第27話 ミア
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宿の食堂はあまり騒がしくない、イメージだとヤカラ連中がどんちゃん騒ぎをしていて、因縁をつけられるなんてこともありそうだが、とても静かでみんな行儀がいい。むしろ俺の方が煙草にブールにと行儀が悪く見えるが・・・決してそんなことはないぞ?たぶんないはずだ。今までミアにもエミリアにも賭場められたことないからな。
「なぁ!あにさん!ココの事助けてやってくんねぇか!?」
「助けるって何からだよ?ってうか、ココの事を俺はほぼ知らないんだぞ?ギルドの受付嬢くらいしか知らんぞ?」
「え?マジで言ってるんすか?」
「さっき初めて会ったばかりだしな。」
「そっすか・・・」
「っていうか君の名前をそろそろ教えてほしいんだけど。」
「あ!そっした!すみませんあにさん!あたしの名前はミロロっていうっす!夜路死苦っす!」
あーなんだろこのヤンキー、バイクなんて見せたら絶対に族車に改造するよな・・・なるべく見せないでおこう。ミロロ、可愛い名前で容姿も可愛いのに何だろこの残念な感じは・・・酔いが回ってきた俺は無言でミロロの横に立つ、そう俺はその時ツインテールで左右に飛び出したミロロの髪をつかみ左右に引っ張る。
「あにさん痛いっす!マジすんません!」
「おいミロロ、お前そのしゃべり方やめろ。ゴスロリのヤンキーなんてシャレにならん。可愛いんだからもと女の子らしくしろ。」
そう、あくまで俺は酔っぱらっていたんだ。お酒のせいだ。
「す、すんませんあにさん!痛い!痛いです!マジやべえっす!」
「だからそのしゃべり方やめろっつってんだよ!」
「ごめんなさい!にぃに許して!わたしがわるかったからぁ~!」
涙目になるミロロ、しゃべり方を訂正できた俺。うん、食堂がカオスになってる。
二人のそんなやり取りをカウンターでリーゼントが見て唖然といている。更に髪の毛を横にピーンと引っ張る俺の肩に誰かの手が置かれる。
「・・・何やっているんですか?ケンゴさん?」
「・・・ミ、ミアさん」
物凄く万遍の笑みで笑っているけどものすごい威圧感。
「ごめんなさい!にぃに許して!もうあんなこと言葉使わないからぁ~」
泣きそうになりながら髪の毛を引っ張り返すミロロ、ミアの恐怖に手を放す俺。
「いや、ね、その、ミアさん?これには訳がありまして・・・ごめんなさい。」
「正座です・・・」
「え?せいざ?」
「セイザァァァ!」
「はい!」
ミアが吠えた、初めて見るミアの本気の怒鳴り声。その声は宿全体に響きその場にいた全員がビクッ!となる。あとで聞いた話だが、ミアの怒りを知ったエミリアは以前ミアを怒らせたことがあるようでその時からミアの怒る姿がトラウマになっていると、だからミアが怒った背中でそれを察して部屋に戻ってベットの中で布団をかぶって震えていたらしい。今ならその気持ちもよくわかる。
「いいですかケンゴさん?女の子の髪の毛はとても大事なものなんです。」
「はい、おっしゃる通りです。」
「それをある事か・・・引っ張りまわすとは何考えてるんですかぁぁぁぁ!」
「はい!すみませんでした!」
俺はミアの気迫に危機感さえ覚えた。この世の中、本気で怒らせたら行けない人っているんだよな。いつもニコニコしているミアさんもその一人だったとは・・・
「謝ってください!ミロロちゃんに謝ってください!」
「ミロロさんすみませんでした~!髪の毛引っ張ってすみませんでした~!」
「ぐす・・・大丈夫です・・・」
「二度とこんなことしないでくださいよ…次はないですよ?いいですか?」
「はい、二度としません。」
「絶対ですからね!わかりましたか!?」
「はい!」
ミアは仁王立ちで正座している俺の前に立ち腰に手を当てながらブチ切れていた。まじこえぇぇ、何故かカウンターにいたリーゼントもカウンターの上で正座してる、よほどミアが怖かったんだと思う。
「じゃこれ位にしましょ、私もおなかすいちゃいました。」
「ミロロ、酔っ払っていたとはいえごめんな。」
「大丈夫・・・私も少し女の子らしくしゃべるね。」
「ミロロちゃん?きにしなくていいんですよ?」
「ううん・・・にぃにに言われたとおり可愛い女の子目指す・・・」
ミロロはもじもじさながら恥じらいを出し、ミアの前でくねくねし始めた。それはもう、恋する女子の目をしてミアを上目使いで見上げている。あれ?ミロロ?お前さっきまで夜路死苦とか言ってたよな?幻覚でも見てたのか俺は?
「ミロロちゃんはじゅうぶんかわいいですよ。ね?ケンゴさん?」
「あぁ、普通にしてれば十分な美少女だぞ?」
「はぅ!お姉様!」
幻聴だが一瞬『カチッ』というスイッチが入った音がした。あー多分だがミロロ入れちゃいけないスイッチ入れたな。
俺とミアは席に着きもう一度食事をすることにした。エミリアにも声は一応声はかけたんだけど、食欲がないとのことだった。・・・多分だが、ただ単に今日のミアが怖かったんだと思う。
「ところで温泉はどうだったんだ?ゆっくりできたの?」
「えぇ!とっても良かったですよ!ケンゴさんもあとで入ったほうがいいですよ。美肌効果に腰痛、肩こり、冷え性に効くそうです。」
「へ~それはいいな。」
何気ない話をしているとミロロがブールとスポーンリブとグリオ牛のステーキを持ってきた。
俺は頼んでない、ミアが頼んだのかな?と思いミロロにお礼を言う。
「ケンゴさんこんなに頼んだんですか?」
「え?ミアが頼んだんじゃないの?」
二人してミロロを見ると。
「お姉様にサービスです。にぃにはついでです。」
きゃるんという音を立てながら片足を曲げて顔の横でピースを作る。どうしたらあのレディースが一瞬でここまで変われるのかは俺にはわからない。
「そういえば、ココの話の途中だったよな。」
「あ!そうです、ココの事助けてほしいんです。」
「具体的に何から助けたらいいんだ?あの子まだ20才だよな?」
「そうなんです、でも町の人からずっと・・・」
「あー、それか。」
俺は食事をしながら同じテーブルに座ったミロロに話を聞いていた。
要は、災いの子としていまだにココはこの町で厄介者扱いされていると、ミロロは昔からココと内緒で遊んでいたてココが災いの子ではないとしっている、もしココが災いの子ならすでに私に災いが降り注いでいるはずだと・・・だから大好きなココが町のみんなから煙たがられているのが納得できない。それを私がみんなに話しても誰も取り合ってくれないのだと。その言い分はわかるのだが、具体的にどのように助けてほしいとかどうやればいいとかの案はない。それにその話を聞いたのは支店長とミロロだけだし、実際に他の人がどう思っているのかは今現時点で俺は知らない。
「あの、ケンゴさん・・・私も少しあの子の事が気になってました。」
「ん~だろうとは思ったんだけどさ。」
「お願いにぃに!」
「いいかミロロ、俺たちは今日この町に着いてさっき冒険者ギルドでココと支店長にあった。そして今ミロロからこの話を聞いただけなんだよ。それまではそんな話聞いたことがないんだ。ミロロや支店長を疑っているわけではないんだが、あまりにも情報が少なすぎるしココがどのように扱われているのかが実際のところ俺にはわからないんだ。」
「うん・・・でもぉ・・・」
ミロロが顔を伏せて涙目になる、ぽたりぽたりとテーブルに水滴が落ちていく、ミロロの涙だ。ミアは困ったような顔で俺の方を見ながらミロロの背中を優しくさする。
「ミロロ、別に助けないってわけじゃないんだ。どう助けるか、どうやったらみんなの心からココを助けられるのかが今の状況ではわからないんだ。だから少し時間をくれないか?」
俺がそう言うとミロロは顔を上げて笑顔を見せる。
「うん!私にできることならなんでも手伝うから!」
そう言ってミロロは涙を服の袖で拭って厨房のほうに走り去った。よっぽどうれしかったのか途中でスキップなんかもしていた。
しかし・・・どうしたもんかな・・・
「ケンゴさん・・・いいんですか?」
「まぁいいんじゃないか?どうなるかわからないけどミアだって気になっていただろ?」
「そうですけど・・・支店長の話を聞いた限りではとても一日二日で何とかなるようなことではないですよね?」
「まぁそうなんだよね。とりあえずだけど俺は明日、町の人が集まりそうな場所や港に行って情報を集めてみようと思う。」
明日の俺の予定は決まった、ミア達には自由行動として好きなことをしてもらってついでに何か情報を聞いてきてもらうことにした。どのような情報が出て来るかはわからないが、まぁ何とかなればいいんじゃないかな?という軽い気持ちでいたことを俺は後悔することになる。
「わかりました、私はエミリアと一緒に買い物しながら情報を集めますね。何かあったらすぐ連絡します。」
「俺の方も何かあったらすぐに連絡するよ、あ、好きな事優先でいいからね。俺も釣りしたいし。」
「目の前に海が広がってますからね。あ、もし何か釣れたら持ってきてくださいね、厨房かりてお料理作りますから。」
ミアの料理は絶品だからな、今から考えただけでよだれが出て来る。いかんいかん、目的は情報収集だそこはちゃんとしないといけない。
「なぁあんちゃん・・・」
リーゼントが俺に声をかけてきて神妙な顔をしている。なんだ?妹の髪の毛を引っ張ってしまった報復か?謝らないといけないな。
「すまんな、ミロロが無茶なこと言って。」
「え?あ、あぁ・・・べつに・・・」
「ココはよ、災いの子として生まれてきて親にも捨てられたんだ、そんでよ・・・いや、なんでもねぇ。」
「なんだよ、教えてくれよ。」
「・・・俺もよわかっているんだけどよ、ココは普通の女の子だってことがよぉ。ただよ、20年前のモンスターの蹂躙で俺たちの親も・・・だからよ、どうしても・・・な。」
「そっか・・・いろんな思いがあるのはわかる。気にすんな、俺は俺で動くさ。」
「ちからになってやれなくてすまねぇ・・・ただこれだけは覚えておいてくれ。俺はこんな感じだがよ、他の奴は・・・ココを許せないやつもいるんだ。」
「わかった・・・」
話が終わるとリーゼントは一礼してカウンターに戻る。これは・・・だいぶ根が深いんだろうと考えながら俺とミアは部屋に戻りエミリアをベットから引きずり出していろいろな説明をした。エミリアはミアを見ながらプルプル震えた子猫のように俺にしがみ付きながらも話を聞いている、それでも話を聞いてココの事を何とかしてあげたいと思ったらしく、頑張るといき込んでいた。
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