第18話 ヒルクライム
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俺は今ガレージで作業中だ、高い山を登るためヒルクライムバイクを作る作業をしている。
車体はホンダCRF250Lだ。こいつもいいバイクだ、ただし今回はヒルクライムにするためスイングアームを超ロングに変更、さらにブロックタイヤを装着させる本格的なヒルクライム使用の車両に変更してく。ぶっちゃけオフロードバイクにだってほとんど乗ったことないのにヒルクライムとか無謀だよな。
『こんにちわ、ナビゲーターです。今回のヒルクライムに関しましてより安全なコースを提示することが可能です。ご案内いたしますか?』
おっと?ナビさんが何か言ってるぞ?安全コースとか・・・・そんなの冒険じゃないね!といいたいが、とりあえず保留にしておこう。そりゃ安全に越したことはないが、ヒルクライムっていやあ危険はつきものだからな。多少は経験してみたいし。え?普通に山上れよって?馬鹿!あんた馬鹿!?そこにロマンがあるからこうしてんじゃん!・・・いや、普通に登れないからこうして車両くみ上げてるんだよ。
「ねぇねぇケンゴ?今度は何してるの?」
「ん?山上る用の車両を作ってるんだよ。」
「山登り!?あの山本気で登るんですかケンゴさん!」
「あぁ、本気で登らないと犯人にたどり着けないでしょ?だから今回は登るよ。」
「危険なんじゃない?あそこ人が登れるような山じゃないよ?」
「エミリアもミアも心配しなくって大丈夫だよ、もともと危険な場所だからそれなりに準備もして挑むからね。」
そう言って俺はエミリアとミアの後ろを指さした。そこにはレーシングスーツとヘルメットが用意されていた、勿論専用のものだけどね。
「これでケガとかしなくて済むんですか?私心配です。」
キュンとしちゃった、どうしよう、ミアがとても愛しくお感じる。キュンとしてる・・・
俺はミアをそっと抱きしめてギュッとする、ミアが少しびっくりしたような顔をしてすぐに俺に寄り添ってきた。
「あ!ズルいミアばっかり!私だって心配してるんだからなね!」
分かってるよ、エミリアだって本気で心配してくれてるのはよくわかってる。
「二人ともありがとう、心配しないで見守っていてくれ。必ず無事に帰ってくるから。」
ミアとエミリアを抱き寄せて二人に感謝する。
「ちゃんと無事に帰ってこなかったら許しませんから。」
「そうだよケンゴ!無事じゃないと許さないんだからね!」
「わかった、必ず無事で帰ってくるよ。」
準備も終わり、ミアの作ったご飯を食べ終わると俺はバイクをもって犯人の寝床のある山の麓に来た。見上げると斜面の角度は45度以上上に行けば60度ぐらいあるんじゃないか?よし!頑張って登るぞ!
「あのケンゴさんこれ持って行ってください。」
ミアはブレスレッドを俺に渡す。
「なにこれ?」
「幸運のブレスレットだそうです、迷信ですが昨日町に出た時に見つけたので。」
「ありがとう、じゃぁ・・・行ってきます。」
俺はミアからブレスレットを受け取り腕にはめる、すると脳内アナウンスが流れる。
『幸運のブレスレット効果により運気が3UPしました。』
おぉ!本物だったてことか・・・ミアは幸運の女神さまだな。
エンジンをかける準備をする。ここはバッテリーでセル始動ではなくキックでエンジンをかける、こっちのほうがかっこいいと思っているからだ。二回、三回とキックを踏むとエンジンがデゥルルンと息をし始める。エアクリーナーが新鮮な空気を吸い込み魔力というガソリンと交じり合い爆発を繰り返す。気合は十分だ、よし行くぞ!俺がエンジンを空ぶかししてスタートの体制をとると二人が心配そうにこちらを見る。
「おいしいお料理作って待ってますから!」
「けがして帰ってきたら許さないからねケンゴ!」
二人ともありがとう、俺はそう心で思っていざヒルクライムに挑む。
土煙を上げてタイヤが動き出す、リアのスイングアームが長いがちゃんと動かせる。
少しウィリーのような状態になったが上半身で車体を抑え込む、前輪と後輪がきちんと地面をとらえた。目の前にはもうすでに斜面が見えている、ここから上がっていく予定だ、車体はドンドン加速していくここからが正念場だデコボコの斜面に岩がむき出しで置いてある、さらには土の地面だけあって滑りやすくなっている。こんな場所を上る競技があるんだからすげーよな・・・っていうか今俺やってるんだけどな。
とりあえず慎重にスピードを落とさずに駆け上がっていく、上に上がれば上がる程斜面の角度はきつくなっていくがこれは競技でも何でもないため横に崖から落ちるのを防止する網などないし、滑ったら終わりだ。そんなことを考えながら垂直にどんどん上がっていく。
「ヤバい!」
一瞬後輪が横滑りする、体は立ち乗り状態で乗っているため体制を戻すのが一瞬遅れたが何とか倒れることなく車体の維持はできた。本当に冷や冷やする、もう二度とやりたくないなんで俺はこんなことしようと考えたのか少し後悔した。大きな岩や小さな岩をよけながら何とか山の中腹までたどりつた、といっても休む場所もないのでこのまま一気に駆け上がるしかない。休む場所があったとしてもそこで休んでしまっては再スタートはできないだろうからもともと一気に駆け上がる予定だ。
「ちっくしょう、手がしびれてきやがった。」
俺は特別な訓練も受けていないし初体験だし、そりゃこうなるよな。俺は必死にハンドルを握る、ここから転落したら一気に下まで落ちて間違いなく死ぬだろうし、二人の前でそんなかっこ悪い状態で死にたくない。その思いだけで俺は頂上まで駆け上った。
「あぁ・・・うぃぃぃ・・・マジで死ぬかと思った。もう二度とやらない、本当にやらない。やりたくない!」
何とか駆け上がれた俺はバイクを止めてストレージに入れる。帰ったら解体して別のバイク作ろう、本気でそう思った。
さて、本題に移ろう。このどこかに犯人の住処があるはずだ、俺はあたりを見回すとそれらしい小屋が立っているのを見つけた。こんなところに小屋があるのか、どうやって建てたんだ?そんな気持ちがこみあげてくる。
コンコン
俺はノックをして誰かいないか確かめた。
「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんか?」
「はーい。」
中から声がして人が出てくる。
「こんなところに何か御用ですか?」
「あ、ちょっとお聞きしたいことがありまして。」
中から出てきたのは獣人の女の子だ、見た目からしてトラの獣人といったところだろうか?耳と髭と模様がそんな感じだった。獣人の女の子は明らかに俺をみて不審がっている。そりゃそうだろ、こんなところに来る奴なんてほとんどいないだろうし…
「えっと、お話ですか?」
「えぇ、実はナナミの村でこちらのことをお伺いしまして。」
そう言った瞬間に女の子は扉を閉めて叫んだ。
「知りません!私何もわかりませんから!帰ってください!」
「ちょ、話を聞くだけですから!」
「本当に何も知りません!帰って!」
「そういわれましても、貴方ですよね?」
「・・・・」
「悪いようにはしませんので、どうか話だけでも聞いてもらえないですか?そしてお話をしてもらえないですか?」
女の子は黙ったままだ、何とか話をしないといけないと思っておれは話を続ける。
「ナナミの村の皆さんが心配しています。あなたの力になりたくて来ました。どうか扉を開けていただけませんか?」
「皆さんが・・・わかりました・・・。」
再度扉を開けて女の子が出てくる。苦しそうな表情で思いつめた顔をしていた、扉を開き中へと案内された俺は女の子に促されソファーに座る。
「えっと、初めましてカジ ケンゴといいます。」
「初めまして、私はルルといいます。」
「いきなり訪ねてきてすみませんでした。怖かったですよね。」
「いえ・・・大丈夫です。お話というのはあの件ですよね?」
「もうわかってますね、そうです。ナナミ村で起こっている事件の件です。」
「はい、もう覚悟はできています。」
「そうですか、じゃあどうしましょうか?」
「え?どうするといいますと?」
「そりゃ、これからのことですよ、みんな心配してましたよルルさんの事。」
実はこの事件は獣人特有の病気で自我を失い獣化してしまうという特効薬もない難病にかかってしまったルルさんが暴走してしまった事件だ。
「私、皆さんに多大な迷惑をかけてしまいました。だから村からも離れてこの場所で暮らすことにしたんです。」
「そうなんですね。それはともかくですけど、病気何とかしましょ?」
「駄目なんです、この病気は直せないんです。」
「え?そうなんですか?ん~・・・」
俺はナビに頭の中で話しかける。
『この病気の特効薬ってないのかナビ?』
『突発性獣化ホルモン不全です。こちらの薬はこの世界ではいまだに確認されていませんが作るために必要な材料はナビゲートできます。』
『さすがナビ、よし!それは取りに行こう!』
俺はナビと頭の中で名はしていたため少し考えるふりをしていた。
突発性獣化ホルモン不全とは体内ホルモンのバランス不全により、無意識化で獣化してしまう病気だ。夜寝ている時に起こりやすく意識のない状態で朝を迎えると獣化する特性があるという病気である。
「あのさ、ちょっと俺忘れ物したみたいだから一度取りに行ってきていいかな?」
「え?え?」
「明日もう一度来るから。」
俺はそのまま小屋を出た。あ、やっべぇ・・・帰りのこと考えてなかった。どうすっかな?登りは頑張ったから帰りはナビに頼むか・・・こうして俺はナビに頼んで下山することにした。
「ちっくしょう、反対側にこんなに登りやすく降りやすい道があったなんて。」
俺は下調べを怠ったことを後悔した。
さて、後はクスリの材料を取りにいかないと、明日には持っていくって言ったしなとにかく急ごう。
俺はナビに頼んでクスリの材料となる素材のありかをナビゲートしてもらいながら乗り換えたモンスターで走りっていた。
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