第二話 旅の始まり
バイクはいいよね~最高だよね~
コロナが落ち着いたら俺・・・旅に出るんだ。
俺は崖から落ちた。はずだよな?なんでこんなところにいるんだ?
今俺がいる場所は、正直何処かわからない。真っ白で何もない空間、境目もない自分がちゃんと床に立っているのかもわからない状態だ。本当に不思議な空間だ、そうか・・・俺は死んだのか。
「そうだね。」
やっぱり、そうだよな。現代日本にこんな空間を作る技術なんてまだない・・・はず。って今の誰だ?
「うち?うちのこと?」
そうそう、ってだから誰だよ。
こんなところに小さい女の子が一人でいたら危ないぞ?
「小さいとかしつれいだなぁ~。ウチは猫だよ。君が助けてくれた猫だよ。」
猫?そんなの助けた覚えは…あ、あれか?ただ単によけただけだぞ?
「そのせいで君は死んでしまったんだ。本来あそこで死ぬ運命ではなかった君がだ。」
そっか。ま、しょうがないさ。
「え?なんかあっさりいてるね。やりたいこととか、後悔とかないの?」
とくにはないなぁ・・・あ、しいて言えばバイクだな。
「バイク?君のあのぼっちいバイク?」
ぼろっちいとか言うなよ、ほんとのことだけどさ。あんなんでも結構気に入ってたんだ、自分で直して整備して。楽しかったんだぜ?最後は崖に落ちちまったけどな。
「ふーん。なら・・・えい!」
おわ!何だよいきなり!って俺のバイク・・・あんたあれか?神様ってやつか。
「うん、主神ゼウスの眷属でマリアーノの世界の管理を任されているニャウスだよ。」
ニャウス様か、で?俺はこの後どうなるんだ?
「それなんだけどね、君さえよかったらウチの世界に来ない?」
転生ってやつか。最近ネットや漫画、小説ではやってるやつだな。
でも俺は興味ないな。戦ったりするのもしたことないし、興味もない。
「え?あぁ、なんか勘違いしてるけど、ウチの世界は争いごとなんてないよ?」
そうなのか?しかしなぁ・・・
「じゃあこうしようよ!ウチは助けてくれた恩義がある。だからウチの世界で思う存分バイクに乗ればいい、その子も連れて行ってあげるから。」
そんなこと言っても、簡単な整備なんかはできるけど、本格的に壊れたりしたらそれこそ困るだろ、それとも、その世界は普通にバイクとかは知ってるのか?
「ぜんぜん、はしってないよ、っていうか。バイクという概念は一切ないね。まぁ壊れたりいたら困るのはわかっているから多少のおまけはするよ。旅、してみない?」
そんな風に優遇されていいものなのかね?
「いいんだよ、だって君は神の命の恩人なんだから。」
そういうことにしておくか・・・
「そだ、ウチの世界にも剣や魔法はあるから使えるようにしておくね。じゃあ、旅を思う存分楽しんできてよ。」
あぁ、ありがとう。
「行ってらっしゃい。」
そう言えば、なんであそこで寝てたんだ?
「それはね、ただ単に仕事がいやで脱走中だったからだよ。」
仕事サボンなよ。
その話が最後に俺とバイクは白い空間から出され、巨大な湖のほとりに立っていた。
「まじか、ほんとにこんなことがあるんか。」
俺は目の前に広がる晴天の空と太陽の光でキラキラと反射する湖を眺めていた。
整備された街道もなく、コンクリート製のビルも何にもない。目の前に広がる景色に風を感じながら少し感動をしていた。
「ははは、確かにここは別の世界だな。」
異世界に来たと一目でわかる、だってさ太陽が二つもあるんだもん。
こうして俺は、愛車とともに異世界に来た。しかし、まて。住む場所もないし、金もないぞ?この先どうするんだ?ガソリンだってない世界なんじゃないのか?旅を楽しめってことはそれなりにガソリンが必要だ、しかしこの世界にはそんなものないだろう?だって、バイクも車もないんだから。はぁ・・・いろいろと前途多難だな。
俺はバイクにまたがって少し考えた。そう言えば俺のメットがないな。代わりにゴーグルだけがハンドルにかかってるぞ?こんなもの持ってなかったけどな。と思いながらゴーグルを装着すると、目の前にボタンがスラスラーと空中に現れた。
「な、なんだこのハイテク機能・・・」
しいて言うならスマートグラスの機能が単独でついているゴーグルとでもいうのだろうか。とりあえず俺は恐る恐る一つ目のボタンを押してみた。
これは・・・MAP機能だ。今俺がどこにいるかがわかる。というか頭の中に勝手にマップが形成されたような感じだ。次のボタンは・・・・
『テストメール
無事についたようで何より、この文を読んでいるってことはゴーグルを掛けたってことだね。
君に伝えてなかったんだけど、君の今の体、かなり頑丈だから。メットとかいらないくらいに、
多少のことでは死ぬこともないから。で、君の状態をステータス化して目視できるようにして
あるからね。次のボタンを押せば表示されるよ。使えるスキルや魔法も記載されているからし
っかりと把握してね。それからこれが一番大事なんだけど、君のバイク少しいじらせてもらっ
てるよ、マリアーノにはガソリンがないからね。魔力で動かせるようにしてあるから、魔力が
切れない限りは動かせるよ。あと、アイテムストレージも作ってある。その中に君専用のガレ
ージを入れてあるから整備なんかしたいときはそれを出してやればいいよ。仕事は・・・町に
行けば何とかなるんじゃない?少ないけどアイテムストレージに多少のお金は入れてあるから
、無駄使いしちゃだめだよ。其れじゃ、また何かあったらメールでお知らせするからね。ゴー
グルは無くしたりしないよう自動帰還設定してあるから。じゃあねー、バイバイ。
ニャウス」
まぁ・・・彼女なりにいろいろと気を使ってくれてるんだな。其れよりもアイテムストレージに専用ガレージ。こんなのいいのか?くれるっていうんだからもらっておくか。ほかにはキャンプ道具もあるし・・・硬貨も入ってるけどこれはどれぐらいの価値があるんだ?とりあえずではあるが、近くの町に行ってみるか。
バイクにまたがり、キーを回しスイッチをONにする。バッテリーから電気が流れヘッドライト、メーターが動き出す。セルを回しキュルルルルという音の後にエンジンが唸り声とともに動き出す。
グォン!この世界での初の始動だ、近くにあった木から小鳥が数羽飛び立ち、それに合わせてアクセルを捻る。徐々に回転数が上がっていき、クラッチを離せばもうバイクは動き出す。片足だけ地面に着き、左手でグリップを握り、右手でタンクを軽く二回たたいた。
「新しい世界で冒険の始まりだ。頼むぜ・・・相棒。」
そう言って俺は近くの町に向かって走り出した。
町に向かう道は整備もされていない状態で土がむき出しになっている。歩いている人もいない、動物も見ない。しかし景色は最高だ、初めての世界、初めての道、モンスター400は土煙を上げながら順調に走っていく。風が気持ちいい、やはりバイクはいい。知らない世界にいきなり来たけど、この相棒となら不安も少し和らぐようだ。そうこうしているうちに目の前に少し大きな建物が見えてきた。レンガつくりの砦のような場所だ。俺はバイクを止めて、バイクを押しながら砦に向かっていく。
もしかしたら初めてこの世界の人に会うかもしれない。バイクを知らない人たちがバイクに乗っていったらびっくりするだろうし、驚かせてはいけないよなとおもい、重かったけど手押しで建物に近づく。ほら、人がいた。
「なんか面白いこと起きないっすかね?センパイ。」
「無駄口たたかないで警備してろ。面白いことなんざこの50年一度も起きてねぇよ。」
甲冑を着て、大きな門の前に二人が立っている。関所の様なもんか?とりあえず俺はその二人に近づいていく。
「とまれ!」
「はい。」
「これはなんだ?」
「えっと、バイクといいまして人を乗せて走る乗り物です。」
「なんだこれ!すっげぇな!無茶苦茶カッコいいな!ねぇセンパイ?」
「そんなことは今はどうでもいい。おまえ、こんなわけのわからないものをもってここに何しに来た。」
「旅をしてまして。それで通りかかりました。」
甲冑の二人組は一人は20代前半とセンパイと呼ばれている30代中ごろの男だ、若いほうはバイクに興味津々で、センパイは完全に俺を警戒している。
「身分証明は持っているか?」
免許書!?ってこの世界には車もバイクもないんだからそんなものない・・・あ、そういえばさっきストレージに何かあったな。俺はそれを取り出し、センパイに見せてみた。
「な、失礼しました!」
「え?え?どうしたんですか?」
「は!この身分証であれば特に問題ありません。冒険者の方とは知らず申し訳ない。」
俺が出した身分証明書には『職業:冒険者』と書いてある。っていうかこんな登録なんて一切してないんだが。
「じゃあ、通っていいですか?」
「問題ありません。・・・つかぬ事をお聞きしますが、この乗り物には乗られないのですか?」
「あー、びっくりさせたらいけないと思って。其れで押してきたんです。」
「そうでしたか!」
「ちょ!センパイ!マジこれ凄いっすよ!俺には何が凄いのかわからないけどあれじゃないっすか?!アーティファクト!まちがいないっすよ!これアーティファクトっすよ!」
「あ、アーティファクト?」
「これ古代遺跡から見つけたんすよね!?スゲー!俺初めて見たよ!」
「おい!やめろ!困ってるじゃないか!」
おれはいきなりそんなことを言う衛兵に困惑したが、このアーティファクトは使えると思い、バイクが古代遺跡から見つかったアーティファクトだという事にして話に乗っかった。
「そうなんだ実は、動かしてみようか?またここ通るときに押してくるのもめんどくさいし、見てもらってこういうものだってわかってくれたら助かるし。」
「いいのですか?」
「マジっすか?!やった!お願いします。」
俺は一通り説明してバイクにまたがり、エンジンをかける。
エキゾーストの音に二人ともびっくりしていたが、ただの乗り物だと分かるとさっきまでの堅苦しい口調がなくなっていた。
「すごいねー、こんなものがこの世界にあったのかって感じだよ。」
ありませんよ?
「やべぇ!俺も欲しい!」
あげませんよ?
そんな話をしながら少し仲良くなった俺はこの先の町で情報収集をするために向かうという事を話しその場を離れた。そして俺は町に着いて・・・衛兵に囲まれていた。
「貴様!いろいろと話を聞かせてもらう!おとなしく投降しろ!」
俺は両手を腕に挙げた状態で四方八方から槍を突き付けられていた。
「え?何この状況?」
(; ・`д・´)「囲まれた!?」




