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異世界ほのぼのバイク旅  作者: パンツ吐いた


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第24話 ふゆびより

少し間が空きました。

今回は僕がよくやるキャンプのルーティーンを入れてみました。


ミアと濃厚な一戦を終えた俺はミアと一緒に乾いた服を着替えてエミリアのもとに向かっていた。

二人して顔を合わせると顔を赤くしてぎこちなくなったが、エミリアがいるキャンプ地はもうすぐそこで平然を装うことにした。エミリアに二人だけでしてたなんてバレたら何言われるかわからないしな・・・


太陽が沈み空も真っ暗になったこの時間に焚火の火はよく見える。そばにはエミリアが丸太に腰かけて焚火の番をしていた。


俺たちの足音に気が付いたのかエミリアがバッと振り向き駆け寄ってくる。


「ケンゴ!ごめんねケンゴ!」


「ちょ、エミリア?」


「ゴメンナサァァァァァイ!」


エミリアは俺に抱き着いてきて子供の泣きじゃくる姿のように泣き喚いた。

俺とミアはエミリアを落ち着かせるためにエミリアが座っていた丸太に座らせ両隣に俺とミアはエミリアを挟むように左右に座る。


「エミリア、もう大丈夫だから気にするなよ。」


「でも、でも・・・」


「そですよエミリア?ケンゴさんのことは私に任せておいてください!」


あれ?ミアさん?今はエミリアを励ますんじゃ?


「え?え?ミア?」


「脳筋のエミリアにケンゴさんは任せられません!今日から私一人でケンゴさんの面倒見ます!」


「ちょ、ミア?何言ってるの?」


うつむいてヒックヒック言っているエミリアに、ミアがビッシっと指をさして勝ち誇る。

なぜ勝ち誇っているのかは俺にはわからないけど、ミアは腰に手を当ててフフーン!とかいってる・・・何この状況?


「という事でいいかな?エミリア?」


「・・・やだ。」


「えー?きこえなーい、っていうか脳筋のエミリアには無理だよ。」


「・・・やだ!」


「エミリアには無理だよ~、後は私に任せて!ね!」


なんか俺蚊帳の外だし、俺のヘタレ根性のせいでエミリアがへこんでるのに・・・なんもできない状況ですべてミアが仕切ってる感じがしてきた・・・ダメだな~俺。


「ミアばかりそんなこと言って!私だって出来るもん!今日は失敗したけど次は絶対に失敗しないもん!それに私脳筋じゃないもん!」


なんかエミリアがもんもんいってるぞ?頭に来すぎて幼児退行化したか?


「ほんとに~?脳筋のエミリアにできるの~?」

「できるもん!大丈夫だもん!」


「よし、じゃあ、次は頑張ろうねエミリア。」


「・・・うん!頑張る!」


・・・なんだろこれ?親子?姉妹?まぁ後でミアにはお礼言っとかないとな。

ミアのお陰でエミリアもすっかり元に戻った、ほんとにミアには頭が上がらない。俺だったらあんなにうまくエミリアを元気にできただろうか?いや、たぶんできないだろうな・・・。

エミリアの元気も出たところで俺たちは日が暮れて真っ暗になった世界で焚火を囲み夕食を食べることにした。


「ごめんねケンゴ、私少し調子に乗っちゃった。」


「いいんだよ、気にしなくて。エミリアは俺のためにってくれたんだから。」


「うん、でも・・・」


「エミリアもケンゴさんも!次から気おつければいいんです!さ、できましたよ!今夜の晩御飯です!」


「ミアの言うとおりだな、お互い次から無理しないでやっていこうな。」


「うん!」


こうして俺とエミリアの中も元通りになった。いや、決して気まずかったとかではないんだよ?ちゃんと元通り以上の関係になっているからね?


「二人とも、ご飯です!今日はニジウオの炙り焼きとイノイノの香味野菜焼きですよ。しっかり食べて明日からの旅もがんばりましょ~!」


ミアはいつも元気でいいな、俺も負けらんないな。


「よし!今日は俺も一品作るかな、丁度海鮮もあるし…。」


俺はストレージからトライポットとダッジオーブンを出す。

トライポットはキャンピングムーンの股をダッチオーブンはキャプテンスタッグの物を使っている。こいつを使って今回作るのは、『チーズたっぷり海鮮パエリア』だ!

川に貝とカニとエビに似た生物が生息していたので捕まえておいた。ミアに聞いたところこの世界ではごく一般的に食べられている食材だという事だったので、問題なく食べられるはずだ。


トライポットの三脚を開き真ん中の網の部分に薪をくべて火をつける準備をする。

チャークロスを火打石に着け石を打ち合わせ火花を飛ばす、弾け飛ぶ火花がチャークロスに引火しジジジと赤い円が広がる。ほどいた麻ひもにチャークロスを付けて優しく息を吹きかける、白い煙が徐々に大きくなり灯がともる。その日をくべた薪にそっと置くと薪に火が燃え移る。これでまひの準備は完了だ。


「なにを作っているんですかケンゴさん?」


「うん、これはね、俺の世界の食べ物なんだ。出来上がるまでどんなものかは内緒だよ。」


「へ~ケンゴのせかいのたべものかぁ~たのしみ~!」


ダッチオーブンに油をひき細かく切った野菜とニンニクの代わりになるものを入れる。この世界にはない食材だが似たような食材はある、これもミアに聞いていたものを使う。香りが立ってきたら米と先ほどの海鮮をぶち込み水を入れて煮立たせる。フタの隙間から湯気が出てきたら弱火にして少しまつ、その後パプリカに似たリーマンとアスパラガスに似たポリパラガスとチーズをたっぷり上から振りかけ15分程蒸らせば出来上がりだ!


鼻歌を歌いながらソロキャンで培った知識で男のパエリアを作っているといい匂いに誘われてミアとエミリアがソワソワし始める。


「すごくいい匂いですね!」


「ケンゴ早く食べようよ!」


二人とも待ちきれないようだ。ついでに作ったコンソメスープもいい感じに出来上がった。


「よしできた!二人とも食べよう!」


「「わーい!」」


「これがケンゴさんの世界のお料理なんですね。」


「おいしそう!はやくたべようよ~!」


俺はパエリアをさらによそい二人に手渡す、エミリアとミアが同時に口に運ぶ、どんな反応するのかとても気になる。


「おいしい!こんなおいしいの食べたことないです!これがケンゴさんの世界のごはんの味なんですね!」


「おいしぃぃぃぃ!ケ、ケンゴ!お替りちょうだい!」


「よかったよ、二人が気に入ってくれて。」


俺は笑顔でエミリアにお替りをよそう、久しぶりに作ったけどうまくいってよかった。二人ともずっとおいしいと食べてくれる。


「ケンゴさん、今度作り方教えてくださいね。」


「あぁ、いいよ。」


「ケンゴの世界の料理、もっと食べたいな~。」


「わかったわかった、また今度な。」


好評に終わった俺の料理もきれいになくなり、焚火を前にして三人で星を見上げる。

この世界の夜空は本当に綺麗だ、いつ見ても満点の星に心を奪われる。

そういえば、昔行った群馬の高崎のキャンプ場で同じような星空を見たな・・・あの時は音楽が、あ!そうだ。


俺はストレージからスマホを出す。もちろん電波なんて入っていないが、ダウンロードしてある音楽は聴けるはずだ。


「ケンゴさんそれなんですか?」


「これ?これはね、スマートホンって言って俺の世界でどんなに離れた人とでも決められた番号がわかれば話ができるんだ。」


「どんなに離れていても?そんなことあるの?」


「あぁ、何万キロ離れていても中継地点を入れて電波を飛ばして・・・ってまぁ今は使えないから意味ないんだけどね。」


「よくわからないですけど、それで何するんですか?」


「これでね、音楽が聴けるんだよ。」


「ケンゴ?頭おかしくなっちゃった?音楽は楽器がないと聞けないんだよ?」


「だいじょうぶさ、日本・・・俺の世界にいた時は一人でキャンプをする時にいつも聞いていた曲があるんだよ、俺の世界には四季っていうものがあってな、ちょうど今ぐらい沙美時を冬っていうんだけど、こんな時に聞く丁度いい音楽さ、二人も聞いてみてほしい。」


俺はスマホの画面を操作して音楽アプリを立ち上げる。画面を操作して音楽を流す、流す曲は佐々木恵梨の『ふゆびより』アニメのゆる◯ャン△のエンディングテーマだ。


額に感じる澄んだ空気

吐く息が弾む・・・


静かなギターの綺麗な音色が流れ歌が始まる・・・澄んだ空気の中で落ち着いた曲を三人で寄り添い目をつぶり心を落ち着かせ、耳を澄ます。


君がいれば 自然と笑顔になる

ココアを入れて写真を撮ろう・・・


曲が終わり余韻を楽しむ・・・二人ともこの曲を気に入ったのかとても優しい笑顔で俺の横で腕を組む。


「とてもいい音楽ですね。私この歌好きになっちゃいました。」


「私も、こんな歌…初めて。胸の内がこう・・・なんていうか。温かくなった。」


「一人でキャンプしている時に俺はこれをいつも聞くんだ、静かな森や川のそば、海の波の戸を聞きながらこの曲を流して一人ココアを飲むんだ・・・あぁ、俺はここにいるんだって再認識できるんだ。」


「うん・・・」


「うん・・・」


「さ、夜も遅くなったし、今日はもう寝よう。明日からまたバイクで旅しなきゃならないからな。」


「ねぇねぇケンゴ?寝る前にさぁココアって何なの?歌の歌詞にココアを飲もうって出てきたぐらいなんだから飲み物なんでしょ?」


「あぁ、そうだな。飲んでみるか?」


「あ、私も飲んでみたいです。」


「やった~!」


俺はストレージからココアの粉を出してコップに入れる、温めたミルクを注ぎかき混ぜる。


「これがココア?変な色してるけど大丈夫?」


「ばっか!これがココアだ!これ以外はココアじゃないの!騙されたと思って飲んでみろうまいから!」


二人は恐る恐るココアを飲む。俺は普通にココアを飲んで一息ついた。


「あま!それにおいしい!」


「おいしぃぃぃ!ココアってこんなにおいしいの!?ケンゴ!おいしいよぉぉぉぉ!」


エミリアは立ち上がり空においしいと吠える。見たかこれがココアの威力だ!カカオの粉を溶かしミルクで混ぜるだけの簡単お手頃な最高の飲み物なんだ!って言っても別に俺が作ったわけじゃないしな。


「なんだろう・・・幸せな気分だよぉ。」


「そうねエミリア。顔が笑顔で溢れてるよ?」


「ミアだって幸せそうな顔してるよ?」


「また今度のませるよ、俺の世界の飲み物や食べ物はこの世界のどんな食べ物にも負けないくらいおいしいからな。」


「「楽しみ!」です。」


ご飯とココアと焚火といろんなことを堪能して俺たちは眠りについた、三人でテントの中で話をしてランタンの灯りを消したらみんなすぐに眠りについた。

 今回のキャンプで色んな事を沢山考えさせられた、いいことも悪いことも。それでも俺は前に進む、恐怖から逃げたら二人を守れない。ミアの笑顔もエミリアの笑顔もそれを見る俺の楽しみも、だから俺は少しづつでもいいから前に進もうと思う。

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