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異世界ほのぼのバイク旅  作者: パンツ吐いた
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第16話 朝焼け

いつもお読みいただいている皆様、初めてお読みいただいた皆様、心から感謝しています。

どうか末永くよろしくお願いいたします。

温泉を堪能して料理も堪能した俺たちはその日はゆっくりとすることにした。夜景を楽しみ夜を楽しんで三人でゆっくりと寝た。何をしたのか?それは想像に任せるとして、朝起きると二人はまだ寝ていた。


「まだこんな時間か・・・少し早く目覚めたな。」


時間は午前5時、朝日が少し上る前だろう。朝焼けが始まり空がとてもきれいだ、日本にいた時にお正月の初日の出を見るのに千葉県の犬吠崎までいって朝日を眺めたのを思い出す。あの日の朝日は雲一つなくてはとても綺麗だったな、今日の朝焼けはあの日にすごく似ている。


俺は二人を起こさないようにそっと部屋を抜け出し、部屋着のままで宿の外に出た。何時生にか霧が発生していて幻想的な風景を描き出していた。そして今にも妖でも出てくるかのような雰囲気でもある。

宿の周りを一人でふらふらと散歩しているときりがだんだんと濃くなっていく、最初は少し見にくいなぁくらいだったのが、今では一メートル先もはっきり見えないぐらいの濃さになった。


「・・・ヤバくね?こんなに霧が出るとは思わなかった・・・」


完全にあたりは身動きが取れない具合に霧に囲まれた、これあと数分で元に戻るのか?とりあえず・・・一服でもしてっとポケットから煙草とジッポを取り出す。

煙草に火をつけて煙を吸う、火が付いたタバコはジジジっと小さな音で先っぽを燃やしていく。


「ふー・・・落ち着くな。」


日本では煙草もいろいろ規制が入ってこんな風に吸うこともできなくなってるからな。マナーを守って吸えばいいのよマナーをな。

時間もたったし霧も少し晴れてきたしそろそろ戻るかな。


「お客さん?こんなところで何しているんですか?」


声をかけてきたのは宿の女将さんだ、まだ朝も早いし霧も濃いしどうやって俺を見つけたんだ?何か魔法でも使ったのか?そんなんだったらこの世界って・・・怖いな。


「あ、朝の散歩をしていたんです。そしたら霧が出てきましてそれでここで休んでたんですよ。」


「あぁ、そうだったのですね、この時期はここら辺は霧が濃くなりますから。」


「それにしてもよくおかみさん俺のことがわかりましたね。俺なんてすぐそこすら見えませんよ。」


女将さんは腕組みをして『はて?』といった感じで頬に指をさす。あれ?俺なんか変なこと言ったか?


「私たちは獣人ですので嗅覚や視覚がとてもいいんですよ?わかりませんでした?」


「え?獣人?」


「はい、私は狐の獣人です。」


俺はまじまじと見るが女将さんが獣人には見えない。獣人ってあれだろ?耳が付いていたり尻尾があったりってやつだろ?女将さんはショートカットで細身のスタイルで着物のような民族衣装をきている・・・どこに獣があるんだ?


「ごめんなさい、俺には一切区別がつかないです。」


「うふふ、私は耳も尻尾も隠してますからね。初めて会う方はわからないかもしれませんし、獣人自体が珍しい種族ですからね。」


「そうだったんですか、でもそんな情報を俺に話していいんですか?」


「そうですね、貴方は何か不思議な方ですし、これでも人を見る目はあるんですよ?」


女将さんはウィンクをして口元を着物の袖で隠しながらうふふと笑った。少しドキッとしたのは二人には絶対に言えないな。


「そんなことより、霧も晴れてきましたしそろそろ朝ごはんにしましょ。」


「ほんとですね、とてもいい天気ですね。」


「えぇ、ほんとにいい天気。」


俺とおかみさんは二人で並んで宿に戻っていった。ほんとにおかみさんは何しに来たんだろうか?とおもったが俺と同じ散歩という事にして、あまり深く考えるのはやめにした。


「ちょっとケンゴ!どこ行ってたの?!」


「ケンゴさん!お怪我とかないですか?大丈夫ですか?」


「え?どうした二人とも?朝の散歩に行ってただけだぞ?」


俺が帰ると二人が駆け寄ってきた。何やら焦っているようだったから事情を聴くことにした。

なにやらおかみさんからこの町のあまりよくないうわさを聞いたらしい。

その話をミアから聞いてみると。


「女将さんから聞いた話なんですが、この町では数日に一度だけですがとても濃い霧が朝に発生するそうなんです。その濃い霧に乗じて殺人事件や障害事件が起こると言ってました。そして今日朝起きたらケンゴさんがいなくなっていたのと昨日ケンゴさんが話していたタバコがなくなっていたので外を見たら濃い霧が発生していたので心配で心配で。」


ふむ、どうやらあの霧に乗じて身を隠しながら悪いことをしているような奴がいるのか。ふむ、何やら事件の予感!じゃなくて巻き込まれないようにしないとな。


「あのねケンゴ女将さんに聞いたわけではないんだけど、この村のうわさでねその事件を起こしているのは獣人だって噂があるの。希少種族だからどう対処していいのかわからないけど、さすがに殺人事件まで起こっているからそれなりの対応をしなければいけないって王国が動き出すみたいなの。」


「え?そうなのか!?ってか獣人ねぇ・・・」


俺はおかみさんの顔がふっと頭をよぎった、だがここで女将さんの名を出すのはまだはやいよな。女将さん何もやってないし。


「ちなみに獣人ってどうやって見つけるんだ?」


「見分け方は少し難しんです、獣人専門の監察官がいましてその方たちの持つ特殊なスキルでしか見分けることができないんです。」


「そっか、じゃあ俺たちにはわからないか。」


『スキル、鑑定を使用すれば見分けることが可能です。』


ん?あれ?今の声ナビの人だよな?


『はい、私はナビゲーションのナビゲーターです。道などのご案内をする存在となります。』


別に今は道に迷ったりしていないぞ?


『人生という道に迷っていらしたようなので、アドバイスをお知らせしました。』


んなアホな・・・まあいいや、鑑定のスキルなんて持ってたっけ?


『必要と思いましたので取得しておきました。』


取得できるんかい!


俺は頭の中でナビゲーターさんと話をしていた。そのため二人からると黙って思いつめたような顔をしている感じに見えたようだ。


「ケンゴさんどうしたんですか?やっぱり何かあったんですか?」


「あぁごめんごめん、ちょっと考え事しててさ。」


いい訳のようなことを何故か慌てて言った俺を二人は少し怪しんでいたが、もうすぐご飯ですよと言っていた女将さんの言葉を思い出し、二人を誘って食堂に向かった。話半分で切り上げられたミアもエミリアも心配はしていたが俺が普段通りに会話したり動いたりしたりしていたので安心したようだ。

さて、後は気になるのが女将さんの行動だ、なぜ俺のところに来たのか・・・とりあえずは何も聞かずにそのままにしておこう。


食堂に行くと女将さんに席に案内された、座敷といえばわかるだろうか?俺は胡坐(あぐら)をかいてミアとエミリアは足を崩して座っている。運ばれてきた料理は日本食のような見た目だった。俺はそれを見てテンションが上がる、魚の煮つけ、サラダ、白飯、味噌汁。があったらいいな~とは思うが実際は違った。この世界に味噌や米があるのかどうかわからない、出てきたのは米に似ているが味も触感も違う品種のごはん、魚は出てきたが羽のようなものが生えてる…トビウオどころじゃねぇ鳥の羽だ。ほんとこの世界の料理というか食材というかいまだになれない。


「食後はどうしますか?一泊のご予定でしたよね?」


「私は買いものをしないといけないので、いろんなお店を回るつもりです。」


「私もミアに付き合うよ、ケンゴはどうするの?」


「俺はもう一回風呂に入るよ。そのあとは旅の用意して二人を待ってるかな?」


そう言って食堂を三人で後にする。正直見た目と違ってめちゃくちゃうまかったし量も丁度良い量だった。

風呂から上がると女将さんがお酒を持ってきてくれた。気が利くなあと思ったが、俺この後運転るんだよな・・・ダメ、飲酒運転絶対にダメ。


自慢じゃないが飲酒運転なんて俺はしたことがない、だって俺はお酒飲むよりバイクを運転している方が好きだから。運転できないなら酒なんか飲まん!と思っている。


「お客さん、いっぱいいかがですか?サービスです。」


「あ、ごめんなさい、この後運転が控えているのでお酒飲めないんです。」


「運転ですか?運転って何ですか?」


「乗り物に乗るので、事故を起こしたらいけないんですよ。」


「あらあら、そうだったんですか・・・じゃあ少しだけお時間いただけますか?」


なにやらおかみさんは少し困った感じの顔で俺を誘ってきたので、まぁ話位はと女将さんに付き合うことにした。誰もいない食堂に通されお茶を出された。


「ごめんなさいね、旅の準備をしなきゃいけないのに。」


「大丈夫ですよ。それで話って何ですか?」


「あの、もう聞いているかもしれないですが、事件についてなんです。」


「確か朝の濃い霧の時に襲われるとか何とか…しかも犯人が獣人という話だとか。」


「えぇ・・・そうなんです、それで・・・私が疑われているのもわかってます。」


女将さんはつらそうに膝の上でぎゅっと手を握る。


「あー・・・俺は別にそんなこと思ってないっすよ?」


「ありがとうございます。そう言っていただけると思ったのでこのタイミングでお話をさせていただきました。」


「そうだったんですね?それで?」


「実は、一連の事件なのですが・・・私、犯人に心当たりがあるんです。」


「え?」


「私の知り合いかもしれない、そう思うと胸が苦しくて苦しくて・・・」


女将さんさんは今にも泣きそうで、まぁ話を聞くも俺にどうにかできるようなことでもないからな。


「もし、力になってもらえるのであれば何でもします。どうかお願いいたします。」


「いやいや、俺には何もできないですよ。」


「いえ、貴方にしか頼めないことなんです。先日のレース勝負おみごとでした。」


「うぇ!?なんで知ってるんですか?」


「ここら一体でも魔法を使って中継されていましたので。あのスピードであればあの子を止めていただけると…」


切実に頭を下げる女将さんの姿を見て俺はとりあえず状況を整理するためにミアとエミリアが帰るのを待った。女将さんにもミアとエミリアには話をするというのを承諾してもらい、事件解決するまでこの旅館に滞在する許可をもらった。そして、ミアとエミリアが帰ってきて話をすることとなった。


最後までお読みいただきありがとうございます。

気に入っていただけましたら、下にあります評価☆☆☆☆☆を付けていただけると嬉しいです。

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