのが沢山入ってるよ!おすすめはマンマの炙り焼きだよ!」


「じゃ、じゃあそれもらおうかな。」


「あいよぉ!マンマ炙り一丁!」


奥の厨房から『うぁいよぉう!』とバカデカい声で返事が返ってくる。マンマというのは日本でいうところのサンマだと思うニグロはマグロだったしなぁ・・・


「おまちどぉ!マンマの炙りだよ!」


「おお!うまそう!まるッと太っていて、さらにこの香り!」


「お客さん旅の人かい?この町の名物は海の幸だからね!いっぱい食ってターンと味わっていきなよ!」


俺は一口マンマを口に入れるとびっくりした。

溢れる肉汁、うま味と塩味のコラボレーション食欲をそそる芳醇な香り。これぞ海の幸!サンマだ!うまい!うますぎる!サンマぁぁぁぁぁぁ!

とまではいかないが普通にうまい、久しぶりのさんまの味に感動を覚えた。


「そういえば女将さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」


「なんだい?何が知りたいんだい?」


「災いの子についてなんだけど。」


「・・・ッチ、しらないよ。」


「ほんとにしらないのか?」


「これ以上聞くなら帰ってくれ、私は何も知らないよ。」


女将さんは不機嫌そうな顔して店の奥に入っていった。

災いの子について俺は港の漁師など、いろんな人に子をかけたが『災いの子』という言葉を出しただけでみんな不機嫌になりすぐに去っていく。中には俺に対して怒鳴り声を浴びせるやつもいた。どうやらミロロや支店長が話した話はやはり本当のようだ、リーゼントもああいってたしな・・・

俺は気分転換に釣りをするために堤防にきた。災いの子に対してこれといった収穫もないしな・・・ストレージから釣り竿とクーラーボックスを出して釣りの準備をはじめる。


海釣りなんて久しぶりだ。よく茨木や千葉、神奈川の海で釣りをしていたのを思い出す。そう言えば、俺の車ってどうなったんだ?さすがにこっちには持ってこれなかっただろうな・・・俺は餌を付けた糸を海に落とし魚がかかるまでストレージの中身を物色していると。ウキがつんつんと動き魚が寄ってきた合図が始まる。


「来た来た、この世界の魚はどんなのがいるんだ?」


グンッ!とウキが沈み魚が餌に食いついたことを知らせる。沈んだウキに合わせて俺は竿をグッと引く・・・日本だったらHIT!と叫んでいただろうが現状俺の周りは『あいつ変なことやってるぞ?何やってるんだ?』という好奇の目で俺を見ている人たちが沢山いる。

 魚が逃げ回り糸がスプールからどんどん出る、ドラッグのギギギギという音がなかなか気持ちい。思いもよらぬ大物のようだ。何とか水面まで持ち上げてくるとシルエットは青魚に似ている。うん、イナダのような魚だな、これはすごくうれしい、これは幸先は良さそうだ。


それから数時間が立ったが・・・あれ以降いっさいあたりがない・・・なんでやねん。

ただただ糸を垂らしている俺に一人の爺さんが近づいてきた。


「ほっほっほ、調子はどうだね?若いの。」


「全然ですよ、何のあたりもないです。」


「そうかそうか・・・ところでお主が災いの子について聞きまわっていたという若者かの?」


「え?えぇ・・・そうですけど。」


「そうかそうか・・・」


いきなり出てきた災いの子と言う単語に俺はピクッと反応した。みんなその言葉を聞いただけで俺を避けるようにして去っていったのに、この爺さんは自分からその言葉を発している。何か知っているのか?


「みんなその言葉を聞いただけで不機嫌になったり、どなり散らしたりしてきたのに何で爺さんはそんなこと聞いてくるんだ?」


「ふむ、ワシはあの子とのことを災いの子などと思っておらんからじゃ。」


「そうなんだ・・・なぁ爺さん?少し教えてくれないか?なんでここまであの子のことをみんな毛嫌いするんだ?あの子はそんなに悪いことをしたのか?」


「・・・それを聞いてお主はどうする?あの子のために何をするんじゃ?」


「正直分からない、この町全体があの子一人をここまで毛嫌いしている。俺一人で何ができるかわからない。でも・・・こんなの間違っている、それだけはわかる。」


「ならばこの海の主を何とかする事じゃな。」


「主を何とかするってどういうことだ?」


俺はウキにやっていた目はなし、振り向き爺さんを見るとそこに爺さんはもういなかった・・・素早い爺さんだなぐらいにしか思わなかった俺は釣りをやめて宿に戻ることにした。


「ごめんなさい!やめてください!すみません!」


人だかりができて女の子が謝りながら叫んでいた。


「どうしたん・・・・」


人ごみを見て近くにいた人に俺が声を掛けようとしたとき俺は見てしまった。中心にいたのはココで町の人間たちがココに向かって物を投げている。『この悪魔!』『災いの子!』『この町からいなくなれ!』そんな罵声を浴びせながら人々がココに石や飲み物、ゴミなど様々なものを投げつける。


「すみません!生まれてきてごめんなさい!生きていてすみません!」


泣きながらココは人々に謝っている、そんなココを見て俺は何も考えずに人ごみをかき分けココの前に出た。俺が出てきたことにより人々は物を投げるのをやめたが、罵声はやまない。当たり所が悪かったのか頭から血を流しぐったりと横になったココを見て俺は怒りを覚える。ココの周りには果物や魚などと一緒に手紙があった、別に見ようと思ってみたのではないが、内容を見て俺はぶちぎれた。


「おいどけよ!その疫病神をこの町から追い出すんだからよ!」


「そんな娘かばってあたしたちに災いが起きたらあんたにも承知しないよ!」


「その娘を渡せ!この手でぶっ殺してやる!」


なんだ?こいつらは一体何なんだ?本当に同じ人間なのか?確かに俺はこの町の人間ではない、郷に入っては郷に従えと言う諺もあるがこれはそれに当てはまらない。やじは止まらない、狂気も止まらない、さらに加速していく。


ブオォォォォォン!

ブオォォォォォォォン!


俺はストレージからバイクを出しフルスロットルで空ぶかしをかますと、突然現れたバイクの轟音に周りにいた人間が驚きその場は一瞬としてパニックとなる。まるで餌に群がっていた蟻が散るように人々が逃げ惑う。『災いだぁぁぁ!』『モンスターが出たぁぁぁぁ!』『この世の終わりだぁぁぁぁ!』そんな言葉を放ちながら町の人は逃げ惑う。俺はそのままココを抱き寄せてバイクに乗る二十歳にしては小さすぎるココをサイドカーに座らせ、そのまま宿屋までバイクで向かう。


「ごめんなさい・・・生まれてきてごめんなさい・・・」


ココはうわ言のように繰り返す、怒りしか沸いてこない。こんなとき俺はどうしたらいい?どうしたらこの状況を解決できる?俺も自問自答を繰り返す。

宿に着くとミアとエミリアが俺を迎えてくれた。ココを抱き上げバイクをストレージにしまい無言で歩き出す。


「ケンゴさん!どうしたんですか?!大丈夫ですか?」


「俺は大丈夫、それよりも・・・」


「ひどい・・・誰がこんなこと・・・」


宿の扉をエミリアが明けてくれた、ココをお姫様抱っこで抱いている俺はそのまま宿に入る。

最初に話しかけてきたのはリーゼントだった。


「おい!そいつをこの宿に・・・」


俺はリーゼントをにらみつける、俺の気迫が負けたリーゼントは黙ったままカウンターの椅子に座った。迷惑をかけているのはわかる、だがこの状況でこの子を見捨てられるほど俺は腐っていない。


食事をしていた他の客も騒ぎ出す。


「ふざけんな!なんてやつを連れてきたんだ!」


「今すぐそいつを連れて出て行け!」


「俺がそいつをぶっ殺してやる!」


剣を抜いた冒険者がいきなり切りかかってくるが、同じく怒りが頂点に達しているであろうエミリアが簡単に剣をはじく、それを見たほかの冒険者は剣を抜くがエミリアの威圧で足が震えていた。


「この子を殺すというなら私が相手になってやろう・・・冒険者を続けられなくてもいいのならかかってこい。腕の一本や二本なくても生きて行けるだろう。」


久しぶりのエミリアの騎士モードに対して、その場にいた冒険者たちは捨て台詞を吐いて宿から全員が逃げて行った。その騒ぎを聞きつけたのかミロロがカウンターの奥から出てきた。


「ちょ!どうしたの!?ココ!!なんでココが?!」


ぐったりとしているココを見てミロロが慌てふためく。俺とミアとエミリアは無言で階段を上がり自室のベットにココをねかせた。エミリアの魔法でココの傷はふさがりさっきまで言っていたうわ言はいわなくなった、代わりにすーすーという寝息だけが聞こえはじめた。


「ねぇ!にぃに!なんでこんなことになってるの!?ココは!?なんでココがここにいるの!?ねぇ!」


「ミロロちゃん落ち着いて。」


「お姉様!でも!ココが!」


「これを・・・」


俺はミロロにココが持っていた手紙を見せた。


『冒険者さんへ


昨日は冒険者登録に来てくれたのにごめんなさい。私のせいで嫌な思いしちゃいましたよね?私は災いの子だから・・・でも、私を見ても普通に接してくれた冒険者さんにお礼がしたいので勝手にだけどプレゼントをしたいなって思いました。私は町を歩くことも買い物をすることもできないけど、冒険者さんのような人とまたお話したいです。迷惑だったらごめんなさい。


                                          ココ』


「この手紙と一緒にこのプレゼントがココの周りに散らばっていた・・・。」


俺はストレージからぐしゃぐしゃになった果物と魚などの食料を取り出した。


「今日、港で釣りをした帰りに人だかりがあった、叫び声と一緒にココが町の人間から石や物を投げつけられていたのを俺が見つけたんだ。ココは俺たちにこのプレゼントを渡すために町に出たんだと思う。」


その場にいた全員が怒りをあらわにする中、一人の人間が部屋に駆け込んできた。


「ココ!ココォォォォォォォ!」


涙を流し駆け込んできた人物はクライスギルド支店長のリョウコだった。

ココの姿を見るや否やリョウコはベットに寝ているココをそっと抱きしめた、母親が娘を思う姿が重なり俺は理解した。リョウコにとってココは大切な娘なんだと。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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