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ペルグランデ・オンライン  作者: リアン
暗雲広がる世界より
13/38

屠るもの


アンデッモンスタード狩りは初心者用ポーションのお陰で頗る順調だ。

狩り続けてもう一週間になる。


狩りで得た素材とお金で防具のエンチャントも完了した。


Lv28 1stJOB:戦士

HP:4450

MP:50

STR:1

VIT:30

 AR:20

 MR:10

AGI:1

INT:1

DEX:1

LUK:1


装備

右腕:冒険者の短剣

左腕:鉄の大盾【怨嗟】

頭:鉄の鉢金【怨嗟】

体:鉄の胸当て【怨嗟】

腰:騎士の腰当て【怨嗟】

足:鉄のクリーヴ【怨嗟】


アクセサリ①:死者の煩慮

アクセサリ②:死者の慕情

アクセサリ③:なし

アクセサリ④:なし


死者の煩慮と死者の慕情の効果を活かすためにHPを上げた。最大HPが上がるとHP自然回復量も上がる。

なんか頭でっかちな変なステータスになってきたが、シア達家族からもらったお守りと指輪、大事に使うって約束したし!………と、自分に言い訳する。



今日も例の集会までに少しでもレベルを上げようと、躍起になっていた。

しかし、なにかアンデッドモンスターの様子がおかしい。こっちに向かっていたはずのアンデッドがその歩みを止め、引き返していった。


遠くの方で何やらアンデッドモンスターが集まって……戦っている?

もしかして、他のプレイヤーだろうか?

そうだとしたら初めてプレイヤーと会うことになる。コミュニケーションが上手い方ではないので、話しかけるつもりは流石にないが、ちょっと見てみたい。

私はゆっくりと隠れながら近付いていった。


「大きい! プレイヤーじゃない!?」


それは優に2mを超える大男だ。頭上にモンスター名が表示されている。「屠るもの」

右手にデカイ包丁を持ち、天辺のとんがった大きく白い覆面を被っている。

覆面には4つ穴が空いており、ギョロギョロと穴と同じ数の目がそれぞれ別の動きをしている。

丸太のような太い腕で包丁を振り回し、スケルトンソルジャーやグールを次々と蹴散らしていく。

モンスターvsモンスターという恐ろしい光景を呆然とみていると、4つの内の1つの目と目が合った。


「ひっ!」


巨体から想像していたスピードより速く、かろうじて大盾を前に出すので精一杯だった。

巨大な包丁が鉄の大盾を撃ち鳴らす!

金属音と共に体に衝撃が走る。

盾で受け止めるという行為はダメージを軽減してくれるだけで無くなる訳ではない。

火花のようにダメージエフェクトを散らしてHPが削れる。


「うっ、このぉ!」


短剣で反撃するが初期装備で、かつSTR1ではダメージを与えられている気がしない。

恐らく装備のエンチャント効果のよる反射ダメージの方が幾分大きいだろうことは明らかだ。


攻撃を受け止めたことで覆面の下の荒々しい息づかいと四つの目、すべてが私に向けられている。


(うぇ~~、こわい~~)


どうもさっきのスピードを見る限り、逃げられるかは微妙なところだし、何より背を向けるのが怖い。

横から向かってきたスケルトンソルジャーが屠るものの右肩を切りつけるが、無造作に振り上げられた包丁に無残にも散っていく。


だが勇敢に挑んだスケルトンソルジャーのおかげで間が空き、高いHP自然回復力が先ほどのダメージを埋めていく。


(回復薬込みでなら、耐えられるかもしれない……、でも倒すのは無理だ。アンデッドじゃなさそうだし、ポーションを撒いてもダメージは与えられそうにないし……)


二撃目、三撃目と包丁が大盾を叩く。


HPが削られる。大振りな攻撃の合間を縫って短剣で反撃するものの、スケルトンソルジャーが右手を切りつけた時のダメージエフェクトの方がまだマシだ。


(ん? まだマシだ?……)


(閃いた! 私は防御に徹しよう。そして攻撃はアンデット達がやってくれる!)


幸い二つの因子がここには揃っている。

一つはアンデットの沸きがいいエリアだということ。

もう一つは、先ほどからアンデッド達を蹴散らしてくれているおかげで、屠るもののヘイトが自分より遥かに高いこと。


やることは決まった。私の役目は耐えること、それからアンデッド達を死なせないこと。


屠るものの右手が振り上げられ、向かっていったスケルトンソルジャーを葬り去らんと、包丁が振り下ろされる瞬間、シールドアタックで体をスライドさせ、腕を大盾で弾く。

包丁が当たらなければダメージはほぼ無い。


(うまくいった!)


しかし次の攻撃は確実に私のHPを削る。

スケルトンソルジャー、グールが屠るものの背中にとびかかる。

振り払うように身をよじり、離れたグールに包丁を振りかざす。

私はその間に入り、大盾で包丁を受ける。


攻撃はほとんどが右手に持った巨大な包丁、そして動きは大振りだ。

私でもなんとかアンデッドを守れている。


そして個体がなかなか減らなくなったアンデッドは少しずつ数が増えていった。

沸いてくる数が倒される数を確実に上回っている。


(初めてのパーティープレイの相方がまさかアンデッドちゃん達だとは……)


HPが半分を切ると、少し距離を置き初心者用ポーションを飲み干し、再びアンデッドを守らんと肉薄する。








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